第75話 マイロード
冥界とこの世界は時間軸がズレているから、こっちの世界じゃ余り時間は経ってない、うんこれなら誤魔化せるね。
「それじゃあね、エドガーおじちゃん、この事は内緒だから」
「はい、神、セレナ様!」
神? 僕の事?
「僕は神じゃ無いよ?」
「何を言われるのですか? 冥界に自由に出入り出来て、あの伝説の冥界竜バウワー様と自由に話せる存在、それが神でなく何なのでしょうか? しっかり聞きましたぞ!『バウワーおじちゃん』と!女神よりも神格が高いという冥界竜バウワー様を『おじちゃん』と呼び、死んだゼクト様を呼び出し会わせられる存在、最早、勇者なんて枠じゃない、貴方こそが『神』です!」
困った…
「それじゃ、僕が神だとしたらエドガーおじちゃんはどうするの?」
「私は、貴方には物凄い借りがある! 同じ勇者一族の二人の心を救って貰った。この身も治して貰った…この恩は生涯の忠誠を持って…」
「要らない」
「セレナ様?」
「良いよ、教えてあげる! 僕は女神イシュタス、そして英雄とも神竜とも呼ばれるセレスの息子だよ…」
「やはり、セレナ様は神だったのですね」
「女神の息子だけど、僕は神じゃ無いよ? それはおいて置いてね、僕のママ、イシュタスママなんだけど? 女神で幸せだったと思う?」
「女神様ですから、幸せだったのではないですか?」
皆、凄い勘違いしている。
イシュタスママが言っていた『セレス達と出会うまで孤独だった』って。
今が凄く楽しいって…
「あのね、イシュタスママはセレスお父さんに会うまで『孤独で寂しかった』そう言っていたよ? 神様ってこの世に殆ど居ないでしょう? だから、凄く寂しい存在なんだよ! バウワーおじさんや竜は解らないけど、少なくともイシュタスママは『寂しくて孤独』そう言ってたんだ」
「そう、なのですか?」
「うん、僕がこの世界に来たのも『婚約者探し』の他に、セレスお父さんやゼクトお兄ちゃんが楽しめなかった『青春』を過ごさせてあげたい、そういう気持ちもあったみたい!尤も、そっちは上手くいかなかったけどね! 自分でも常識を知らなかったのと、まぁ子供だから、色々やらかしちゃって失敗しちゃったけどね…それでエドガーおじちゃんはどうする? 僕を『神』として扱って孤独にしたいの? それとも、仲良く『友達』になってくれるの?」
「私は…」
「話せる事は、全部話した、どうするかはエドガーおじちゃんが決めて」
勇者一族って、ゼクトお兄ちゃんに雰囲気が似ているから困るんだよね。
なんだか、少し甘くなっちゃう。
「私は、私は…セレナ様が幸せなら、それが1番です…マイロード、セレナ様」
マイロード?
「マイロード?」
「ご主人様、そう言う意味です! 神として扱うのが無理であれば『我が主人』として扱う事にします! 友人は流石に無理でございます、ですから『主君』として生涯の忠誠を誓いましょう…さぁ、婚約者様がお待ちでしょう? 私はこれで下がらせて貰います!では、又明日」
「そう?」
「はい」
ハァ~。
友達になってくれるかな。
そう思ったのに…失敗だ…これ。
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