第37話 何かが引っかかる
明日のオークションに備えて、フルールとエルザにパンフレットを一緒に見て貰っている。
フルールがロザリオを見つけた様に、他にも誰か知っている名前があるかどうかの確認だ。
「特に有名な方は居ませんわね…ですが和名の方がおりますわね」
「あたいも知った名前は無いけど、和名の珍しい奴がいるな」
「和名ってなに?」
「和名というのは大昔にいた転生者に多く居た名前ですわ、日本国から転移や転生した者の名前らしいですわ」
「尤も、今ではその子孫が昔を懐かしんで和名を名付けているだけだけどな」
そう言えば静子お母さんの『静子』って名前や文字も日本の物だって聞いた気がする。
セレスお父さんは容姿こそ、この世界の人間だけど転生者って言っていた。
確か僕の名前に『九州男(くすお)』『太郎』って2つの名前をセレスお父さんは提案して、静子お母さんに和名は苦労するからって止められたって聞いた気がする。
「そうなんだ」
「しかし、凄いですわね…パンフレットの目録だとオークションの目玉とういうか訳あり品は2日目に集まっている気がしますわ」
確かに、内容を見ると他の日は普通の様な気がする。
「しかし、ロザリアが銅貨5枚(約5000円)からのオークションなんて、明らかに偽物ですって言っているようなものだし…この和名の真理だっけ? これも銀貨1枚(1万円)からって言うんだからどう考えても、ただの和名がついているだけの価値が無い奴隷だよな」
「そうですわね! ただ、これがどういう意味か知る…それだけでも面白いですわ」
「そうだな」
「それじゃ、明日は偽のロザリアさんと、和名の真理を中心に見学…そして場合によっては参加する…それで良いかな?」
「それがいいですわ…なんの茶番か気になりますわ、書いてある内容はどう見ても本物、そして、殆ど情報の無い真理という和名の女性面白いですわね」
「それで良いんじゃないか?」
そういうフルールは何故か腑に落ちないそんな顔をしている。
そして、エルザも気のせいか不思議な顔をしている。
「何か気になる事があるのかな?」
「いえ…今回の市はオークマン一族が開いた物なのですわ…そう考えたら…こんな変なミスをするのかと思いまして…」
「確かに、奴隷商として名高い、オークマン一族…そう考えたら偽物とは思えないよな」
「そうですわね…」
「それにあたいは、あの市場で売られていたが、オークマン一族の人間は見てない…何かあるのかもな?」
「そうですわね…ですが、それがなんなのか解りませんわ」
「まぁ、明日行ってみれば解かるから良いんじゃない?」
「「そう(だ)(ですわね)」」
2人は何か引っかかっているようだが…気にしても仕方がないな。
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