第72話 いつもの食事と変わらない


流石に、食事が始まったら、教会の人は出ていってくれた。


だけど、この食事が…


う~ん、なんだか微妙な気がする。


美味しいのかな?


「どうかなさいましたか? セレナ様…」


「う~ん、この料理なんだけど、なんだかソースが今一な気が…」


「まさか…この料理は私、ミクドが責任をもって作らせて頂いた物です…そんな事はありません」


う~ん、どうだろう?


セレスお父さんがそう言えば言っていた。


普通の人の料理が不味い場合は、指摘しないで『美味しい』って黙って食べろって…でも相手がプロの場合は別でちゃんと言ってあげる方が親切なんだって…


うん、決めた。


「ごめんね、ちょっと厨房を貸して貰えるかな? あと、この料理一旦下げて」


「あの、これは私が作った物でして、最高級の…」


「うん、これはこれで美味しいけど、ちょっと、良かったら見てくれない」


「はぁ」


「「「セレナ様」」」


「まぁ良いから任せて」


う~ん、なんか少し物足りないんだよな…


◆◆◆


「その料理は全て私が監修した物で教皇様や王族、貴族の方にもお出ししたメニューです…それが、不服なのでしょうか?」


「そうまでは言わないけどさぁ…まぁちょっと見てて…まずはこのスープだけど…こんな感じに少しスパイスを足してこんな感じにすると…ほらね」


「そのスープはもう完成された物です手なんか加えられる物じゃ…」


「良いから飲んでみて」


「ハァ~教皇様に言われているから仕方ないですが…美味い…どうして」


「でしょう? この方が味覚を刺激して美味しいよね? お父さんから教わったんだ…あと卵の焼き方もオーダーとった方が良いよ! 僕は固めのターンオーバー、フルールは半熟、ロザリアとエルザはミディアムが好み…だから好みに合わせて焼いた方が親切だよね! 付け合わせのパンは…そう、柔らかいクロワッサンが良いかな? パンケーキでも良いし、もう一品ソーセージの様な肉料理を加えた方がバランス良いよ…」


「あの、私の知らない物が多々あるのですが…」


「そう? それなら、これはなにかの縁だから、教えてあげるね」


「はい…」


材料が無いから作れ無いものも多い…


「それじゃ、ミクドさん卵はどんな感じが良いかな?」


「お任せで大丈夫です…」


「そう?それじゃスクランブルエッグで…牛乳を入れて隠し味でヨ-グルトとバターをタップリ入れると美味いんだ…こんな感じかな?」


「...」


「あとはね、同じプレートに収納袋からソーセージを2本ボイルしてケチャップとからしを…」


「…」


「こんな感じかな…横にサラダを置いて特製ドレッシングを掛けてプレートの完成」


「後は、あちゃ、クロワッサンは無いか…仕方ないから、パンケーキを焼いてメープルシロップたっぷりかけて…」


「…」


「さっきのスープも良いけど、やっぱりポタージュの方が良いよね…よし完成! 良かったら食べてみて…」


「凄い…宮廷料理人が使う技術で作ってますね…ですが、このミクドは最高の料理人の1人、どれ…なんですかこれは美味い…まさか、これは『カズマの朝食』に近いですが…私が食べた物より数段質が上な気がします…一体どなたから教わったのですか?」


セレスお父さんはカズマおじちゃんから教わったんだよね。


どう言えば良いのかな?


「これは、カズマさんと、う~んと僕の祖先が一緒に開発したレシピです…少し手は加わっていますが…」


「食王カズマ? あの伝説の料理人と同じキッチンに立った人が作った料理の再現でしたか? どうりで美味い筈です! 他にも作れるのですか?」


「僕のお父さん程じゃ無いけどね『女性を喜ばせるには料理から』そう言われたから…まぁ少しは作れるよ」


「あの…すみません、弟子に…弟子にして下さい!」


「まだ、未熟だから無理…何時か僕も帰ったら続きを教わろうと思っているんだから…」


「ですが、此処迄出来るなら、一流の料理人として通用しますよ」


「そんなの必要ないよ、僕の料理は僕が好きな人の為にだけ作るだけのものだからね…好きな人が美味しく食べてくれるなら、他は必要ないよ…」


「「「セレナ様」」」


「そうですか…残念です…そうだ、それなら私と友達になりましょう、偶にで構いませんが色々教えて下さい」


「別に良いけど、それじゃ僕が4人分作るから配膳だけお願い致します」


「解りました」


これ、何時もの朝食と何が違うのかな?


この後は…どうなるんだろう?

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