第62話 勝負の行方
1日待つまでもなく、もう勝敗は決まっている。
だけど、どうしようかな?
皆、頑張ったんだから同点で良いんじゃないかな…
「おはよう」
「「おはようございます」」
「おはよう」
明らかに順位を聞きたい。
そう言う顔で僕を見つめてくる。
どうしようかな?
「料理勝負なんだけど…同…」
「同点なんて言いませんわよね?」
「引き分けもありませんね」
「白黒しっかりつけてくれよな!」
「ううっ、解ったよ…どうしても勝敗を決めなくちゃいけないなら、優勝はエルザだね! おめでとう…では」
「やった、あたいの料理が1番なんて…ありがとうなセレナ様」
「納得いきませんわ」
「おかしいですよ」
そう言うだろうと思ったんだよな。
正直言えば、皆が作ってくれた物に勝敗なんてつけたくなかったんだけど…まぁ良いか。
「理由はちゃんとあるよ!まず『手料理』って言うならまずロザリアは失格だから」
「なぜ失格なのですか!」
「森の闇鍋はレクリエーション、皆で持ちあった食材で楽しんで食べる物だからね、ロザリアの手料理ではなく、食材を持ちあった全員の料理だ…だから失格」
「ううっだけど…」
「どう考えても『手料理』じゃありませんわね! ですが、私の料理がエルザに負けというのは納得いきませんわ! ただ捌いた生の料理と焼いた肉、それと手の込んだ私のシチューじゃ…」
「確かにフルールのシチューは絶品だけど、あれはカズマの料理のレシピ、お店の味だよ、近い味なら『カズマ』で食べられると思う。だから、手料理という事ならニンニク醤油や、独自で考えた特製タレを用意したエルザの方に軍配は上がると思うんだ、どうかな?」
「そう言われたら、そうですわね」
「それじゃ、あたいの勝ちで良いんだ! やった、あたいの勝ちだ」
「そうですわね」
「それじゃ、そういう事で…」
「えっえっ、それだけ!」
「えっ、これって勝ったら何か特典とか無いのかよ」
「ありませんわね」
「そんな約束して無いですよね」
「そんな」
こういう時のフルールとロザリアは凄いな。
この二人を敵にまわしたらエルザじゃ無理だな。
「エルザの勝利だな、良いよ僕が何かあげるよ…エルザは何か欲しい物ある?」
まぁ今回の勝負は『手料理』を食べたいっていう僕の我儘からのスタート。
何かしてあげても良いだろう。
「そうだな、それならデートがいいや! ほら2人きりのデートとか余りしてないから…うん、それが良いや!」
「それはズルいですわよね…ロザリア」
「ええっ、最初からそういうルールはありませんでしたから? ルール違反です…それにセレナ様、ルールに無かったのにあとから、ご褒美はズルいですよ」
「そ…そうかな」
「そうですわ、凄くズルいと思いますわ」
「勝者の特権だ…そうだろう」
ハァ~仕方が無い。
「料理対決の勝者はエルザだ、だけど確かにこう言う特典をつける約束はしてなかったよ…だから、エルザのしたかった事を皆にする事で良い?」
僕、子供なんだけど…こういう所は僕以上に子供みたいな気がする。
「そうですわね…それなら良いですわ」
「私も構いません」
「結局、こうなるのか、仕方が無いな」
こうして今度は…3人と一対一のデートをする事になった。
どうすればセレスお父さんみたいに上手くやれるのかな?
良くわかんないや。
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