第100話 入学前 やれる事はやったわ。
「え~この度、名誉理事長から学園長になりました…メルです!」
嘘でしょう…
なんであのメル様が学園長になりますの…
伝説の大賢者。
その力は1人で一国相手に戦い勝利が可能と言われています。
それにもう数百歳の筈なのですが、未だに幼く見える容姿。
噂では不老不死の法を見つけたと言われています。
『神に尤も近い』そう呼ばれているメル様が今、目の前で挨拶していますわ。
あの方は自由が好きで、今迄、王であるお父様が何回頭を下げても指導の場に立って下さる事は無かったと聞きました。
しかも、学園に『大量破爆裂呪文』を放ち学園を崩壊させたのに…どうしたのでしょうか?
周りがざわついています。
此処は王族の私が代表して聞くべきでしょう。
「お聞きしてもよろしいですか?」
「どうぞ!」
「前の学園長はどうなさったのですか?」
「3年間だけ変わって貰ったわ」
「何故、自由人と有名なメル様が学園長に成られたのですか?」
「そうね…まぁ、色々あってね…そこから説明が必要ね」
最後の勇者パーティのメンバーで大賢者のメル様。
それが学園長になるのですから、特別な何かがある。
そういう事ですわね。
◆◆◆
「ルル王女は私がこの学園に大量破爆裂呪文を放ったのは覚えているかしら?」
「ええっ、特殊な呪文らしく、建物や服だけを壊した物ですわね…」
「それよ、あの時私が呪文を放ったのは私の弟子をこの学園が落としたせいなのよ」
「王立学園は由緒ある学園ですから実力が無ければ落ちます」
「ルル王女、私の弟子なのよ? 宮廷魔術師が2人掛でも勝てないわ…そこ迄鍛え上げたの! そのレベルで此処を落ちますか…」
どうせ、セレナくんはボロを出す。
だったら、その時誤魔化す為に『天才』というレッテルを保険で貼らせて貰うわ。
「宮廷魔術師並みの実力者なのですか? それがなんで学園に…お父様に話しますから仕官した方が宜しいですわ」
「それは必要ないわ、彼は聖教国の人間で教皇の遠縁だから、ただ彼は修道院暮らしと、私との修行…それ以外を知らないのよ!だからこの学園には勉強というより、人間関係をはじめとする常識の勉強をしに来ますから、ルル王女をはじめ皆さん仲良くして下さいね」
「宮廷魔術師2人より強いけど、常識を知らないから、社会やルールを知る為にこの学園に通う、そう言う事で宜しいのでしょうか?」
「概ね、それで良いわ…ただ実力は…もう少し上だわ」
「え~とどの位ですか?」
「そうね、私とガチでやりあって5回に1回は勝てるわ」
「「「「「「「「「「え~っ」」」」」」」」」」
「愛弟子ですから…まぁそう言う訳で教皇の遠縁で、私の弟子ですから…まぁ仲良くしてあげて下さい」
どうせ、セレナくんはやらかすわ。
だったら、その時に『大賢者の弟子』だから。
そう言い訳が出来た方が良いわ。
それに、教皇の遠縁なら妙に絡んでくることも無いでしょう。
「それじゃ、皆さん3日後に特待生としてセレナくんが入学してきます…皆さん仲良くして下さいね」
やれることはやったわ。
これで失敗したら…うん、人里離れてまた生活しよう…
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