第121話 うん......もう知らない
『君たちは誰?』
『水の精霊だよ!』
『うんうん、精霊、精霊』
精霊さんなの?
そう言えば、イシュタスママに精霊さんについて聞いていた気がする。
『精霊さんなんだ』
『そうだよ! セレナ様』
『この世界の神様の一柱でしょう? それなのに今迄気がつかなかったの?』
言われて目を凝らしてしっかり見ると、水の精霊さん以外にも色々な色の精霊さんが居た。
『今迄ごめんね……こんなにも沢山の精霊さんが傍に居たのに気がつかなかったなんて』
『別に良いよ、神様でもまだ子供だもん』
『そうそう』
『だけどね……神様なんだから、困った事があったら、私達精霊にお願いしないとね』
お願い?
『お願い?』
『そう、お願い……神様は奇跡の様な力を使えるけど、精霊やこの世界の色々な力を借りて更に凄い力が使えるんだよ』
そうなんだ……
『今度は私達とやってみない?』
赤い精霊さん。
『赤い精霊さん……火の精霊さん?』
『そうだよ、どうかな?』
『うん、やってみる』
イメージを固めて……オリジナルの呪文を考えて……更に火の精霊さんの力を借りるイメージで……
火……火……強大な火竜をイメージして……強大な火竜。
そうバウワーおじさんを火竜にしたような大きな、大きな竜をイメージ。
そして、その火竜をイメージした大きな炎に変える。
「火竜の刃よ! 僕の前の立ち塞がる敵を全て燃え尽くせ! サラマンドラファイヤー!」
炎で出来た巨大な竜が僕の前に現れた。
凄い、さっきの魔法も凄かったけど……これはもっと凄い。
そのまま、さっきと同じ様に空に向けて放った。
強大な炎のドラゴンが空を駆け上るように飛んでいく。
まるで空を焼き尽くす様に巨大な炎のドラゴンが何処までも天高く飛んでいった。
これ……きっとどこからでも見えるよな。
もしかして……僕、不味い事をしてしまったのかな。
◆◆◆
強大なエネルギーが発されて、その近くにセレナくんが居たのよ。
だから……学園長室に呼び出したのよ……念話でね……胃がまた痛いわ……シクシクするわ。
「セレナくん……あのさぁ、もしかしてこの世界を星ごと壊すつもりなのかな」
「メル、僕は、基礎から勉強しなおして呪文を……」
「あのね、セレナくん、あのアークスと戦えた時点でもう、魔王ルシファードより強いの……そんなセレナくんが全力で呪文を放ったら大変な事になるよ……」
「メル様、別に良いじゃないですか? リアル神なのですから、言い方を変えればこの世界はセレナ様のお母さまである女神イシュタス様の物ですから、だれが文句を言えるのですか?」
「エドガー、甘やかさないで、貴方は本来……」
「セレナ様は神なのです! 誰も止めてはいけません」
この狂信者……お目付け役にしたのに意味無いし。
「ごめんなさい……だけど僕、凄く悔しいんだよ! もう二度とアークスに負けたくないんだ……」
今、なんといったのかな?
『二度とアークスに負けたくない』
まさか、またアークスと戦うの…….
「あの、セレナくん、まさかまたアークスと戦うの?」
あの、セレスですら勝てなかったアークスとやるの。
相手は軍神。
また大変な事になるわ。
「うん、またじゃないよ? 何回でも、何十回、いや何百回でも勝つまでやるつもり……死なない限りね」
「流石、セレナ様です、きっと次こそは勝てますよ」
「エドガー、黙ろうか?」
「メル様、セレナ様が勝利する姿を教皇様は元より、教会関係者全員が見たいのです!」
「メル、僕は負けて悔しいんだ! だから、これからは頑張って努力する……だから、沢山学ばせてね」
もうセレナくん……下手したらセレスより強いんじゃないかな?
基礎を少し覚えただけで……こんな事になるんだから……
本当に『学ばせて』良いのかな……
「わかったわ」
もし、なんかあったら……イシュタス様がどうにかするよね。
うん……もう知らない。
◆◆◆
「はい、1234……2234」
今日は体育の授業だ。
竜と神の子供の僕には本来は必要ない物だ。
だけど、この間の魔法もそうだけど、色々な所に盲点があるのが解った。
きっと、ここからも勉強出来るよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます