第82話 結局駄目なんだね...


楽しんで戻って来ると、案内されたのはコハネ城だった。


「セレナ様、これは一体どう言う事ですの?」


「フルール、しらじらしいですよ!」


「偉大なる盟主セレナ様~の下りから想像がつかないわけ無いだろう?まぁ教皇様がある程度気がついての配慮…そういう事だろうな!」


「それは知っていますが…これはあからさま過ぎますわ」


コハネ城に案内された先には、教皇のおじちゃんや教会の偉い人間が明らかに居るし、しかもエドガーおじちゃんが罰悪そうに目を逸らした。


此処迄来たらもう仕方ないのかも知れない。


「もう良いや…エドガーおじちゃん三人を部屋に案内して」


「「「セレナ様?!」」」


「うん、これから楽しく過ごす為にも今日は、しっかりお話をさせて貰うから、三人には余り見せたくないから、部屋で休んで居て、明日はスパリゾートを楽しもうね…それじゃ、エドガーおじちゃん、三人を早く案内して!」


「はっ」


三人が心配そうに見ているけど、気にしない。


「大丈夫だから気にしないで…」


そう伝え手を振った。


◆◆◆


さてと…


「ロマリス教皇、その他の皆…どうしても僕を『神の子』として扱いたいのかな?」


「セレナ様はまごう事無き…」


「神気解放」


余り、こういう事はしたくないんだけど、仕方が無い。


「ああっ…ああっ、セレナ様」


「黙りなさいロマリス、他の皆もその場にひれ伏せなさい!それにエドガー神である僕との約束も真面に守れないのですか…これから先、死より辛い人生が貴方を待っているでしょう…」


「あがっあは、あがががっ…ハァハァお許し下さい…お許し下さいーーーっセレナ様――っ」


「そのままひれ伏しておきなさい…ロマリス、一体貴方は何を考えているのですか? 貴方の計画を私に話しなさい!」


「私は…」


「神に嘘は通じない!」


本気になった神に嘘は一切通じない。


嘘を僕に話せば、死ぬ程の地獄を味わう事になる。


「わ、私は各国に働きかけ、その結婚相手を探そうとしていました、ハァハァ…くっ苦しい」


「そう…解った」


此処で僕は神気を解いた。


「どうかな? これが『神』という者だよ…僕に対しては真面に話せないし、僕がいうだけで体も動かなくなり、一切の嘘が言えなくなる…もし僕が望めば恋人だろうが妻だろうが、平気で差し出すようになる…そんな、存在と付き合いたいの? それともこっちが良いのかな?竜化―――――っ」


セレスお父さん程じゃないけど、巨大な竜の姿に変わった。


「我が名は神竜セレナ、偉大なる神竜セレスの息子だぁぁぁーー、逆らうならこの世界を滅ぼしてくれようぞーーーっ」


「「「「「「「「「「…ああっああああーーーーっ」」」」」」」」」」


すぐに僕は竜化を解いた。


「ねぇ、ロマリス、エドガー、そして皆はどの僕と付き合いたいの? 一切逆らう事は許さず、全ての人間に君臨する僕が良いの?逆らったら国ごと滅ぼす神竜がお望み?」


「セレナ様、私は…」


「ロマリス…人間だけだよ!冥界竜のバウワー様は僕より神格は遥かに上だけど、孫みたいに可愛がってくれる!魔王のルシファードや四天王のスカルキングは僕より下の実力だけど、息子や孫みたいに扱ってくれるよ?冥界には普通の人も沢山いるけど、皆は弟として扱ってくれるんだ…だから、僕は『只のセレナ』で居られる。そして僕の婚約者達も『セレナ』僕を1人の男性として見てくれる…それなのになんで皆は出来ないのかな」


「私達は…そんな…」


「ロマリス、言わせて貰うけど、貴方の祖先は僕のお父さんやゼクト兄さん達をこんな扱いして居なかった筈だよ…もし僕が大切だっていうなら、友達はもう諦めたよ…だからせめて『仲の良い隣人』として扱ってくれないかな?」


「解りましたぞ…セレナ様が望む立派な隣人になって見せます」


「俺も頑張ります、セレナ様…セレナ様は俺にどんな隣人になって欲しいですか?」


「あの…これは一体どう言う事?」


「これが先程の答えです! セレナ様が服従を望むなら血の一滴まで捧げます!孫娘の命が欲しいのなら喜んで差し出します! 国を滅ぼしたいならこの手を紅蓮に染めあげて協力します! そして友人が欲しいなら、最高の友人になります…それが我々宗教者なのです」


「それじゃ…隣人で」


もう何を言っても…駄目だね。


イシュタスママやセレスお父さん、ゼクトお兄ちゃん。


きっと苦労していたんだろうな…


◆◆◆


うん?


『私は各国に働きかけ、その結婚相手を探そうとしていました』


そう言って居たよね?


どう言う事?


「エドガーおじちゃんにロマリスおじいちゃん!さっき僕の結婚相手を探すって言っていたけど? どう言う事かな?」


「実は…」


各国で国をあげて僕の婚姻相手を探すのか。


ハァ~


よく考えたらセレスお父さんも王族を娶っているから仕方ないのかな。


ゼクトお兄ちゃんもそうだし…


「それは解ったけど…一体どんな相手を探すつもりなのかな?」


「古の聖女、セシリア様しいては、女神イシュタス様のような方を聖教国では考えています」


それどっちも僕の母親なんだけど。


「ロマリス教皇…エドガー…もし結婚するとして、その相手が自分の母親、そっくりだったらイチャつけるのかな?」


「うっ…」


「私は多分出来ません…」


「そうでしょう?年上が好きなのは認めるけど、セレスお父さんの奥さんもゼクトお兄ちゃんのパーティメンバーも皆、身内だからね!似て居ない方が良いんだよ…探してくれるのは有難いけど、その辺りは外して欲しい、頼んだよ」


「「はい」」


なんで驚いた顔をして居るんだろう?


当たり前だよね…



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