第6話 バウワーお爺ちゃん


「セレナ…またお前か…」


「うん、バウワーのお爺ちゃん遊びに来たよ!ニョロこんにちは」


「相変わらず元気じゃのう、何をするのじゃ…しかし、セレナはニョロが好きじゃのう…なぁニョロ…」


「私の様な醜い存在を好いて貰えるなんて…思いませんでした」


一見、しっかりしたメイドみたいに見える此奴、少し前までUMA『あの生物』と呼び儂らの食料じゃった。


だが、此処に迷い込んだセレナに儂が食っている所を見られた。


その後…『ニョロが可愛そうだよ…お爺ちゃん…こんなに可愛いのに』と言い出した…泣きながら言うセレナに敵わなく…それに押されてしまい食べるのを辞めた。


だが、UMA『あの生物』食べないと無限に増幅するはずなのだが、セレナの涙が触れると…増殖を辞め…全てのUMA『あの生物』いやニョロが集まり1つの生命体になった。


そして、自らセレナの使い魔になってしまった。


今、ニョロは儂の元で『人化』の術を学んでおる。


しかし…こんな化け物を可愛いというセレナは天界で育ったから美的感覚が可笑しいし…女性のセンスも可笑しい。


「まぁ、それは良いが、そのなんだ…その年齢の女性がセレナの好みなのか…」


「はい…」


はぁ~父親に似て業が深いのぉ~


天界は皆おばさんだからか…セレナがニョロに望んだ女性の姿はどう見ても30歳前後にしか見えなかった。


「好きに遊んでよいが…遅くなるとママ達に怒られるからな」


「解ったぁ~バウワーお爺ちゃん…ニョロ背中に乗せて」


「はい、セレナ様」


大きくなったニョロの頭に乗ってセレナは冥界へ入っていった。


◆◆◆


セレナが儂をお爺ちゃんというから『儂』と最近言うようになった。


竜ゆえに子供なぞ可愛いと思った事はないがセレナは別じゃ。


人間で言う『孫』の様に思えてならない。


しかし、何処にでも入って来るのう…


本来はこの空間は儂が招いた者しか入って来れぬはずなのじゃが…セレナは勝手に入ってきよる。


招かずに入って来られるのは竜公の中でも僅かじゃ…セレスも入れないこの空間に何故入れるのか解らぬ…


まぁ癒されるから良いのじゃが…


◆◆◆


「ゼクトお兄ちゃん、遊びに来た~」


「また来たか、がきんちょ!」


「うん来たよ」


此処は英雄専門の空間だ…


前世で功績のあった人物が過ごす場所だ…


死んでしまったら親子も余り関係ない。


自分の絶世期の年齢まで若返るから、関係も稀薄になる。


親だから気にはなるが、世の中が平和だから手柄なんて立てられないから…この空間には俺の子孫は誰も居ない。


本当に可笑しい。


『功績のあった英雄しか入れない』この楽園の様な空間に変な生物に乗って入ってくるなんて異常だ。


まぁ可愛いから良いんだけどな…


「何して遊ぶ、リダを呼んでこようか?」


「セレナの声がしたからもう来たよ」


「それでね…ゼクトお兄ちゃんから教わったの、が少し出来る様になったんだ…見ててね…これが勇者の奥義…光の」


「それは勇者しか出来ないんだぞ…他のを教えてやるよ」


「翼だぁぁぁぁぁーー」


マジか…小さいけど光の鳥が1羽出ている。


それ勇者しか出来ないんだけどな…


「凄いじゃないセレナ、ゼクトのオリジナル技まで出来るなんて…」


「ありがとうリダお姉ちゃん!えへへ、だけどゼクトお兄ちゃんみたいに大きな鳥が沢山出て来ないしセレナだと小さな鳥さん1羽なんだ」


「まぁ、子供だからしゃーねーよ…練習すれば、そのうち出来る様になるさ」


「そうだよ、頑張れ」


「うん、セレナ頑張る…」


「セレナ様、そろそろ帰らないとお母さまに怒られますよ」


「あっ本当だ…それじゃね…ゼクトお兄ちゃん、リダお姉ちゃんバイバイ」


「「バイバイ」」


まぁセレスや女神イシュタス様の子だから何をやっても驚かない…だけど…まぁ良いか?


可愛いし。









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