第39話 敵?
「あんた、子供の癖に良くこれを買う気になったな…代金銀貨1枚に奴隷紋の刻み賃金貨2枚…金貨2枚と銀貨1枚だ、ほら直ぐに刻むから血もくれ」
「王都では確か、金貨1枚以下で奴隷は販売できない…そう聞いたんだけど?」
「詳しいな、それは売買の話だ…オークションならそれ以下も認められている…但し奴隷紋の代金金貨2枚は共通なんだ…悪いけどこれは決まっている」
僕はナイフで指を傷つけ血を渡し、奴隷紋を刻んで貰い、代金を払いロザリアを引き取った。
「さぁ行こうか?」
「あうあうわぁぁぁーー」
「どうしたのねぇ」
「行こう」
「あうあうわぁぁ」
「これはどう言う事なんだよ…」
「ああっ、ロザリアは精神が可笑しくなっている…真面に話す事も出来ない…だからこその格安スタートだ。壊れ者…ジャンクだから安いんだよ! 知らなかったのか?」
「知らない…」
「そうか残念だったな…だからこその銅貨5枚からのスタートの意味だ…そうじゃ無ければ、色々と不味い事を知っていそうな悪役令嬢なんて怖くて手放せないだろう? あとは、そいつに同情して優しくなんてするなよ…そいつは勇者一族に嫌われているからな」
また勇者一族か…いったいなんだ。
「勇者一族ってなんなんですか?」
一応ここでも聞いて置いた方が良いだろう。
「ハァ~?!そんな事も知らないのか? 勇者ゼクトを含む昔の勇者パーティの血を引くって奴らだ、英雄セレス様やその妻達が神界に行ってしまったが勇者ゼクト達はセレス様からコハネを貰って王になっただろう? その末裔だ…コハネの王族や貴族もいれば地方貴族も居る…まぁコハネの王族は本物だが、他の奴の真偽は眉唾な可能性もある…あっこれ内緒な」
「解りました…教えて頂き有難うございます」
ゼクトお兄ちゃんが死んでから数百年。
ゼクトお兄ちゃんは…子孫に恵まれなかったのかもね。
セレスお父さんには『様』がついて
まぁ良いいや…今はロザリアの治療が先だ。
「あう? あうわぁぁぁーーー」
完全に精神が壊れたロザリアを連れてその場を後にした。
◆◆◆
「うふふふふっあうあうわぁぁぁぁーー」
「これがロザリアですの?」
「完全に目がいっちゃっているじゃない」
「そうだね…早く宿に帰ってロザリアを治療しないと」
嫌な予感がする。
さっきから此方を見ている奴がいる。
「ちょっと忘れ物をしちゃった…待ってて」
「そうですの?」
「行ってらっしゃい」
3人を置いてそのまま歩き出した。
どちらに行くか様子をみたが、どうやら僕の方に来た。
『助かった』
「おじさん達、さっきから僕の方を見ていたけど? なにかようかな?」
「いやぁロザリアを落札したみたいだけど…どうするのかな?」
「どうするのかな? そう思ってね」
「直ぐに痛めつけて殺すんだろう? あの奴隷には生命保証の義務が無いからね!」
どうやらきな臭い話しになってきたな。
「そういうつもりは無いよ? 綺麗なおねーさんだから…一緒に暮そう…そう思っているよ!」
「ふははははははっ、あの化け物と一緒に暮す? 物好きな…」
「良いか、ロザリアは勇者一族様から嫌われているんだ、悪い事は言わない…さっさと殺す事だ」
ここでも勇者一族…腹が立つなぁ。
「勇者って正義の味方だよ! だから悪いことはしないよ」
「あははははっ、そうだよ勇者様達は悪い事をしない、だからロザリアに罰を与えたんだ…悪い奴だからね」
「でも、奴隷落ちしたら、罪は無くなるんだからこれは可笑しくないかな?」
「はぁ? いい加減にしないか? 彼奴は悪い奴だから『殺す』それだけだ」
「勇者様に嫌われたくなければ…始末した方が良いぞ」
「そうそう、それにあそこ迄壊れちゃもう元に戻らないからな」
露骨に殺意を出してきた。
ロザリアを生かしておいちゃ不味い…そう思っているみたいだな。
「まぁ、それでも治せるなら治して、傍に置いておきたい位の美人じゃないですか?」
「だがな、彼奴を生かして置いちゃ不味いんだ…解らねーのか?」
「あれ、勇者一族が嫌っているんだぞ…匿うなら不幸になっても知らんぞ」
「そうだ、俺が可哀そうだから金貨1枚と奴隷紋の代金2枚、合計金貨3枚で買ってやろう…どうだ、悪い話しじゃないだろう?」
「おじさん達、悪いけど、ロザリアは手放さないぞ…それじゃあ」
「待てガキーーッ」
「お前…ガキだと思って優しくしていれば…殺すぞ」
「…」
周りには誰も居ない。
態々、人気の居ない場所を選んでくれて助かった。
悪意の塊、それだけは解った。
「ドラゴンブレスーーッ」
この姿でも人間3人焼き尽くす炎は吐ける。
一瞬にして僕は3人を焼き払った…
本当は攫って尋問したかったけど…この場所じゃ無理だから仕方がないな。
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