第43話 勇者一族
『勇者一族』
勇者一族の中で勇者を名乗る事が許される4名の存在。
彼等こそが勇者一族の中心の存在…4大勇者だ。
1の勇者ローラン
2の勇者マーティン
3の勇者エドガー
4の勇者アルター(死亡)
彼らは優秀ではあるが別に遺伝が作用しているわけでは無い。
ただ、勇者の血を引いた人間の中に生まれた、優秀な人間それだけだ。
彼等の下には他に沢山の勇者一族が居る。
その多くは自分の家に『勇者の血』『家系』が欲しく勇者の血を引く人間に高額な種費を払い生まれた子供達だ。
別に『勇者ゼクト』たちは血筋が良かったわけでは無い。
リダもマリアも親は普通の存在で、勇者のジョブは後天的に女神イシュタスから貰った物だ。
だから、本来は『血』や家系にはなんの価値も無い。
ゼクトの親父は平凡なゼクト―ルだし、母親の静子は腕こそ良いが冒険者だ…
だが『勇者』その名前にこの世界は踊らされていた。
コハネの王になった元勇者ゼクトは神界に去っていった親友を思い努力をした。
あのリダですら人が変わったように努力し国を盛り上げた。
次の代はゼクト達の努力を見て育ったからか、優秀な子供たちに育った。
だが…その次の代から徐々に変わっていき今では『勇者保護法』を復活させ…好き放題をしている。
尤も、かなり頭は可笑しいが…勇者ではあるから正義に拘る。
その正義は…狂っていた。
頭の可笑しい世の中が解らない、世間知らずの勇者が…可笑しな正義を振るい…それを誰もが止められない。
これが今のこの世界の裏の実情だった。
◆◆◆
「ロザリアが落札されただと…」
「はい、ローラン様…」
可笑しい…彼奴はこの国の膿だった。
だから見せしめの為に…あらゆる拷問を加え…聖教国の教会にあった禁書の生き人形にしてオークションに出させた。
『非人道だ』
そう、オークマン一族が文句を言ってきたから一時期奴隷商の免許を停止させた。
オークマン一族は『英雄セレス』や『勇者ゼクト』と仲が良かった伝説の一族だから国からの追放も奴隷商の免許を取り上げる事は出来なかったが、この市からは追い払った筈だ。
「オークマン一族がなにか干渉してきたのか?」
「いえ、徹底的に排除しましたから、あの奴隷市は名ばかりのオークマン一族の市で、運営は別の人間がしていました」
「それなのに、ロザリアが落札されたのか? まさかあんなゴミにまでした女を落札する人間は居ない…そう言ったのはお前達だろう?」
「ですが…」
責めても仕方がない…顔が焼け、乳房すらえぐり取られた女を買うもの好きは普通は居ない筈だ…
「まぁお前が言いたいのは解る…あんな気持ち悪い存在を落札する奴は普通は居ない…だが監視者はどうした? まさか、監視者もつけなかった…それは無いよな?」
「つけていました! ですが…全員が行方不明です…もしかしたら裏切ったのかも知れません」
いや、彼奴らは使えない駒だったが…それでも『勇者』に敬意を払う人間だ。
裏切るとは思えない。
しかし…忌々しい。
この世界の恥になる、危ない女1人フルールに『悲惨な運命』と『死』を与える為にアルターを失った。
器量が良いから騙されたアルターの妻になっていたが、正体に気がつき、アルターが処分しようと壊した。
あそこ迄壊せば、例えこの世の中に『聖女』が現れても治せない。
究極の呪文『パーフェクトヒール』など聖女の中でも恵まれた才能の者しか使えない。
だが、それに気がついたフルールは拷問され壊される前に毒を飲み水に盛った…そしてアルターは死んだ。
たかが女1人の為に、勇者と呼ばれる仲間が1人死んだ。
そうまでして1人を壊した…あの分じゃ衰弱して惨めに死んだ筈だ。
そして…今度はロザリアだ。
此奴が惨めに死ねば…この世界を裏からかき回していた『2人の悪役令嬢が』が死んだ事になる。
『死すら生ぬるい』
だから、この世の地獄を味あわせて惨めな最後にする筈だった。
だが、何者かが落札していった。
腹立たしいが…仕方がない。
「まぁ、起こった事は仕方がない…ロザリアは脳まで壊したから…あれは人形みたいな物だ…どうせ碌な終わり方はしない」
「それは確実で…えっ」
俺は他の部下に目配せし、拘束させた。
「だが、失敗するような部下を俺は必要としていない…此奴は処分してくれ」
「「ハッ」」
「助けて下さい…」
「私は勇者ローラン…正義の執行者だ! その手伝いも満足に出来ない者に生きる価値は無い! ゆっくり永遠に休みなさい、ご苦労さま…」
「そんな…嫌だ、嫌だいやだぁぁぁぁぁーーーー」
役に立たない者に生きる価値は無い。
悪を断ずる、絶対正義…それが勇者ローラン。その手伝いに失敗する人間は要らない。
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