第68話 【教皇SIDE】 知った正体
「これが真実なのですね」
「はっ、王国に常駐している司祭が国王に口止めをされ黙っていたそうです。拘束し…そこから更に『破門』をチラつかせて、冒険者ギルドにも脅しを掛け手にした情報でございます」
「そうですか…」
冒険者ギルドの昇級試験で剣聖のオリジナルスキル『斬撃』を使ったとの事だった。
今現在、この世界には大賢者のメル様が居る。
そう考えたら、セレナ様は『大賢者』以外のスキルを全部使って見せた事になる。
『勇者』『剣聖』『聖女』のスキルが使える存在は、最早只の勇者じゃない。
そして、セレナ様を入試で落とした事で、魔王ルシファードに死の王スカルキングが動き…大賢者メル様も動いた。
これもザマール王国が圧力を掛けて隠していたが…
メル様が学園を破壊して、死の軍団を含む魔王軍が進軍。
冗談みたいだがこれも本当だった。
しかも、この事態の収拾に女神様に祈った司教は『今回の件の非は責は王国側にあります…ゆえに私は一切の助けは致しません』と声を聞いたそうだ。
『ふざけるな』
此処迄の事を聖教国に…私の耳に入れないなんて…
そして、重要なのは、死の王スカルキングが…
『その者は『神に愛された子』なのだ…今現在の能力で、すでに歴史に残るような勇者並みの力を持ち…成長すれば、魔族、竜族、そして女神との懸け橋になるやも知れぬ程の器の持ち主』
そう言っていたそうだ。
国からの脅しがあったとは言え、この様な事を伝えぬ司教…
一から信仰について勉強させる必要がある。
そう…これで解った。
セレナ様の正体は『女神の愛し子』だ。
大賢者メル様、魔王ルシファード、四天王のスカルキング、そして女神イシュタス様…不確かな噂では竜がセレナ様を見た時に驚いた噂もある。
勇者様どころの話じゃない。
『真に神に愛された存在』が降臨したのだ…それも世界を繋ぐ存在として。
これで信仰のある者が興奮しない訳が無い。
◆◆◆
「この不毛な世界でようやくダイヤを見つけたと思ったら…そのダイヤは城より大きかった」
「教皇様、どうかされたのですか?」
「これを…」
私は、セレナ様についての報告書を見せた。
「これは…はははは八大大司教をすぐに召喚します」
元から全員が帝国に来たがっていたが、泣く泣く数人は聖教国に置いてきた。
この状況を教えなかったら、大変な事になる。
教えない訳にはいかぬ。
今でさえ、全てを捧げるつもりで仕えているのに…『女神の愛し子』最早使いでなく『信仰の対象』に近い。
我々は只でさえ全てを捧げるつもりで信仰している。
この奇跡のような存在にどのように仕えれば良いのだろうか?
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