第114話 セレナVSアークス ④


僕の鎧に見える装甲の下にはアーマードシールドインセクトという昆虫の装甲を更に纏っている。


この虫は物凄く硬くて下が土なら地竜に踏まれても死なない。


それにもし標本にするなら、ミスリルの針ですら刺さらない。


その為、王立博物館でもこの虫だけテープで止めている……そうセイルお兄ちゃんが言っていた。


「それじゃ、今度は僕から行くよーー! ドラゴングリーンアントパンチーーッ!」


このパンチは竜の力にグリーンアントという力持ちのアリの力を乗せて殴る。竜×アリの力を合わせたパンチだ。


「うわぁぁぁぁーーっ! 俺がまさか俺がぁぁぁーー」


僕がパンチを当てた瞬間アークスは吹き飛ばされていき、近くの大きな岩を数個砕きようやく止まった。


「どう!? アークス僕、結構強くなったでしょう?」


めり込んだ岩からアークスが一瞬で飛び出し、僕に突っ込んでくる。


「竜神剣――」


反対側の手に持っていた剣で斬りつけたがアークスは……


「無駄無駄無駄――っ! 本気で体に力を入れた俺の体はオリハルコン並みに固い! 効かないぞ! ぎゃぁぁぁぁぁぁぁーー」


この剣はドラゴンビィという恐ろしい蜂をモチーフに作られた剣だ。


ただ、斬るだけじゃない。


毒もある。


その毒を目に向けて飛ばした。


「どう! アークス目にドラゴンビィの毒をくらった感想は! それじゃ行くよーーっ! ファイナルゴッドドラゴンインセクトセレナ―――ッ」


全ての力を神剣に注ぎ込み斬りにかかる。


「そんな物、軍神の俺には効かぬわーーっ」


オリハルコンより硬い。


そう言っていたけど、この力は竜の力を半神の僕の力で底上げして、更に昆虫の力で倍増。


僕が考えた範囲ではオリハルコンでも斬れる筈だ。


「斬れぬ、斬れぬ、斬れぬわーーっ」


だが、この技はアークスにも効いたみたいだ。


アークスの体に皹が入り、再びアークスが斬れていく。


「どう? 斬れているみたいだけど……まだまだぁぁぁぁーー」


「うっ! むん!」


アークスが力を入れると神剣がアークスの体の途中で止まり抜けなくなった。


「剣が……」


「がははははっ、そんな物で俺は斬れぬわーー」


体の半分まで剣がめり込んだら痛い筈なの。


何故、笑えるんだ。


「それで終わりじゃない! ドラゴンビィポイズンーーッ」


この剣はドラゴンビィという蜂の針がモチーフだ。


だから、当然毒もある。


「ううっ、がはっ……毒か」


効いている。


この毒ならいける。


毒で蹲るアークスにイエロースパイダーの糸で絡める。


「これで動けないよね?」


毒がまわり体が動かない状態で糸で絡めた。


これで終わりだよね。


『神剣よ鎌になれ』


そう心で念じて神剣を神鎌に変形した。


そしてアークスの首に振り落とした。


ガシッと音を立てて鎌が刺さるがふり抜けない。


「むんっ! 」


嘘だよね、アークスが力を入れると強靭な筈の糸が千切れた。


気のせいか毒で悪くなった顔色も治っている気がする。


「これでも、仕留めきれなかったの」


「うわははははっ、楽しいなぁ~楽しいなぁ~セレナぁぁぁぁーー! 次だぁぁぁ次を寄越せーーっ!」


「今度は……」


「待て! お前には敬意を表して軍神の本気を見せてやろう! マモンの時と違い、軍神には専門の装備があるのだ! お前は強い。俺が武器を持って戦うのにふさわしい。光栄に思うが良い」


なんだ、あの凄い剣は。


折角、追いついたと思ったのに……またやられるのか。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る