第90話 ヘラSIDE 誤算
「それでは新しくセレナの妻になる事が決まったもの同士で親睦を深めませんか?私は女神ヘラと申します」
最初の予定では私達3人とセレナの4人で親睦を深める予定だったのですが、先に3人で話し合いをさせて欲しいとお願いしたのです。
「めめめめ女神ヘラ…例え女神でもセレナ様はわたしませんわぁぁぁぁーーー」
「女神ヘラ…はぁはぁ、わらわを討伐に来たのか…戦いたくはないのじゃ、見逃してはくれぬか…」
「あの、皆さん、そんなに緊張しなくて構いませんよ! もうオリュンポスとは縁が切れていますし、相手がバンパイアでも悪狐でも討伐の兵を送ったりしませんから、この場は同じ妻としての話し合いをしましょう? 私も女神ですが、やらかした事はありますからね」
「そう言う事なら、良いですよ…良かった」
「心配して損したのじゃ」
「それでですね…私からの提案なのですが、セレナと一緒に三人で旅を3年ばかりして欲しいのです」
私は自分が考えた計画を二人に伝えた。
「それは構わないけど、ヘラ様はそれで構わないのですか?」
「わらわも構わぬが何故そうするのじゃ?」
「あの子に今必要なのは経験だと思うのよ…暫くは子供として色々な経験をさせてあげるべきだわ、だけど色々な面で今の人間の婚約者共々有名人だから難しい、そう思ったの! お二人はかなりの実力者で有名人だけど異世界には『吸血鬼カーミラ』『九尾の狐 妲己』を知る者は居ないわ、共に生活するにはうってつけだと思いますよ」
「確かにそうですね…」
「解るが、そこに何故お主が加わらないのじゃ」
「私は女神、私が傍に居たら不幸な事は何も起きず、良い経験になりませんからね、それに他の人間の婚約者と一緒に天界にセレナ様の住みやすい空間をつくる仕事もありますし、苦渋の選択ですが、お任せ致します…ですが手出しは許しませんよ?」
「手だしですか」
「何じゃ、そっちの相手は駄目なのか」
「相手は12歳の少年、15歳の成人まで手出し許しません、破ったら…」
「「破ったら(汗)」」
「大した事無いわ、カーミラは自慢の歯を1本残らずへし折りますし、妲己は8本のしっぽを毟りとったあと、その髪の毛を蛇にして見た者が石になる位醜くなる呪いを…」
「しない、しませんから」
「わらわも、せぬわ、だからその嫌な目で見るのはやめるのじゃ」
「解れば良いのです、それじゃ、人間の3人も呼んじゃいましょうか?」
「「えっ」」
「この辺りですね…それ」
私程の女神なら、空間を繋いで人を連れ去る事など簡単です。
「何がおきたのですか、鎧が発動してますわ、何者なのですか」
「敵ですか、手強そうですね」
「この獅子のエルザに何用だ!」
なんですか、このアテナの戦士に居そうな、いでたちは。
あの鎧も何となく似ていますね。
「敵ではありません!新しく婚約者になりましたヘラと申します、この二人はカーミラと妲己と申します、話がしたくて呼ばせて貰いました」
「「「えっ」」」
「驚かせてすみません」
「驚きました、私はフルールと申しますわ」
「私はロザリアです、宜しくお願い致します」
「あたいはエルザ、宜しくな」
「ご丁寧に、実は提案がありまして」
私は三人の老化を考え一緒にセレナを天界で待つ計画について話した。
「あの、宜しいですか?」
「何でしょうか?」
「私達はセレナ様に薬を頂き600年の寿命を頂いておりますわ!3年程度じゃ普通の人間と違って問題無いですわ」
「それをセレナ様がしたのですか…」
「「「はい」」」
12歳の神がそんな薬を作ったなんて、これで老化という大義名分がなくなりましたわ…しかもさっき迄着ていた鎧。
ヘパイストスですら作れないわ。
「少しお話ししましょう」
考えを練り直す必要がありそうですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます