第46話 フルール抹殺計画
「フルールが生きているだと? 何かの間違いじゃないのかね?」
「私も目を疑いましたが、五体満足で幸せそうにしているのをこの目でみました」
不味い、不味い、不味い、不味いぞーーっ
フルールが生きていたなんて知ったらローランの機嫌がまた悪くなる。
それでなくともロザリアが落札され、部下が行方不明になって機嫌が悪いのに、この上でフルールが生きていたなんて知ったら、俺が八つ当たりされてしまう。
クソッ、何が起きたんだ。
アルターが殺され、俺が調査に派遣された時の事だ。
もし、フルールが生きていたら殺してやろう…そう思っていたのだが、フルールは壊されていた。
生きてはいるが、もう死ぬのは確実。
拷問で手足を失い大火傷していた。
「こ、これは…」
「確かに酷い…だが勇者一族の序列4番のアルターを殺した悪女だ!このまま殺してやるのは逆に解放になる…どうしたものか…」
「エドガー様、それなら敢えてこのまま生かすのはどうでしょうか?」
「それはどういう事だね?」
「このまま殺してしまえば、貴族としての死で終わりますが、奴隷として売ってしまえば『奴隷』として死ぬ事になります。この醜い容姿で晒し物になり、奴隷として死んでいく…これこそがこの悪女に相応しい死に方だと思いませんか?」
「それだ!」
その提案に乗って俺はフルールを売り飛ばす事にした。
一応、治療師に見せたが、持って3日間という事で安心して売り飛ばした。
あの生意気な悪役令嬢と名高いフルールが体を焼かれ手足が無い犬の様な姿で檻の中で晒し物になって死んでいく…実に素晴らしい。
我々は檻に入って連れていかれるフルールを確かに見た。
治療師が『この状態じゃ聖女マリアでも絶対に治せません』そう言っていた。
だが…そのフルールが『五体満足で生きていた』というのだ。
信じられない。
一体、何が起きたんだ?
例え、奇跡が起きて、聖女マリアが降臨したって、あの状態じゃ治せない。
四職の生き残り…大賢者メル様だって無理な筈だ。
もし、あの状態のフルールを治せる人物が居るとしたら、歴史の中でも1人、聖女セシリア様しか思いつかない。
女神の生まれ変わりと言われた彼女なら出来るのかも知れないが、500年も前に、神界に行き下界と縁を切った。
人間界に戻ってくるわけがない。
それにもし、戻ってきたとしても気高い聖女様があんな悪役令嬢を救う筈が無い。
『ならなんで生きている』
フルールを見た部下は1人じゃない複数いる。
『これの意味する事はなんだ?』
解らない…だがこのままじゃ不味い。
俺はローランに『惨めに死んでいくだけだ』そう伝えた。
フルールが生きている事をローランに知られる前にかたづけ無ければ、何をされるか解らない。
「3の勇者エドガーが命ずる、フルールを抹殺せよ! 俺の前に首を届けるのだ!」
「「「「「「「「「「はっ」」」」」」」」」」
動かせるのは俺の手駒10名のみ、だが、血が薄いとはいえ此奴らも勇者一族…女の1人位簡単だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます