第87話 お見合い1人目 カーミラ


お見合いの当日。


フルールやロザリア、エルザに相談したんだけど、三人は欠席。


僕の自由にして良いそうだ。


話しを聞いてみると…


「流石に異世界の女神様や魔王様並みの方とのお見合いに口は挟めませんわ」


「イシュタス様並みの女神様…口出しなんてしませんよ…ただ人柄だけ、お任せしますから人柄だけは見てください」


「冥界竜バウワー様や魔王ルシファード様が立ち会うんだよね…欠席でお願い」


確かに苦手だよね…


だけど、数年したら、嫌でも付き合わなくちゃならないんだけど?


大丈夫なのかな?


場所は冥界で行うんだって。


最初は一対一で話をしてそれから三対一で話をするんだって。


順番はカーミラさん、妲己さん、ヘラさん。


本来は一番偉いのはヘラさんらしいんだけど、当人の希望で一番最後にしたらしい。


三人とも凄い美人だっていうんだから、凄い楽しみ。


◆◆◆


「バウワーおじちゃん来たよーー」


「本当にいつも何処から入ってくるのじゃ…」


「いつも同じだけど、解らないよ…」


「本当に冥界にも自由に入って来られるのですね…」


「よく来たな、セレナ」


「あっ!ルシファードのおじちゃんにスカルキングのおじちゃん、今日はありがとう」


「あれ、だけど、なんで二人は距離を置いて座っているの?」


「まぁ、今日はある意味、儂らとルシファードの勝負でな、だがセレナはそんなの気にしないで好きにしていいから、気にしないでくれ」


「うん、解った」


「それじゃ、儂らに見られては恥ずかしいだろうから、後は当事者同士で…個室を作ったから左から順番に入って、話し終わったら、順々に次の扉へ入るのじゃ」


目の前に三つの扉がある。


バウワーおじちゃん、こう言うの好きだな…


「解った」


僕は左側の扉を開けて入った。


◆◆◆


部屋の中には、金髪で色白の綺麗なお姉ちゃんが待っていた。


凄く綺麗。


世の中にはこんな綺麗な人が居たんだ…


「今日で2回目ですね、セレナと申します」


「貴方のカーミラがお嫁さんになりに来ましたぁーーえっ、2回目」


「うん、この間、お婆ちゃんに化けていたでしょう?ほら血が欲しいっていうから、あげたんだけど?覚えてない?」


「バレていたのですか?」


「うん、だって僕、竜と女神の血を引いているから、正体も見えちゃうからね、蝙蝠さんバンパイアって言うんでしょう?」


「ええっ、凄いですね…吸血鬼カーミラ、それが私の通り名です…それで、この話はお断りになりますか?」


「なんで?」


「正体まで見破れるのであれば私がどんな女か解りますよね」


「うん、だけど気にならないよ」


「何故ですか?」


「あのね、僕は過去は関係ないと思うんだよね? 過去なんて言い出したら、バウワーおじちゃんなんて沢山の人を、それこそ億単位で殺しているし、スカルキングのおじちゃんの部下の多くはおじちゃんが殺した人間、これも万単位なんだよ? 全然カーミラが殺した数より多いよ」


「そうなのですか?」


「そうだよ?バウワーおじちゃんなんて、僕のニョロ…あっ忘れていた」


「どうかしたのですか?」


…ニョロ怒ってないかな、すっかり忘れていた。


「ううん、何でもない…話し戻すね、僕の周りには沢山の人を殺した人ばかりなんだ…今婚約者が3人居るんだけど恐らく彼女達もカーミラ程じゃ無いけど多分人を殺していると思う。本当にそれで良いのか解らない。だけど、僕が全く知らない人を殺していても、そこ迄悪い事に思えないんだ!正直知らない人が千人死ぬより、知り合いが1人死ぬ方が僕は辛い…それに僕の恋人が人を殺す姿って余り見たくない…だから、恋人や友達が人を殺す位なら僕が殺した方がまし…そう思うんだ」


「あの…それはどう言う事なのでしょうか?」


「僕、子供だから話すのが下手でゴメンね…簡単に言えばカーミラが過去に沢山人を殺していても気にならない。だけどもし僕と結婚したなら、もう人は殺して欲しくない、もしカーミラが大変な事になったら僕が守るからね…そんな感じかな」


「本当に? 本当にそれで良いんですか?」


「うん…それで、婚約してくれるかな?」


「元から、カーミラはセレナ様のものになる為に来たんですのよ…断る訳ありませんわ…ええっ絶対に断らないですわーーっ」


「そう、それなら良かった!婚約指輪の代わりにこんなの作ったんだ…ゴメンね、下手糞で…」


「へっ?首輪ですね、着ければ良いんですか…セレナ様もまた支配欲が…良いですわ…あばばばばっ、これなんですのーーっ力が漲ってまいりますわーーっ」


「うんとね、『魔王の指輪(デーモンズリング)』っていう伝説の指輪があってね真似して作ってみたの…多分これがあれば吸血鬼なら齢を取らないと思う…どうかな?だけど、ゴメンね僕、本物みたいに小さく作れ無くて、その大きさになっちゃったの…」


「これが婚約指輪の代わり…凄いですね…感動ですわ…はぁはぁありがとうございます」


喜んで貰えて良かった。


「あと、もう一つあるんだけど受け取って貰えるかな」


僕は指輪を渡した。


「ハァハァ、指輪ですね…これも何か?」


セレスお父さんからこう言うお菓子があると聞いてマジックアイテムにしたんだけど…大丈夫かな


「マジックブラッドジュエルって言うんだ…それ指輪だけどお菓子みたいな物だから舐めてみて」


「こうです…ああっあああああむ、ペロじゅるっあああっ美味いですわ、最高の血ですわぁぁぁーー」


「良かった、血が好きだってルシファードおじちゃんから聞いたから、僕の血を凝固させて圧縮して作ってみたんだ、沢山の血を圧縮してつくったから多分1か月位はぺろぺろしても無くならないと思うよ」


「ああっ、これ止まりませんわ…あの、これから寝室に行きましょう…一か月位思いっきり奉仕いたしますわーー」


「嬉しいけど、僕まだ子供だからそれはまだ良いや」


「そうですか、私なんでもしますから、言って下さいね…貴方のカーミラですからね」


「うん、それじゃ婚約でよいんだよね」


「はい、今から貴方のカーミラですわ」


嫌われないで良かった。


カーミラさんって凄く美人だけど、面白い人だし、うん良かった。







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