第66話 最高のデートの準備
「準備は大丈夫か? 馬車は…」
「教皇様専用のユニコーンの馬車を用意しました! 女性に好まれる、白をチョイスしました、馬車だから、大人の女性でも大丈夫です! 従者も聖騎士の中から女性を選びました」
「よし…食事の場所、宿泊施設は?」
「はっ、帝国ホテルで手配しました、料理人は信者の中でも最高のシェフミクド氏を呼びました、食材は最高の物を全部集めています。メニューは王族の冠婚葬祭のメニューからチョイス、聖教国中央教会楽団に所属の者で帝国近辺に居るものに招集をかけています。他にも有名な音楽家を集め、コンサートを開催、また、俳優女優も一流を集め、勇者様を題材にした劇を開催予定です」
「うむ、頼みましたよ…それでコハネの方は?」
「移動は聖教国の空竜艇を使います! 勿論、聖教国の紋章の物です。向こうでは、今回は城は使わず、神竜セレス様や英雄ゼクト様が好んだホテルを使います。 温泉プールがついた施設もあり、未だにコハネでは最高施設です…勿論、カニやマーグロも最高峰の物を準備しまして海鮮を中心にしたおもてなし、当時は無かった大型船を使ったクルーズも準備します」
「それで良いでしょう…良いですか? 我々は今、この時に生まれて来たのです…頑張りましょう」
「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」
どうにか準備は出来そうですね。
◆◆◆
「教皇様、あのセレナ様は本当に勇者様なのでしょうか? 当人は否定していますが…」
「最低で勇者様だと思いますよ…ですが、それ以上の存在の可能性もあります! 勇者様の『光の翼』選ばれた聖女のみが使える『パーフェクトヒール』 最後の勇者ゼクト様はパーフェクトヒールは使えませんでした。そこから、考えると『勇者以上の存在』も考えられます」
「勇者様以上の存在ですか?」
「人間界を去り、女神様と結婚して天界へ去った、英雄であり神竜のセレス様。これは不敬になるから考えてはいけませんが、婚姻したのであれば…まぁこれは考えすぎですね、イシュタス様は処女神ですから、ですがセレス様は他にも奥方を連れて天界へ行かれている…そう考えたらどうでしょう? 」
「どういうことでしょうか?」
「セレス様とセレナ様、名前も似ていますし、勇者と聖女の能力を使える…セレス様の子孫の可能性もあり得ます!良いですか? セレナ様はだから最低で『勇者様』もしかしたらそれ以上の存在もあり得るのです」
「神の子…そう言う事ですか?」
「それは解りませんが、絶対に探ってはなりません…気がついても知らない振りをするのですよ…それがセレナ様の意思です」
「解っております」
セレナ様は…恐らく…信仰するべき存在、間違いありません。
◆◆◆
約束の1時間が経ったので教会に来たんだけど、凄い人数の人が集まって来ていた。
「凄い人数ですね」
「はい、準備を進めるのに人数が必要だったので、デートはこの教皇ロマーニにお任せ下さい、最高の場所をご用意しております!出来たら皆にお言葉を掛けて頂ければと思います…喜ばれますから」
そう言えば、ゼクトお兄ちゃんが言っていた。
『僕は勇者ゼクトの正当後継者だぁぁぁーー』
って言えば良いって言っていたけど、『勇者』とは違うし『ゼクトの正当後継者だぁぁぁ』は不味い気がする。
「う~ん」
「セレナ様、その剣は…まさか!」
「聖剣デオルフっていうんだけど」
「聖剣デオルフ…勇者ゼクト様の愛剣、失われた聖剣じゃないですか…ああっ、あああああーーっ」
なんて声を掛ければ良いのか
「ねぇ、僕はなんて声を掛けてあげれば良いのかな?」
「その剣を抜いて掲げて貰えれば…ああっ、それだけで大丈夫でグスッ、ございます…それだけで、それだけで満足です…」
「本当に?」
「はい…ううっ」
なんで泣いているのか解らないけど、デートの準備してくれたんだから、この位はしてあげないと。
僕がデオルフを抜くと光り輝き始めた。
「今、此処に勇者様と聖剣が集いました…見るのです! この光り輝く聖剣を…我々の曽祖父、祖父が望み、見れなかった光景が今此処にあるのです!」
「伝説の始まりだぁぁぁぁーーーーー」
「我ら数百年の悲願が、悲願がーーーっ」
「セレナ様バンザイーーっ」
「え~と」
「これからは今迄以上に不自由はさせません…まずは約束のデートを完璧にこなすお手伝いをします…明日、宿屋に使いを出します! 最高の思い出を約束しますから」
「ありがとうございます」
デートって大変なんだな…
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