第79話 コハネにて
「此処がコハネかぁ~うん、うん見てみたかったんだ」
「コハネと言えば、セレス様や静子様達が最後に過ごした国ですから、セレナ様が来たかったのも頷けますわ」
「そうですね!勇者セクト様がおさめた国でもあるんですよね」
「何より、此処は世界一の避暑地だよ」
此処の話は良くセレスお父さんに話を聞いていた。
家族みんなで楽しく暮していたそうだ。
ただ、此処の話題になるとイシュタスママが不機嫌というか悲しそうになるから、イシュタスママが居ない時限定で良く話で盛り上がっていた。
僕も、話が解らないから蚊帳の外で少し寂しかったな。
「それじゃ、何から楽しもうか?お刺身を食べに行く?温泉に入る?それとも泳ぎに行こうか?」
「そうですわね! お腹がすきましたから、まずは食事が良いですわ」
「賛成」
「うん、あたいもお腹が空いているから、それが良い! それに生の魚なんて他じゃ滅多に食べられないから、セレナ様食事に行こう」
「そうだね!そうしよう! ロマーニ教皇おじちゃんにエドガーおじちゃんも良いよね?」
「はい、自由にして貰って構いません! ただ、楽しみ終わったら、あちらのコハネ城まで来て頂ければと思います」
「うん、解った…あとエドガーおじちゃんは話があるから、あとでお話しようね?」
「セレナ様…」
「あとでね、それじゃ行ってきます」
「「いってらっしゃいませ」」
教会の人達に別れを告げ、此処からは自由時間だ。
しかし、エドガーおじちゃんには困ったもんだ、教皇のおじちゃんに話したみたいだし、後でお話しないとね。
◆◆◆
「これが、セレスお父さんが言っていた、船盛に寿司、う~ん美味しい、これは流石に僕でも作れないな」
「このウナギの蒲焼って言うのも変わった味で美味しいのですわ」
「この茶碗蒸しも上品で美味しいですね」
「天丼っていうフライも美味い、特にエビは最高――!」
セレスお父さんの言った通りだ。
海鮮は新鮮かどうかが勝負だから、お父さんが育ったジムナ村は海が無かったからセレスお父さんも苦手だった。
そして、勿論条件が同じだからカズマおじさんも同じ。
2人とも和食は作れるけど、本場には劣ると言っていたんだよね。
それでも納豆に海苔巻き、味噌汁に天ぷらに焼き魚に干物は充分美味しかったけど…本場は、うんやっぱり違うよね。
「セレナ様でも難しいのですね」
「天ぷらやウナギの蒲焼は作れるけど、此処迄美味しくは出来ないよ、刺身とかお寿司は新鮮な海のお魚が余り手に入らなかったから作った事無いんだよね!川魚の押寿司なら僕でもあるけどね」
「それはそれで、凄いと思いますよ!」
「全部じゃないけど作れるなんて凄いよ!」
「そう言って貰えると嬉しい、此処迄美味しくは作れ無いけど、今度は和食もチャレンジして見るね」
「女性として少し情けないのですが、お願い致しますわ」
「楽しみですね」
「あたいは丼物を作ってくれると嬉しい」
「そう、それじゃ今度頑張ってみるかな、これでお腹も膨れたし、今度は何をしようか?」
僕がセレスお父さん達から聞いた話では、温泉、海水浴、プールが楽しめると聞いたけど
そう言えばリダお姉ちゃんは魚釣りが楽しいって言っていたかな。
「あの、私は、うでの湖の豪華クルージングに行ってみたいですわ」
「私は、ロイヤル コハネ フォーシーズン ハワイアン プラチナホテルのスパリゾートに行きたいですね」
「あたいは美味しい物が食べられたら良いや、任せるよ!」
スパリゾートに行くならまる一日掛かるから、今日は難しい。
「それなら、今日は豪華客船のクルーズに行こうか? スパリゾートは明日にでも行って思いっきり楽しめば良いんじゃない? 美味しい物って言うなら、ワカサギをはじめとする湖の魚の料理に猪鍋とかあるみたい…まぁ古い情報だけどね」
「ありがとうございます、クルーズが楽しみですわ」
「スパはゆっくり行った方が良いですからね」
「ワカサギって美味いのかな? 楽しみだ」
「それじゃ決まりだね、おじさんお勘定!」
「はははっ! 国王様からお代なんて頂けません! サービスで結構です!」
「「「「国王?」」」」
「はい、教皇様の触書と人相書きを持って、前の領主の一族のエドガー様が触れまわっていましたよ!『偉大なる盟主セレナ様~』がとセレナ様で間違いないですよね」
「うん…セレナです…それじゃお言葉に甘えます、ありがとう」
「有難き幸せでございます」
エドガーおじちゃんにはやっぱり、しっかりお話しないとね。
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