第96話 メル巻き込まれる


ああっ凄く頭が痛いわ。


なんでお母さんまで持ち出すのよ…確かにお母さんだけどさぁ…


数百年ぶりにイシュタス様と顕現したと思ったら…


『お姉ちゃんでしょう?しっかり弟の面倒みなさいね!』は無いわ。


しかもあのムスコン女神も…


『息子の事頼みましたよ』


なんだか異世界の女神が来て『過度な干渉はしちゃいけない』って言われたんだって。


いや、多分、その異世界の女神の方が常識人だわ。


魔王討伐の時にすら声しか聞かなかった女神イシュタス様がセレナくんの為なら顕現するんだから驚きだわ。


どれだけムスコンなのよ!


それだけじゃなく、いきなり変な空間に行ったと思ったら冥界竜バウワー様に魔王ルシファードにスカルキングが現れて…


『セレナの事頼んだ』だって…


世界を滅ぼせる竜に…


昔、戦った敵の親玉が頭下げるのよ!


はぁ~なんでこうも面倒事ばかり押し付けてくるわけ。


もういい加減私も冥界でゆっくりしたいわ。


セレナくんは確かに可愛いし良いんだけど…手を出しちゃいけないんだから、あまり傍に居たくないのよ。


ズルいわよ…


セレスの息子だからセレスに似ているし…静子さんの遺伝子を継いでいるからゼクトにも似ている。


私が好きになった男の子を足して2で割った容姿。


しかも、女神の遺伝子まで継いでいるから、少し神々しい。


それでいて、私の胃袋を掴んで離さないセレスの料理。


『これで手を出すな』


なんて本当に酷いと思わない?


だけど、手を出すのも面倒を見ないのも怖いので…


久々に仕事をする事にしたのよ…


王立学園の学園長。


セレナくんが何かやらかした時にフォローできる立場と力が必要だからね。


◆◆◆


「あの、その2人はなに?」


「え~と新しい婚約者」


そうかぁ~セレスやゼクトの影響を受けちゃったから複数婚なのね。


だけど、セレスの影響で、年上好きな筈なのに…


どう見ても齢は同い年みたいに見えるわね…


「今度は若い婚約者…えっええええええーーーーっ」


「これが私の本来の姿です…お世話になりますねお姉さま」


「これがわらわの普通の姿じゃな…」


姿だけじゃない…なに、この凄まじいオーラは…


怖い、大賢者と言われる私が手に負えない。


スカルキング、いえ魔王ルシファード級の力はある。


ただでさえセレナくんは目立つのに…ハァ~胃が痛いわ。


「あの、三人とも私と暫く生活して常識を勉強しようか?」


「常識?加減の事? 大丈夫だよ! ちゃんと手加減してリダお姉ちゃんやマリアお姉ちゃん位に調整するから」


「そう? なに考えているの! あれでも二人は剣聖に聖女だったのよ…学生なんだから…もっと実力を隠さないと駄目だからね!」


「え~あれ以下に…難しいよ」


「あはははっ、もう良いわ、三人とも私との生活の中で常識と手加減を学んで貰います…良いわね」


「「「はい」」」


本当に大丈夫かな?


あ~あ胃が痛いわ。





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