第71話 普段着のマント


「今、なんとおっしゃいましたか?」


「『婚約者に僕が送る武器だよ…聖剣以上に仕上げたに決まっているじゃん』って奴?」


「そうですよ! 聖剣以上なんてどうやって作るんですか? 今現在この世界に聖剣を討てる人なんて居ませんよ」


「居るじゃん! メルお姉ちゃんなら聖剣位は作れると思うよ…多分」


メルお姉ちゃんは一応賢者だし長生きしているから作れる筈だよね…多分。


「そうですか! 確かに大賢者様なら作れるかも知れませんが、セレナ様もお作りになれるのですよね?」


「まぁね…所で今日はデートのサポートをしてくれるんじゃないの?」


「あっ…スイマセンでした」


何だか、これデートじゃない気がする。


三人は随分、複雑な顔をしている気がするし…なんだかな。


「あの、聞いても良いですか?」


「私も教えて欲しいですね」


「あたいも、その話を聞きたい」


仕方ない、まぁ良いか?


「仕方ないな、それで何を聞きたいの?」


「あの先程、聖剣以上と聞いたのですが、本当ですの?」


「う~ん…そうだね、僕が作れる剣は伝説級が限界なんだ…だから神級は作れない。そう考えたら最高クラスの聖剣までしか作れない、だから材質と工夫で伝説級の中で最高の武器や防具を作った…そんな感じ…」


「それって、どれ位なんですか?」


「う~ん、そうだね…このデオルフとどちらかが壊れるまでぶつければ壊れるのはデオルフだね、基本は破壊不可だし、壊れやすい部分は自己再生の力で補っているんだ。基本は絶対に壊れないけど、万が一神級の武器によって壊されたら自己再生する…だから伝説級を超える伝説級って感じかな正確には最高レベルの聖剣に付加価値がついている…そんな感じだよ」


「凄い…あたいの剣や装備、そんなに凄かったのか!」



「あわわわ…あの、それを見たいですな…すみません」


「仕方ない、誰か纏ってくれる?」


「あたいが…見せてあげるよ」


「一瞬で装着…こんな武器は初めて…上位鑑定…うがゃゃゃゃーーっ目が目が…」


「駄目だよ! パーフェクトヒール…その武器や装備は鑑定を使われると相手の目を潰すようになっているから…気をつけてね」


「あっあっ、聖女様の魔法をこんな簡単にセレナ様は…神なのですか」


「僕は僕…その話はもうやめてくれないかな…駄目? 三人も…皆の事が大好きな只の男の子…それじゃ駄目かな…」


「駄目じゃありませんわ、フルールは例えセレナ様が神でも悪魔でも大好きですわ」


「私もお慕いしております」


「あたいだって同じだ」


「そう、それなら、おじさん急いでくれるかな? 話をするのは構わないけど、この馬車ゆっくりじゃない?速くして欲しいな…」


「解りました」


そうだ…直接頼んじゃおう…


「ユニコーンのおじさん…急いでお願い….」


「「「ぶっひひひーーーーん」」」


ユニコーンのおじさん急いでくれるって…良かった。


「「「「ユニコーンと話せるのですか?」」」」


「まぁね」


最初からこうすれば良かったよ。


◆◆◆


ようやくレストランについた。


こんな近くなのに本当に、まぁ手配してくれたんだし文句は駄目だよね。


「いらっしゃいませ、本日の料理を担当しておりますミクドと申します…最高の料理を提供しますので宜しくお願い致します」


「お願い致します」


「セレナ様、ミクド氏の料理は、世界でも最高と評判なんです…是非堪能下さい」


今度はロマーニ教皇おじちゃんかぁ…しかしなんで驚いているんだろう?


「「「ロマーニ教皇様!」」」


「あの、なんでロマーニ教皇おじちゃんにそんな驚くの?」


「セレナ様、教皇様と言えばこの世界で1番の貴人なのですわ」


「世界で1番偉い人ですよ」


「そうだ世界で1番偉いんだぞ」


「そんな冗談駄目だよ…ただのおじちゃんなんだから」


多分、この世で1番偉いのはバウワーおじさんだよね…次がイシュタスママかな? う~んそんなに偉いと思わないな。


「ほっほっほっ、世界で1番偉いのは、セレナ様です、もう私じゃありませんよ…未来の奥方様にはロマーニと呼んで頂いて構いませんよ」


「「「えっ…」」」


「あの…ロマーニ教皇おじさん」


「おじさん、良い響きですね…おっとこれ以上デートの邪魔をしてはいけませんな…それでは私は席を外しますのでお食事をご堪能下さい」


「そうだ、ロマーニ教皇おじさん、今日のデートの手伝いありがとう、お母さんやお父さんがお世話になったらお礼をしなさいと言っていたから、これ作ってみたんだ…余り出来が良くないけど、はい…」


「マントですか? 凄そうですが、どんな物ですか?」


「う~んとね、即席で作ったから、そこ迄凄く無いよ…精々が人間の最上級魔法の全てを跳ね返して、死にそうになった時3度だけパーフェクトヒールが自動で掛かるだけだよ…パーフェクトヒールは3回しか掛からないから4回目からは只の魔法を防げるだけのマントになっちゃうからね…あとマントは切れないけど物理は防いでくれないから…気をつけてね」


「あの…鑑定をしても」


「うん、良いよ、危ないから名前と等級以外は見えないけど攻撃はされないから」


「では…鑑定」


『 不魔のマント 伝説級 』


「あっあっ…凄い、こんな素晴らしいマントをありがとうございます、国宝にさせて貰います」


「そんな大した物じゃないから…そこ迄感動される物じゃないよ…壊れたら新しく作ってあげるから、普通に着てよ」


「ありがとうございます…」


どうでも良いけどなんで跪いているんだろう?


いい加減お腹が空いたんだけど、ご飯まだかな。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る