第85話 婚約者について聞いてみた
「これがスパリゾート、まさかの貸し切り…凄いですわね」
「この国は元々はセレス様が家族と楽しく過ごしやすい様に作られた国だから当たり前ですね」
「英雄、勇者、神…誰もがこの世界じゃ特別な存在だからな、当たり前と言えば当たり前かぁ」
「そうですわね」
今日はスパリゾートの日なのですが、セレナ様はお昼過ぎからの合流なのですわ…セレナ様は『昨日は少し言い過ぎた』と少ししょげていまして、本日の午前中のお時間を使って、コミュニケーションをとると言ってましたわ。
「セレナ様は12歳、まさかあんなコンプレックスを持っているとは思っていませんでしたね…何でも出来るし、話し方は兎も角、凄く大人っぽいから忘れていましたわ」
「そうだな!あたいが12歳の頃と言えば、今思えば只のガキだった」
「そうですわね、幾ら神様の子とはいえ、心は限りなく人間ですもの、悩みが無い訳ありませんわ…本当は学園に通いたかったのですから…」
「まぁだけど仕方ないわ…魔王ルシファード様に 冥界王スカルキング様の推薦書に、大賢者メル様が保証人。そんなの誰も信じませんよ…」
「まぁ、普通の人間が考えればそうだな、あたいだって事情を知らなければ冗談かふざけている…そう思うわ」
「そうですわね、今思えば女神イシュタス様や神竜セレス様は、恐らくセレナ様に学問とかでは無く、色々学ばせて経験をさせてあげたくて『学園生活』を望んでいたのかも知れませんわ」
「でも今更無理ね」
「そうだな」
「ええっ、解っていますわ! だから、私達は妻というだけでなく友人になる必要がありますわ…そして妻なのですから『神』ではなくあくまで夫として扱うべきなのですわ」
「言われなくても当たり前ですね…何をフルールは力説しているのかしらね?」
「元からあたいはそのつもりだよ!何をいまさら…」
「ロザリア、エルザ」
「気張る事は必要ないですね…今迄通りで良い筈ですよ」
「12歳だって男なんだ…コンプレックス位は自分で乗り越えるさぁ、『神の孤独』なんて奴は誰にもどうしようも無いが、あたいら3人が居るんだ...大体妻が3人も居るのに孤独なんて贅沢なんだよ」
「まぁ、そうですわね…もうじき3人も加わると言うのに…」
「あら、フルール辞退者が出たから2人になったんじゃないの?」
「あたいも教皇様からそう聞いたよ!」
「私も、そう聞きましたわ! ですが、セレナ様が相手ですから、なんとなくその辞退者も戻ってくるような、そんな気がしますわね」
セレナ様は女神イシュタス様の血が入っているせいか、何とも言えない魅力があります。
異世界の存在がどんな方か知りませんが…何となく引き込まれる気がしますわね。
まぁ、あくまで私の感ですが…
◆◆◆
「昨日は怖がらせてゴメンなさい!」
「そんなセレナ様が頭等下げないで下さい」
「私は貴方の従者のつもりです…このエドガー困ってしまいます」
「そうですよ、貴方は神の子なのですから何者にも頭等下げてはいけません」
「そうですよ、それに神の言葉を聞いて怖がる者なんて此処には誰もいません、そうだよな」
「「「「「はい」」」」」
流石に昨日はやり過ぎたから僕は謝ろうと思った。
ただ、謝っても誰も謝罪を受け取ってくれなそうだから…皆が喜んでくれるように昼食を用意した。
厨房を使って立食パーティが出来る位にご馳走を並べた。
イシュタスママが顕現して怒られたから…そう言う訳じゃ無いよ。
本当に言い過ぎたから、僕なりの心からの謝罪だ。
「ありがとう…それで、お詫びと言ってはなんだけど、少し早起きして料理してみたんだ…良かったら気兼ねなく食べて欲しい…そして、親睦を兼ねて、色々話さない?」
「「「「「「「「セレナ様がそう言うなら」」」」」」」」
「皆、固いよ」
セレスお父さんからの伝言で「人と仲良くなりたいなら、自分から歩み寄らなきゃ駄目だよ」そうイシュタスママから聞いた。
これからは僕から歩み寄れば良いんだよね。
頑張って距離を詰めなくちゃ。
◆◆◆
「そう言えば、僕の婚約者候補の話ってどうなっているの?」
どんな人を紹介してくれるのか気になる。
どんな人に決まったのかな?
「それがセレナ様、色々悩んだのですが、人族側では誰でとでもお見合い出来るパスポートを用意しました」
「一体どうして、そうなったの?」
「それが、冥界竜バウワー様とスカルキングが協力しまして異世界の女神を紹介する事が決まり、魔王ルシファードは異世界の美しい存在2名を候補に挙げたそうです。流石に、そこ迄の存在を紹介出来そうに無いので、三国で話し合い、この様に決めさせて頂きました」
「色々、ありがとう…これ美味いですよ、良かったら食べて見て下さい」
「それじゃ、頂きます」
あとでバウワーおじさんとルシファードおじさんに聞いてみよう。
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