第122話 また多分怒られる。
準備体操かぁ。
今迄、僕はした事が無かったな。
だとえば、こうして体を慣らすと……なんでだろう?
体が動かしやすくなってきた気がする。
「よいですか! 常日頃から体を動かしやすくすることが肝心ですよ! こうして準備運動で体をほぐすと体がいつも以上に良く動くんです」
そうだったのか……
準備運動って大事なんだ。
知らなかったな。
「1.2.3.4、にいにいさんし」
号令にあわせて体を動かす。
それだけでこんなに違うのか?
本当に僕は何をやっていたんだろう?
ちゃんと学べば、色々と勉強できたのに。
「さぁ準備運動が終わったら、走れーーっ! 走る事は全ての基本だ。解ったな」
「「「「「「「「「「は~い」」」」」」」」」」
ただ走るだけか……この慢心が良くない。
今は言われた通り、頑張ってみた方が良いよね。
黙々と走った。
速く……もっと速く……
「あの速度なんだ……馬より速く見えるんだけど?」
「もう、何周差がひらいているんだ?」
「まぁ、セレナ様なら、余裕ですわね」
「ルル様、どうしてセレナくんを『様』と呼ぶのですか?」
「尊敬できるからですよ」
う~ん。
周りが何か言っているようだけど……今の僕には気にする余裕はないな。
もっと速く……そうアークスの攻撃があたらない位の速度が出せないと意味がない。
速く……もっと速く。
「ちょっと、セレナくん走るのやめ……やめなさい! 土を巻き上げているよ…….」
もっと速く走らないと……
風を切るように…風竜ですら遅い。
アークスの攻撃を避けるにはもっと速く……そうもっと速くなくちゃ。
『なら、僕に任せて』
えっ。
『うん!? 君はだれ?』
『風の精霊……やっと話せたぁ~それじゃ手を貸すね』
『いいの!?』
『勿論、セレナは神でもあるから……幾らでも頼って』
『それじゃお願い』
今迄と全然違う。
まるでそう体の重みが全部無くなった感じだ。
今の僕なら何処までも飛べるかも知れない。
思いっきり、地面を蹴った。
凄い速度で大空を飛んでいった。
この勢いでぶつかればアークスでも怯むかも知れない。
って……此処何処だ。
青くて丸い場所。
あそこが僕が居た場所……って事は此処はもしかして月なのか?
まぁ良いや……戻らなくちゃ。
僕は思いっきり月を蹴って元の場所に向かった。
◆◆◆
あれれ、凄くなんていうかボロボロになっている。
まるでハリケーンにでもあったような……
「これなんですか?」
「セレナ、君が魔法を付与して走ったからこうなったんだ! 生徒はすぐに避難したから良いが見ての通り塀は破壊され、地面には大きな穴があいている……後で学園長の部屋へ行くように。その後は今日は自習だ」
「なにかごめんなさい」
「集中する事は良い事だが……何事にも限度がある。まぁ、今日の所は学園長に叱られて来なさい」
「解りました」
またメルに怒られるのかな……どうしよう。
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