第73話 全て話した
「これ楽しい?」
「凄く楽しいですわ…流石は帝都劇場ですわ」
「名優ばかり、本当に凄いですね」
「あたいはこう言うの苦手だけど、これは見ごたえがあるよ」
「それなら良いけど、うん楽しんでね」
教会の人の案内で帝国劇場に来て劇をみているんだけど…
身内ネタを見ているようで、何だか恥ずかしい気がする。
静子お母さんとセレスお父さんの馴れ初めから始まり、他のお母さんとの出会いまでが劇になっている。
見ていて楽しい反面、自分の父親や母親の馴れ初めから、恋愛ネタはちょっと恥ずかしい。
その反面戦闘シーンはなかなか見ていて楽しい。
しかし、出て来る登場人物が全員、知り合いって言うのはどうなんだろう?
本当にこんな事があったのかな?
今度帰ったら聞いてみようかな…
「そう言えば、セレス様ってどんな人なのでしょうか? 凄い美形だったって話ですわね」
セレスお父さんの小さい頃に僕は似ているらしいから、もう近い顔みているんだけどな?
「昔は戦乱だったから大変だったのがわかりますね」
「確かに大変だったみたいだね、お父さんは相当…いや昔の人は凄く苦労したみたいだよ」
「そう言えば、セレナ様は勇者様や剣聖様の技を使えるんだよな?なんで出来るの?」
「僕の場合は、生まれつきの体質なのかな? 頑張ったら使えた!」
これは本当だから仕方が無い。
「ですが、この劇では、勇者ゼクト様は凄く苦労したみたいですわ、光の翼が出来る様になるまで2年以上の月日が掛っていますわね。12歳で使えるセレナ様はゼクト様以上の天才という事ですわ」
「物語が本当なら、セレナ様はゼクト様どころかセレス様以上の天才という事になりますね」
「あのさぁ、それもそうだけど、セレナ様はセレス様に似ていると思わないか? 年上好きだし、料理が得意で愛妻家、しかもセレス様の料理の師匠はあのカズマなんだよね? セレナ様もカズマのしかも古いレシピを知っているし…もしかしてセレナ様はセレス様の転生者だったりして…」
そろそろ潮時かな。
「教会の人に聞かれたくないから、ちょっと顔を寄せて」
「内緒話ですわね」
「いよいよ、教えて下さるのですね」
「やっぱり秘密があるのか?」
「僕のお父さんがセレス、ママが女神イシュタス…だからだよ」
お母さんやママが沢山居るのは下界じゃ可笑しいらしいから、態々話さないで良いよね。
いつか天界に招いた時にその辺りは話せば良いや。
「「「ええーーっ」」」
「しーっ、皆を信頼しているから話したんだから、静かに!僕は今迄、天界で暮らしていたから色々知らない事が多いんだよ、それと天界に居るのはセレスお父さんの妻しか居ないからね、嫁さんを探しに下界に来たんだ」
「そう言う事でしたの」
「これでようやく全てが解かりました」
「普通じゃない、そう思っていたけど、勇者どころか、セレス様の子供か…だから凄いんだ」
「ですが、セレス様は、英雄で強かったとは聞きましたが、勇者の技は使えなかった筈ですわ」
「そうですよ? セレス様は勇者じゃないんですから」
「言われてみればそうだよな」
う~んどうしよう…
「ゼクトお兄ちゃんから教わった」
「「「勇者ゼクト」」」
「はははっ、これも内緒だよ! 冥界に行った事があってそこで教わったんだ」
「「「冥界に行かれたのですか?」」」
「まぁね…大体、こんな感じかな? なんだか教会の人が騒ぎそうだから、絶対に秘密だからね」
とは言え、バレても何も問題ないんだけど…暫く自由に生きたいからね。
ただ、それだけなんだよね。
「私は絶対に話しませんわ」
「私だってそうです」
「あたいも…」
「そうしてくれるとありがたい」
「ですが、どっちみち扱いは変わらないと思いますわ」
「まぁ、今でも勇者と同等、いえそれ以上の扱いですから」
「うんうん、全てばれても、扱いはきっと変わらないよ」
「確かに、そうかも知れないけどね…一応内緒にして置いて」
婚約者も3人出来たし…そろそろ、この生活を終わりにしても良いのかも知れない。
今度イシュタスママに聞いてみようかな…
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