第113話 セレナVSアークス 裏2
「セレナよ! 死んでしまうとは情けない」
目の前にまた、冥界竜バウアーおじさんがいる。
「僕、また死んでしまったの?」
「ああっ、ゼクトに技を教わったようだが、無理だ! アークスの前にマモンの状態なら勝てたかもしれぬが、そもそもゼクト達はマモンにすら負けて、アークスとは戦っておらんからな」
「そうなんだ……」
「まぁ、マモンの時ですら人では勝てず神相手に戦える化け物だ。竜公の子とはいえ、本当の子供のセレナが戦っただけ凄いぞ……誇って良い! それに子供のセレナが勝てないだけで成長したら余裕で……」
「うっうっ……でも、僕、僕悔しい……アークスみたいな敵が現れたら、僕は大切な人すら守れずに死ぬだけなんでしょう……そんなの嫌だぁぁぁーー」
「まぁ、儂にもこればかりはどうする事もできん! 気が済む迄やってみる事だよ」
「グスッ……わかった。バウワーおじちゃんありがとう……」
どうしたらいいんだろう。
◆◆◆
「ゼクトお兄ちゃん……駄目だった」
「そうか……悪いな。だが、これが通じなかったらもう俺が教えてやれることはない! 」
「それじゃ、マリアお姉ちゃん」
「ごめん、私聖女だったから、攻撃系は苦手なのよ……ゴメンね!」
「え~と」
「あはははっ、僕は剣聖だけど! あれ以上の技は持ってないんだ」
「そう……」
駄目だ、ゼクトお兄ちゃん達じゃ、アークスに勝てる方法は知らないみたいだ。
そうすると……虫のお兄ちゃんにもう一度聞いてみるしかないのかな?
◆◆◆
「セイルお兄ちゃん、ユリアお姉ちゃん……」
「うん!? 此処に来たって事は負けちゃったのかな?」
「うん、歯が立たなかった……凄く悔しいけど、駄目だったよ」
「そうか……」
「ねぇ、セイル可哀そうだから聞くだけ聞いてあげれば」
「そうだね、一応、神虫(しんちゅう)様に聞いてあげるよ! だけど、神虫様はもう引退した神様だから加護をくれるかどうか解らないけどね」
「うん、わかった」
どっちみち僕にはこれしか、思いつかない。
暫く、セイルお兄ちゃんとユリアお姉ちゃんについて行くと不思議な扉があった。
その扉を抜けると凄い、森があった。
「神虫さまーー」
セイルお兄ちゃんがそう叫ぶともの凄く大きな虫さんが現れた。
凄い…
バウワーおじさん程じゃないけどセレスお父さんやイシュタスママと同じ位の存在感がある。
『セイル久しいですね、それにユリアも……今日はどうしたのですか?』
「この子が実はですね……」
セイルお兄ちゃんが僕の事情を神虫様に話してくれた。
『成程……セイルに加護を与えて長い月日が経ちました。 だから、勇者のジョブも加護も与える事は出来ます……ですが、私の加護は弱く……』
「神虫様、そんな事は無いです! 神虫様の加護は凄かったです!」
「そうですよ! 私もセイルも神虫様のおかげで幸せな人生を送れました」
『そうですか! そこまで言うなら与えましょう……引き篭もりになり此処の森で暮す私です……セイルで最後となる筈だった加護『虫の勇者』の加護を……さぁ手を出しなさい』
「はい」
こうして僕は虫の勇者の力を手に入れ、セイルお兄ちゃんに修行をつけて貰ったんだ。
そして再び蘇った。
◆◆◆
「ハァハァ、なぜ立ち去ろうとしているのかな? まだ決着はついてないよ!」
「お前、なぜ!」
「それより、行くよ! 神×竜×虫×人……融合! ゴッドセレナぁぁぁぁーー」
これが僕が考えつく最強の状態。
「なんだ、その姿は……お前は半神半竜じゃ無かったのか?」
今の僕の姿は竜に似た黄金の鎧を着た戦士に見える筈だ。
そしてその鎧の内側は更に昆虫の装甲を纏っている。
「行くぞ! 軍神アークス! 神剣創造! 」
「なんだ、その禍々しい剣はーー」
僕は素早く走り、アークスを斬りつけた。
「スズメバチの針をモチーフにした剣の毒が効くなら、この剣は更に凶暴な蜂、ドラゴンビィの針をモチーフにした剣だ! どうだ!」
「うがぁぁぁーー焼ける、焼けるように痛い……だが、俺は軍神! 痛みさえ心地よい……さぁ来るが良い」
「この世界の女神の力……そして竜公の力を持つ僕の奥義……竜神剣――っ」
神の力を剣に乗せ、それを竜の力で叩きつける。
これなら、アークスにも通じる筈だ。
「そんな物受けて……うがぁぁぁぁーーっ貴様ぁぁぁーー」
流石に斬れた。
僕の目の前であのアークスが上下真っ二つになって内臓をぶちまけている。
「これで僕の勝ち……えっ! そんなのありなの?」
真っ二つに斬れた体が一瞬にしてくっついた。
「がはははっ俺は軍神だ! 神とは死なない物なのだ! お前だってそうだろう!」
いや、僕は死んでいるからね。
死んで、すぐに此処に戻ってきて戦っているだけなんだけど。
『本当に死なないの?』
ズルいよ……それ。
「それじゃ、何時まで経っても決着がつかないじゃない? どうしたら終わるの?」
「馬鹿かお前は! こんな楽しい時間終わらせるのは勿体ないだろう! 決着がつくまで百日でも千日でもこうして戦い続けようじゃないか!」
「そう……解った! さぁ来い!」
アークスの拳が僕のお腹をとらえたが……
嘘だろう……全然痛くない。
「これに耐えるとは、お前は何者なんだ」
「さぁ」
今度は僕の番だ。
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