第65話 ゼクトに相談 聖剣デオルフ


う~ん、デートのコースと計画は教会がしてくれるから良いけど、実際にどうすれば良いか…心構え位は必要だよね。


そう言う訳で…


「バウワーおじさん」


「セレナか? なんでお前は此処に簡単に入ってこれるのじゃ…セレスですら、簡単には入って来れぬのに」


いつもバウワーおじさんはこんな事言っているけど?


何故か何時でも一瞬で来れるんだよね…何故だろう?


「そんな事より、デートの時の心得とか教えて欲しいんだけど?」


冥界竜で知恵も凄いというから大丈夫だよね。


「知らぬ、竜はそう言う事は殆どしない! ゼクトにでも聞くと良いんじゃないか?」


「うん、そうする!」


「そして当然の様に冥界にも入っていく、竜公ですら難しい事をさらっとやっている…全くもってイレギュラーじゃな」


「どうかしたのバウワーおじさん」


「何でもない、行くがよい」


「うん」


時間が無いから直ぐにゼクトお兄ちゃんに会いに行った。


◆◆◆


「ゼクトお兄ちゃん」


「おう、セレナじゃないか? どうした?」


「あの、デートの時の心構えとか、教えて欲しいんだけど?」


「デートか? まぁ俺位モテている奴は居ないからな…心構えか…あれ…」


俺、モテていたが、真面なデートとかした事ねーんじゃねーか?


幼馴染と3人とはよく遊んだがガキの時の事だ。


勇者になってからは…イチャついていたけど、見られると不味いから宿屋や他の人間に見えられない様にデートはしていない。


ルナとのアレは半分親子みたいなものだよな…マリンとは…俺、ほぼデート経験無いじゃん。


俺、モテていたけど、真面なデートってしていないじゃないか?


困ったな。


俺は勇者だから、黙っていてもモテた。


俺がモテた理由…勇者だからだ。


「それで、セレナはどんなデートをするつもりなんだ?」


キラキラした目で見られても困るな。


此奴、マジで俺の事尊敬してそうだから…このガキ、セレスの次に俺の親友みたいなもんじゃんか…


「いや、それが良く解らないんだよ…だから教会に任せたんだ」


「そうか、ちょっと待っていてくれ」


これ、こっちに来る時に、持ってきちまったんだよな。


確か此処に…あった。


俺の昔の相棒『聖剣デオルフ』


此処は平和だし、生まれ変わったら持ち越せない、聖剣は担い手を選ぶが、セレスの血と女神の血が混ざっているんだ。


絶対に拒絶しない。


「セレナ、ちょっとこの剣を持ってみてくれ」


「この剣がどうかしたの?」


「まぁまぁ、物は試しで」


「解ったよ…わぁ!いきなり光った」


なんだよ、俺の時より光っているじゃないか…


まぁ良いや。


「それは、俺の相棒『聖剣デオルフ』だ! それを見せて『僕は勇者ゼクトの正当後継者だぁぁぁーー』と言えばもう、モテモテだぞ! あとは教会に任せて大丈夫だ…かなりの数の人間が『勇者大好き』だから、多分余程の馬鹿な事しなければ、味方してくれる」


「この剣貰って良いの?」


おうおう目をキラキラさせちゃって…流石男の子、こういうの好きだよな。


多分、昔通りなら『勇者絶対主義者』が居るから、これで命がけでデートを成功させるだろう。


うん、安心だ。


「ああっ、俺の愛剣だがやるよ!セレナは光の翼も撃てるから『勇者』でも通用する! 最後の勇者である、俺が認めるから…まぁ頑張れ」


「それで、ゼクトお兄ちゃん…デートの…」


「大丈夫だ! 教会がどうにかしてくれる、教会任せでOKだ…あとは頑張れ」


あいつ等、頭が可笑しいけど『英雄』『勇者』が大好きだから…絶対に上手くいくはずだ。


「ありがとう、ゼクトお兄ちゃん」


はははっそう言えば兄弟なんだよな…


兄弟って良いな。


「おう、頑張れ」


セレナがデートか…あいつ、結構イケメンでセレス譲りの優しさがあるから、素でも絶対失敗しないよな…








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