第104話 クリエイト
結局、あの後はメルの部屋に連れていかれて、授業には参加させて貰えなかった。
そして僕は寮の部屋に来たんだけど。
「セレナ様、準備は出来ております」
「まぁ、こんな物じゃな」
カーミラと妲己が僕の部屋の準備をしていたんだけど、随分狭く感じる。
「結構、狭いね、もしかしてカーミラや妲己の部屋ってもっと狭いのかな?」
「はい…ですが従者扱いなので我慢しますわ」
「まぁ、従者という事だから仕方が無いのう」
僕の部屋ですら、ベッドと机と鏡台があるだけでかなり狭い。
「二人の部屋ってどんな感じ?」
「見られますか?」
従者の部屋って事で、繋がっている隣の部屋だった。
僕の部屋の半分の部屋で2人一緒…凄く狭い。
しかも、トイレや浴室も台所も無い。
二人は僕の婚約者なんだ。
幾ら、今は従者だからってこんな不憫な場所で過ごして欲しく無いな。
さてどうしようかな?
「凄く狭くて酷い部屋だね…」
「それは仕方ないですわ。従者、使用人の部屋ですから…」
「まぁ、セレナが卒業までの我慢じゃ…長生きする我が身、3年などすぐじゃ」
3年間も此処で過ごすの…凄く可愛そう…
「あの、上手く出来るか解らないけど、二人は暫く僕の部屋で寛いでいて」
「セレナ様はどうされるのですか?」
「セレナ様はどうするのじゃ」
「う~んとね。生活しやすい様に少し改装しようと思うんだ。ちょっと二人の部屋にいるね。終わったら声を掛けるから」
「何をするんですか?」
「何をするんじゃ!」
「内緒」
まぁ出来るかどうか解らないから、今は内緒にした方が良いよね…
◆◆◆
二人の部屋に来た。
失敗すると恥ずかしいので、こちらから声を掛けるまで来ないように頼んだ。
出来る筈なんだよね…
僕はイシュタスママの子だから…
『クリエイト』
頭の中で空間をイメージする。
そして、この部屋と繋ぐ…出来た。
あのママが作った白い空間が出来た。
此処に扉を作る。
この扉は『隠ぺい』の魔法を掛けて、僕を含む3人だけしか見えないし、開けられない。
これで良い。
あとはこの空間に、彼女達の喜ぶような物を作っていく。
最初からこうすれば良かった。
この空間に、二人が喜ぶ物を作れば良い。
妲己は狐だから、緑のある場所を好むよね。
それに対してカーミラはお城が好きみたいだ。
『クリエイト』
やっぱり出来た。
僕は創造神であり一神教の女神イシュタスの子だもん。
こんなの楽勝だ。
理想的な綺麗な森と古城が現れた。
僕からしたら綺麗な城が良いんだけど…カーミラは古くて湿った城が好きなんだよね…
う~ん…もうあげたけど、此処にもっと凄い物を作っちゃおう。
クリエイト…養老の滝。
最高のお酒がコンコンと湧く滝。
妲己が好きそうな、最高のお酒が沸くようにして…
そうだ、カーミラも喜ぶように横にワインが沸く滝も作っちゃえ。
あと、二人とも血も好きなんだよね。
カーミラが処女の血が好きだったと言っていたけど…
余り惨いのは嫌いだから、処女の血みたいな物が沸く泉も作っちゃえ。
よし…
そう言えば、セレスお父さんが温泉が気持ち良いっていったから。
これも作ろう…
気候は常に最適で、地面に寝ても風邪ひかないようにして…
飲み水も美味しい物を確保。
何時でも食べられる果物の木。
そうだ、肉に似た物も木になれば良いんだ。
よし…これで完成。
僕じゃ大きな空間は作れ無いけど…村位の空間が出来た。
喜んでくれるよね。
◆◆◆
「どうかな?」
「どうかなって…セレナ様は世界が作れてしまうのですか」
「最早、想像もつかない…こんな物まで作れるなんて」
「そんな、大した物じゃ無いよ? イシュタスママみたいに大きな空間は作れ無い、精々が村位の大きさだよ! ここの生態系は僕の自由に出来るから、最高のお酒とワインが沸いてくる滝を作ったんだ。
「す、すごいわ…これ、今迄飲んだ最高のワインより遥かに美味いわ」
「このお酒も凄いのじゃ…もらった瓢箪から湧くお酒より一段上なのじゃ」
「まぁ、少しは上達したからね、ほら、そこにある泉の水を飲んでみて、最高の血の味を再現したから」
「凄いですわ…ハァハァ、見た目は水なのに、味は血、それも極上の処女の血すら超えます…最高…」
「どれ…美味いのじゃ…ハァハァ、これは癖になるのじゃ」
「それだけじゃあない…美味しい肉も木になるようにしたよ! これが本当の酒池肉林、なんちゃって…」
「本物ですわ」
「ああっ、本物、それも最高級な物ばかりじゃ」
「ついでに温泉もあるよ! 寝るのも地べたで寝ても気持ち良い空間にしたんだ! この場所は僕と二人しか見えないようにして更には入れないようにしたんだ。あの部屋じゃ狭いし、夜の間は此処で過ごさない?」
「控え目に言って最高です」
「わらわもじゃ…こんな物を貢がれたら、流石のわらわもどうして良いのかもう解らぬのじゃ」
「気に入って貰えて良かった…それじゃ、少し疲れたから僕寝るね。お休み」
布団で寝るのも良いけど、自然の中で眠る方が気持ち良い。
「お休みなさい」
「お休み」
二人も気に入ったのか、僕のすぐ傍で眠っている。
気にって貰えて良かった。
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