第10話 セレナと廃棄奴隷
ううっ此処でもナインペタンばかり…
なんで奴隷商にはナインペタンしか居ないのかな?
王都に来て一件目の奴隷商に来たけど、高級奴隷コーナーには耳ながナインペタンばかりしか居ない。
しかも…皆、母性が無い…う~ん良く解らないけど、僕の母さんやママみたいな滲み出る優しさというかオーラが無いんだよな。
「ぼっちゃんはどんな奴隷がお望みなんですか、どれもこれも綺麗な子ばかりですよ」
「年齢はどんなに若くても28歳位で気品があって胸が大きな子が良いんだけど…居ないんだ」
「あはははっ、それはもう、観賞用じゃなくて、家事奴隷や教養奴隷を探すしかないですよ…小さい子がおかしいと思ったんです…自分専用のメイドか教育係を探していたんですね。それならうちみたいな高級店じゃなく、裏通り沿いの奴隷店を探した方が良いと思います」
そうなの…そういえばセレス父さんが静子母さんと会ったのは、酷い状態だった…そう言っていたっけ。
うん、納得したよ。
裏通り沿いの奴隷商を見て歩いた。
『嘘つき』
おじさん奴隷しか売っていないじゃん…
しかも髭もじゃとか本当にむさいおじさんばかり…
もう嫌だ…臭いし汚いし…
偶にいてもおばあちゃんだし。
『助けて』
これが聞こえてくるのが嫌なんだよな…
イシュタスママから、無暗に助けちゃいけない…そういわれているし…
『助けて…』
うるさい…だけど、この声…良いや…見るだけ…見に行こう。
奴隷商の庭先にぼろ布が掛かった檻があった。
声はこの中から聞こえてくる。
『助けて…死にたくない』
僕はぼろ布をそっと捲ってみた。
『助けて…』
もう声も出せていない…聞こえてきていたのは死ぬ前の思念だ。
多分、あと数時間でこの人は死んじゃう…
『世界には沢山の不幸な人がいる…だけどきりがないから助けちゃ駄目…それは不公平な事だから』
そうイシュタスママに言われた。
『解ったわね、助けるなら、本当に信頼できる人、恋人や親友だけにしなさい…あなたは特殊な子だから』
顔の大半は焼かれている。
手足は切断されて無い。
体も火傷や傷だらけ…
喉が潰されていて、話せないのか
嘘だろう…目まで両方繰りぬかれている。
誰がこんな惨い事をしたんだ。
「なんだ、お前勝手に見るんじゃねーよ」
「すいません」
「なんだ、さっきうちに来ていた坊ちゃんじゃねーか…嫌な物みちゃったな…気持ち悪いだろう…」
「あの…この人は…」
「廃棄奴隷だよ…まぁ色々あって処分を任された…このまま死なすつもりだ…」
「此処までひどい状態で、その…殺してあげないんですか…」
「俺は奴隷商なんだ…子供に言っても解らないだろうが…この仕事をしている人間は、奴隷を殺す事は禁じられているんだ…この状態じゃ助からねー…だからこのまま死なすつもりだ…言っておくが俺がやったんじゃねーぞ…こいつを引き取る条件で他の奴隷を安く仕入れさせて貰った…この状態は元からだ」
僕には解る。
このお姉さん…きっと美人だ。
セレス父さんが静子母さんに会った時よりひどいけがをしている。
だけど…これが僕の運命なのかも知れない。
『母さん達みたいな素敵な嫁さん』
このお姉さんはどの母さんやママにも似てない。
だけど、凄く綺麗だ…
きっと、セレス父さんの傍に居る、母さんやママみたいになってくれそうな気がする。
何故か…そう思える。
「この人は奴隷なんだよね…だったら売り物だよね…幾らなの」
「坊ちゃん、それは廃棄奴隷、捨てるゴミみたいな物だ…坊ちゃんは家事奴隷を探していたんだろう…見た感じ良い所の坊ちゃんみたいだが…情にほだされたんならやめておきな…恐らく数日で死ぬよ…それ」
「それでも欲しいって言ったら」
「俺は奴隷商だから欲しいと言うなら値段はつける…本当は無料でも良い位なんだが、王都では金貨1枚(約10万円)以下では奴隷を販売できないんだ…それに奴隷紋の刻み賃金貨2枚を足して金貨3枚がそいつの値段だ…悪いが死にかけだから生体保証はつかない、それで良いなら売るぜ」
「買ったよ…その代わり急いで…」
「本当に買うんだな…知らねーからな」
僕は金貨3枚を払い…廃棄奴隷のお姉さんを引き取った。
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