第69話 特別な馬車と聖剣


「三人とも凄く綺麗だよ」


「ありがとうございます…ですが、このドレスにアクセサリーはどうしたのですか?」


「これ、全部国宝ですよ」


「こんなの王女でも着てないよ…凄すぎるよ」


「え~と、まぁ教会にお願いしたから…かな?」


「王女なんて俗物が身に着ける物と比べてはいけません…セレナ様の婚約者なのですから、宝石でも何でも欲しい物があったら何でもおっしゃって下さい…そうだ教皇様の王冠を潰して何かお好きなアクセサリーでも作りましょうか? あれは素晴らしいですからね、教皇様も…」


「あの…冗談ですわね?」


「流石にそれは頂けません」


「揶揄ってるんだよな?」


「揶揄って等おりません! セレナ様が愛している女性の欲しい物を調達するのも教会の務め、欲しい物は何でもおっしゃって下さい。命に代えても手に入れてみせますよ」


「冗談ですわよね」


「それは、素晴らしいですが、本当なのですか?」


「何か魔法が掛った剣が欲しい、なんて要望も通るか?」


「冗談じゃありません…剣ですか?教会所有の魔剣の一振りを教皇様に伝えて貰ってきましょう、それより今はデートをお楽しみください」


「マジかありがとう!」


「いえ、そんな物幾らでもご用意させて頂きます…さぁ馬車の方へ」


「「「「馬車?」」」」


あれが、馬車なのか…


「元は教皇様専用の8頭立てのユニコーンの馬車でございます! 今回からはセレナ様専用に変更いたしました。教会の紋が彫られていますから、どんな場所でもノーチェックです。関所でも門でも止まる事無く通れます。なにかあるといけないので聖騎士10名が騎馬でペガサスナイト6名が空から護衛にあたります…皆、側近護衛ようの正装をさせています...さぁどうぞお乗りください」


「本当にこれに乗って宜しいんですの?」


「世界で1台…最高と言われる馬車ですね」


「凄い!」


三人をエスコートして僕も後から馬車に乗った。


デートって凄く大変なんだな。


◆◆◆


「セレナ様、これはどういう事ですの?」


「このブローチ国宝の中でも金額が付けられない位の物なのですが、なんで頂けるのでしょうか? 多分王女でも持っていないレベルですよ」


「それもそうだけど、魔剣は物凄く手に入らないんだ…それがくれるって、信じられないよ…うん? セレナ様、その腰の剣は…もしかして…」


「これ? これは聖剣デオルフだけど?」


「「「聖剣デオルフ」」」


「聖剣デオルフと言えば失われた聖剣と呼ばれ、最後の勇者ゼクト様が生涯愛し続けた名剣ですわ」


「確か、真の所有者が持った時、光り輝き大地さえ切裂く…そんな伝説がありましたね」


「確か、その剣で帝国の王城を半壊させた、そんな話もあったね…本物なのかな」


まぁ、本当だよね。


ゼクトお兄ちゃんが言っていたからね。


「本物だって…ほうら」


明らかにエルザが見たそうだったので、剣を抜いて見せた。


なんでこの剣光り輝くんだろう?


相変わらず…うんピカピカだ。


「「「本物(です)(ですね)」」」


「まぁ、ちゃんと正式に貰ったもんだから…」


「セレナ様だから驚きませんが…凄いですわね聖剣が所持者として認めていますわね」


「もうセレナ様の事ですから驚きません」


「輝くって事はセレナ様は…ははは言わない方が良い?」


『ゼクトお兄ちゃんに貰った』


そうは言えないよね…



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