第70話 魔剣がそんなに欲しかったの?


デートって付き添いが必要なのかな?


今、馬車の中には 僕とフルール、ロザリアとエルザ、そしてもう一人教会の人が居る。


「本日のデートの予定ですが、まずは帝国ホテルでモーニングをお召し上がりいただきます! シェフには世界的なシェフミクド氏がご用意致します。朝食は新鮮な卵料理、他、旬の食材を揃えております。 昼食はお魚メインで、ディナーにはマツサカのA5ランクを中心にコース料理を…どうしました?」


いきなり馬車の扉がノックされた。


「ハァハァ…」


「何事ですか? 此処にいきなり…」


「ハッ! エルザ様が所望の『魔剣』をお持ちしました! 教皇様にハァハァ許可を取りまして、あの剣聖リダ様の最後の愛剣、魔剣アンサラーをお持ちしました!」


「嘘だろう! あの常勝無敗の魔剣アンサラーをあたいにくれるのか…マジ!」


確か、セレスお父さんから聞いた『残念魔剣』だ。


たしかリダお姉ちゃんが死ぬときに冥界に持って来ないで『要らないから』ってそのまま残した奴だよな。


一見最強に思えるけど、攻略法さえわかれば簡単に攻略されるし、これに頼ると地力がつかない…そんな事言っていた気がする。


まぁ、今は平和だし一見ではまず負けないから、持っていても良いかも知れない。


「はい、セレナ様の妻になられる方ですから、リダ様の最後の愛剣を授けるのにふさわしい方だと思いますのでご用意させて頂きました」


「凄いな! 伝説の魔剣アンサラーだよ! 本当に貰って良いの?」


「構いません」


「良かったね…」


「だけど可笑しいですわ! 国宝級の宝石を頂けるのも充分可笑しいのですが、魔剣アンサラーは可笑しすぎますわ! 最後の勇者パーティの遺物なんて絶対にあり得ませんわ」


「確かに可笑しすぎますね」


「ほほほっ、セレナ様の婚約者だからでございます、エルザ様も気にせずお受け取り下さい」


「ああっ有難く貰って置くよ、ありがとう…こんな伝説の魔剣が貰えるなんて思わなかったよ…ありがとう」


「どう致しまして」


何故教会の人が僕にウィンクして来るのか解らない。


「エルザ、そんなにその剣が欲しかったの?」


「当然ジャン、伝説の魔剣なんだから」


「そう?だけど僕が作った『黄金の獅子剣』より遥かに弱いんだけど…それでも欲しいの?」


この程度の魔剣なら、何時でも作ってあげたのに…そんなに欲しかったのかな?


だったら、もう2~3本作ってあげたら良かった…


本当に言ってくれれば良いのに…


「まさか、幾らセレナの剣でも、これリダ様の最後の剣だよ」


う~ん…


「そう? それならちょっとそれ貸して」


「別に良いけど? はい」


「えいっ!」


バキッ…


「はい、こんな感じに簡単に折れちゃうでしょう?」


「「「「「アンサラーが」」」」」


「セレナ様、幾らなんでも酷いじゃないか…これ伝説の魔剣なんだよ」


「それじゃ、くっつけてあげるよ…」


僕は自分の血をアンサラーに擦り付けて『再生』の呪文を唱えた。


「「「「「えっ」」」」」


三人も教会の人2人も驚いている。


「これで直ったよ…若干強化してあげたけど、これ対人は強いけど、僕や皆には通用しないからね…まぁアクセサリーみたいに思っておいた方が良いからね」


三人とも劣化版のドラゴニュートになったの忘れたのかな?


「セレナ様『黄金の獅子剣』ってそんなに強い剣なのか?」


「婚約者に僕が送る武器だよ…聖剣以上に仕上げたに決まっているじゃん」


「「「「「セレナ様」」」」」


なんで三人も教会の人も驚いているんだろう…


解らないや。



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