第99話 メルSIDE 二人に任せたわ
「メル、これなに?」
「魔王の力をその昔、封じる為に作られた賢者の石の模写よ!多分、半分位の力はあると思うの…指輪にしたからつけてみて…」
今の私のありったけの知識を動員して作ったのよ…
「これを身に着ければ良いの?」
「そうよ」
これは勇者パーティ時代じゃ作れ無かった物よ…
長い年月をかけて完成させた私の傑作のひとつ。
これなら魔王ルシファードでも魔力をかなり抑えられ…
「これがどうかしたの?」
「どうかなセレナくん…少しは力が押さえられるんじゃ…」
「う~ん、どうかな? あまり変わらない気がする、気のせいか少し力が増した気がするんだけど…本当に僅かなんだけどね!」
そうか、聖魔法の力を込めて、とびっきりの封印を込めたんだけど、女神の血が入っているから、逆なのね。
これで無理なら、もう力を抑える事は絶対に無理だわ。
◆◆◆
結構離れた場所の森に来たわ。
「セレナくん、出来るだけ力を抜いて、最低限の魔力でファイヤーボールを撃ってくれるかな?」
「解ったぁ…ファイヤーボール!」
ドガァァァァァァァ――――ン!
なにこれ…なんでファイヤーボールがフェニックスみたいになって大岩を壊すのよ。
「あの…セレナくん、これ!どの位の力で撃ったの!」
「う~んとね…1/100位かな…」
これで1/100…
「これ以上、落とす事は出来るかな?」
「う~ん、どうにか頑張ってみるけど、難しいと思う」
セレナくんもそうだけど、横の二人も気になるわ。
「そう言えば、2人は魔法みたいな物は使えるのかな?」
「私は魔法はほぼ使えませんね…出来るとしたらこんな物位ですわ」
指先から血が出て、それが蝙蝠の様になったり、鎌みたいになったりした。
「それは…」
「血液と魔力を使った物ですわね、鋼鉄位は引き裂けますし、相手に浴びせれば溶かす事も可能です…あとは…」
なんで、私の手が勝手に首を絞めようとしているの…
「なっ…ちょっとやめて…」
「こんな感じに想いのまま相手を自由にできますのよ、基本殆どの人間は私には逆らえません」
「ハァハァ…そう…」
「わらわも同じ様に人間を自由に操る事は出来るのじゃ…後は、狐火の術―――っ!」
ドガァァァァァァァ――――ン!
「それ…」
「どうじゃ?!驚いたじゃろう?わらわもセレナ程ではないが炎が得意なのじゃ」
なんでこんなのが学園に通いたいなんて言うのよ。
普通の学生しか居ない学園に魔王を通わせる様な物じゃない。
ハァ~頭が痛いわ。
「セレナの事を誤魔化して普通の子として学園に通わせたいのですよね? それならこのカーミラにお任せ下さい!バンパイアの歴史は隠ぺいの歴史、完璧に誤魔化して見せますわ」
「うむ、わらわも本来は狐じゃ誤魔化すのは得意じゃ、安心するが良い」
「本当? 本当に大丈夫?」
「任せて下さい!」
「任せるのじゃ」
「解ったわ…本当に信じているからね」
私にはどうする事も出来ないわ。
だから…二人に任せるしかないわ。
大丈夫…よね?
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