第25話 帝国に
此処がガルバン帝国か~
フレイママが王女をしていた国だ。
確か王国以上に『実力が物を言う国』そうフレイママから聞いていた。
尤もマリア―ヌママは野蛮な国とか言って、フレイママと喧嘩していたけど、セレス父さんは『お約束』だって言っていた。
だけど、僕からしたら今迄見た事が無い場所に来られるのは凄く楽しい。
「凄いね…城壁が王国よりも高いんだね」
「実際には魔族との戦いでは役に立たないのですが、これが帝国の実力主義の象徴ですわね」
「へぇ~確かにこんなの簡単に壊れちゃうから意味ないよね」
「魔族なら兎も角、人間じゃ勇者とかじゃなくちゃ無理ですわ」
「そうなんだ」
う~ん、誰でも壊せると思うけどな…そんな物なのかな。
あぁいいや。
「ようこそ!夢と希望の帝国へようこそ!身分証明をお願いします」
ムキムキマッチョのお兄さんに冒険者証を出すと簡単に通してくれた。
見た感じは余り王国と変わりないが…城の一部が壊れている…どうしてなのかな?
「お城が壊れている…」
「ああっ、あれですね! 最後の勇者ゼクト様が少女を守るために帝国と揉めまして、その際にお城を半壊させたそうですよ! その一部を『強さの象徴』として残す為に修復しないで残しているんだそうです」
確かゼクトお兄ちゃんがルナお姉ちゃんの為に戦った話だ。
『男って奴は大切な存在の為に戦う事があるんだ、国や世界を敵に回してもな…』
この話をするゼクトお兄ちゃんは凄くカッコ良かったな。
この話をフレイママにしあたら『だからって城半壊はやり過ぎだよ』とブツブツ言っていたけど。
「お城を壊せると凄いの?」
動かないお城なんて誰でも壊せるよね。
ゼクトお兄ちゃん随分手加減したんだよね。
あの位のお城なら僕でも簡単に全壊できるもん。
「凄いというか…人間なら、今の偽勇者じゃなく、最後の真の勇者ゼクト様じゃなくちゃ出来ないですね、生存している人なら大賢者メル様位だと思いますわ」
ゼクトお兄ちゃんの名前が出たのだから、メルはあのメルで間違いないんだな。
ゼクトお兄ちゃんもメルも凄いんだ。
知らなかったな…
だったら、僕でもチャンスはありそうだ。
「そう言えば、帝国の学院ってどうなんだろう?」
「確か、騎士養成学校、冒険者学校、魔法学院、帝国学園辺りが有名ですわね傭兵は実戦で学ぶので学校が無いと聞きましたわ…ですが、斬鉄が出来ますので、騎士は入学しても即卒業して正騎士にされそうですし、冒険者はもう有資格者ですから入学は出来ませんわね。そしてパーフェクトヒールが出来るので魔法学院も意味が無いですから、此処もやはり『帝国学園』しか入る意味のある学院はありませんわ」
確かにそうかも知れない。
「まぁ良いや…取り敢えず、今日は宿をとってゆっくりしようか?」
「そうですわね」
取り敢えず宿をとって休む事にした。
◆◆◆
フルールは空竜に乗った事で疲れて眠っている。
僕は1人で奴隷商に来ている。
僕は竜の血が入っているせいか、全く疲れない。
その気になれば、殆ど寝ない生活も出来る。
尤もこうなったのは最近なんだけどね…
確か、帝国にはオルド商会、ゼス商会、エース商会と3つの奴隷商があって、安い、普通、高級に分かれている…らしい。
セレスお父さんは此処で奴隷を買って、村の人に嫁を世話したそうだ。
う~ん、何処から行こうかな。
「すいません、奴隷商に行きたいんですが?」
「はい?!奴隷商、オルドとエースのどちらが良いでしょうか?」
オルドとエース?
ゼスはどうしたんだろう。
「ゼス商会は無いんですか?」
「中途半端なのが良くなかったんですかね…数年前に潰れちゃいました、今あるのはオルドとエースの2つだけですね…此処から近いのはエースですが…」
「それじゃ、エースの場所を教えて下さい」
「はい、この先を右に…」
「ありがとうございます」
取り敢えずエース商会から僕は回る事にした。
セレスお父さんみたいな、良い出会いがあると良いな。
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