第16話 夢以上の生活
「う~ん…えっ セレナが居ない」
横を見てもセレナが居ませんわ…
まさか幻…では無いですわ。
「あの…セレナ、何をしているのですか?」
「朝食を作っているんだ…今日の朝食はタコスとスープとポテト、こんな感じにしました…もうすぐ出来るから待っててね」
「解りましたわ」
セレナはなんで私を買ったのでしょうか?
これが奴隷の待遇な訳ありませんわ。
『婚約者』として私を買ったのもおかしな話ですが納得しましたわ。
そういう趣味なのですね…と。
昨日も今日も、まるで本物の婚約者みたいな扱いなのも解ります。
ですが…これ男女逆転していますわ。
いえ、男女逆転処じゃありませんわよ。
セレナが1人で全部やっていますわ。
私は奴隷なのに…主従が逆転していますわ。
良いにおいがしてきますわね。
「はい、完成と、フルール顔洗って口をゆすいできたら、一応ハーブ水も用意してあるからね」
「ありがとうですわ…それじゃお言葉に甘えて、そうさせて頂きますわね」
しかし…本当に新婚みたいですわね。
母子程齢が離れているのに…そう思ってしまいますわ。
私には全くそう言った趣味はありませんが…短パン姿にタンクトップにエプロン…それが妙に色っぽく見えますわね。
子供の筈なのに妙にセクシーで色っぽく見えますわ。
糞旦那、糞息子と全然違いますわね。
優しくてカッコ良くて家事迄完璧…本当に困りますわ。
理想の旦那で、理想の息子…その両方で来られたら…
『好き』という気持ちがこみあげてきてどうして良いのか解らなくなりますわね。
セレナに言われるままに口をゆすぎ、顔を洗いましたわ。
小さなテーブルでお互いに談笑をし見つめあいながら食事をする。
本当に些細な事なのに…凄く楽しく感じますわね。
私の人生で多分、こんな時間を過ごした事はありませんわね。
黒薔薇として生きて来た私には自分の職務以上に大切な物はありませんでしたのに…
今なら絶対に『セレナの方が大事』そう言えますわ。
案外私はチョロかったのかも知れませんわね。
まさか、自分の中に『黒薔薇』より大切な物が出来るなんて思いませんでしたわ。
「これも凄く美味しいですわ」
「気に入って貰えて良かった~お代わりもあるからジャンジャン食べてね」
「ありがとう…凄く…美味しいですわ」
「涙ぐんでどうしたの? 嫌いな物でも入っていた?」
「違いますわ、美味しくて感動したのですわ」
今の私の生活は『夢』以上に楽しい…それだけは言えますわね。
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