第18話 学園は難しい
「あのセレナ様、学園に通いたいのですわね」
「そうだけど?」
どう考えても可笑しいのですわ。
今のセレナ様はなんの為に学園に通いたいのでしょうか?
「通わなくてはいけない理由がありますの?」
「特には無いな」
「差し出がましいですが、セレナ様は通う必要が無いですし、恐らくは通えない可能性もあるかと思います」
「えっなんで?」
この方は本当に解らないのですか?
「まず、冒険者の養成学校ですが卒業すると2つ上Dから始まる特典がありますが既にBですし、恐らくは講師より実力があると思いますわ」
「だけど学園は他にもあるよね」
「確かにありますが、傭兵養成所や兵士養成所に行っても『斬鉄』なんて本来は剣聖が使うスキルが使える時点でもう教師より絶対に強いですわ…魔法だって私におつかいになったパーフェクトヒールが使える時点で、魔法学園に通っても回復術師コースでは講師以上…いえこの世界一の可能性すらあります…ちなみにファイヤートルネードとかできます?」
「あっ、その程度なら出来るよ」
凄いですわね…
「これで戦術魔術も無理ですわね…騎士学校ならは入れそうですが、すぐに飛び級で士官ですわ…正直言いまして私が昔率いていた黒騎士より優秀ですわよ」
「それじゃ、僕が通える学園は無いの?」
「そうですわね…王族や貴族等、身分が高い者が通う『王立学園』位しか思い浮かびませんわ…ただあそこは試験が要らない代わりに推薦状が必要な筈ですわ、しかも今は5月…編入ですから相当偉い方の推薦状が無いと難しいと思いますわ」
「フルールも一緒に通う事は出来るの?」
「全寮制ですが、従者も一緒に入る事は可能ですが…その前に入学が出来ませんわよ」
「偉い人の推薦なら、どうにかなりそうだから、多分大丈夫かな」
確かにセレナ様は何処かのお坊ちゃんなのかも知れませんわね。
上位貴族の推薦位伝手があるのかも知れませんわね。
「それでは、願書や必要な書類を貰ってきますわ」
◆◆◆
「編入ようの願書を貰ってきましたわ」
「ありがとう」
この書類を記入して推薦状を添えて提出すればOKなのか。
「王立学園は試験はありませんから、この書類を書いて、推薦状を添えて出すだけですわ」
「それなら問題なく入学出来るね」
「はい、間違いありませんわ」
僕は学園なんてどうでもよいけど…通った方が良いというんだよね...
頑張ろう。
◆◆◆
「フルール、推薦状の準備と書類を書き終えたから行ってくる」
「私が出して来ましょうか?」
「良いよ、この位自分で出してくるよ」
「そうですか?行ってらっしゃいませですわ」
「編入の書類ですね、こちらで受け取っておきます…書類審査をして受かれば後日面談になります…基本的に入学できなかった者は殆ど居ませんから、宿で返事をお待ちください」
「解りました」
◆◆◆
「そろそろ返事がくる頃ですわ…まず大丈夫ですわ」
「そう…良かった」
「手紙がきていますよ」
「ありがとう…えっ」
「どうかなさいましたの?」
『不合格』
大きく、その文字だけが書かれていた。
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