第64話 セレナの相談


「教皇様、行かせて良かったのですか…」


「貴方は、馬鹿なのですか?あの方はまごう事無き勇者様! それも『最低』が勇者様で、話しによればパーフェクトヒールも使えたと言う事ですから、それ以上の存在の可能性もあります…そんな方にお願いは出来ても、無理に引き止めるなんて言語道断です…今現在から一番、この世で偉い存在はセレナ様なのです! セレナ様が望むなら、喜んで妻だろうと娘だろうと差し出しなさい! 自分の命でも差し出すのです! わかりましたね!」


「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」


勇者が生まれない日々にどれだけ私達が絶望していたか…


仕方なく『偽りの勇者』で気を紛らしていましたが…女神が本物を使わせて下さったのです。



良く『孫は目に入れても可愛い』なんて言葉がありますが『勇者様には目を潰されても、手足を切り落とされても可愛い』のです。


そんな、存在が今、この世界に降臨なさったのです。


しかも、どう見ても若い少年です。


見目麗しく、美しい少年。


これで私が感動しない訳はないじゃないですか…


我々、勇者絶対主義者の希望の星ですから。


「さて、まずはセレナ様のお住いの宿屋…セレナ様の部屋を除き教会で借り切りましょう…これからが楽しみですね」


本物の勇者様が居る日々…これからが楽しみです。


◆◆◆


「すみません…出ていったばかりで、すいませんが、相談に乗って貰って宜しいでしょうか?」


良く考えて見たら、僕は困っている。


『困った事があったら何時でも教会までお越しください!』


だったら、早速相談に乗って貰えば良いんだよね。


「「「「「「「「「「「セレナ様」」」」」」」」」」」


「あの、相談に乗って貰えないでしょうか?」


「セレナ様、どう言ったご相談ですか? 何でも言って下さい!この教皇ロマーニに何でも言って下さい! 」


「それじゃ、お言葉に甘えて…デートってどうすれば良いんでしょうか?」


「デートですか? あっ…そう言えばセレナ様には結婚を前提にお付き合いしている女性が3人居るという事でしたな…その3人とのデートと言う事で間違いないですか?」


「うん、それで間違い無いよ」


「そうですか…それなら1時間程、お時間頂けないでしょうか? 最高のデートコースの計画と準備をこちらでさせて頂きます」


「本当? ありがとう!」


「教会はセレナ様の為にあるのです、それでは1時間後、もう一度お越し下さい」


「うん、本当にありがとうね」


これで、ようやく安心出来るな。


◆◆◆


「良いですか! セレナ様から『最高のデート』をしたい、そういう要望が入りましたよ、ここでしくじったら末代までの恥じです!教会の聖教国の威信にかけてやり遂げますよ!」


「はい、私はこれから、帝国最高の3つ星レストランを貸し切り予約します」


「それじゃ足りません、そうですね、最高級のマツサカ牛のA5ランクの肉をはじめ、最高の食材を教会の名前を出して手に入れなさい!他の食材も、そうですね『教皇』以上の貴人に出す…そう言って用意させなさい!」


「そのホテルは帝国…」


「勿論、帝国最高の帝国ホテルは当たり前ですが…そうですね、この際、コハネを見て貰いましょう! あの偽勇者から返して貰った建物をハァハァ綺麗にして」


「教皇様、流石に間に合いません!」


「間に合わないじゃありません! 他の仕事を全部ストップしてもやるのです…海鮮は最高のマーグーローにたかたかカニも準備なさい! プールには水を張り、温泉も最高の露天風呂をご用意しなさい」


「はい、それで移動は…」


「私の飛竜艇を出して下さい、教会の紋章を掲げればどこへでも行けます」


まだ足りない…最高のデートを…セレナ様へ!


教会の威信を掛けて

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