第5話 セレナ


「この子が俺達の子なんだ…」


「凄く可愛い、セレスくんそう思わない?」


「セレス、ほら赤ちゃんだよ!」


「セレスさん…ほうら赤ちゃんよ」


「セレスちゃん、私達の赤ちゃん…」


「やはり自分の子だと思うと凄く可愛いですわね」


「本当にそうだな」


「可愛いですね、私子供もうけて無かったですから」


確かに凄く可愛いが、妊娠、出産を経験して無いからか感動が少ない。


だが…それを差し置いても『凄く可愛い』


「神の血が入っているから成長が速いですから気を付けてくださないね…今回は皆さんが望んで作ったのですから、しっかり面倒みてください」


イシュタスが何故か事務的な話し方している様な気がする。


女神だから考え方が違うのかも知れない。


「イシュタスは子育てに参加しないのか?」


「その子は神の子ですから…なにもしなくても育ちます…人間とは違います…普通の人間の方が多分手助けが必要です」


確かにイシュタスはこの世界の女神でもある…俺達と違って忙しいのかも知れない。


「「「「「「「セレス(くん)(さん)(ちゃん)(様)お名前を」」」」」」」


「決めてあるんだ、セレナ…これなら男でも女でも大丈夫だと思って…どうかな?」


「「「「「「「いいと思う」」」」」」」


俺達の子の名前こうしてセレナに決まった。


◆◆◆


「セレス、セレナ―お弁当持ってきたよーー」


「セレス父さん、ハルカ母さんがお弁当持ってきてくれたー」


クルクル回りながらお弁当をハルカから受け取るセレナ…うん可愛い。


今のセレナは6歳位に見える。


此処迄は1日で育ってしまった。


静子達も俺もオムツの交換やミルクとか覚悟していたのに…これだ。


イシュタスの話だと此処からは普通に育つそうだが…神の子はすぐに神の見習いや天使の見習いに進むから、この姿まですぐに育つのだそうだ…


そして知能は相当高く利発的な子に育つそうだ。


ハァ~子供って凄いな…


姉さんが抱きしめ、頭を撫でていても…うん可愛いと思えてしまう。


子供はやっぱり凄いな。


ちなみにセレナは男の子で皆の容姿の良いとこどりした感じだ。


そして…イシュタスの血を引いているせいか笑顔を振りまくと、俺の嫁全員の目がハートマークになる位だ。


多分、普通に俺の幼馴染たちと一緒に居たら…全員総どりされてゼクトがエグエグしてそうだ。


多分マリアが言っていた『天使の様な男の子』ってこんな感じなんだろうな…キラキラしている


シートを敷いてお弁当の準備をし始める。


「ねぇセレス父さんはなんで働くの?」


「それは働くのが好きだからね、父さんはこう言うのが好きなんだよ」


「ふ~ん変なの…ハルカ母さんはどうしてお弁当を作るの?」


「お母さんはセレスやセレナが好きだからお弁当を作ってあげるのよ…」


「そうか…こうやって出すのと違うのかな?」


そう言うとセレナは空間に手を突っ込みお菓子を取り出した。


この空間ではイシュタスの力で欲しければ何でも出てくる。


まぁ女神や神が過ごす空間だからな。


「セレナにはまだ、解らないと思うけど…物が重要じゃないんだ、そこに宿った気持ちが重要なんだよ」


「そうか…だからセレス父さんはスイカやモロコシを自分で作って皆に配るんだね…ハルカ母さんも同じ」


「そうだよ…偉いねセレナは…」


これが姉さんの母親の顔か…凄く綺麗だ…残念ながら俺じゃこれは引き出せない。


「どうしたのセレス、私を見つめて…」


「姉さんの顔、凄く優しい顔をしていた…」


「あはははっそうかもね、母親の顔をしていたかも…ね」


「セレス父さん、ハルカお母さん顔真っ赤だよ」


「はははっそうだね」


「うん…」


「ほらご飯食べよう…」


「うん、あっイシュタスママだぁ~行ってくるぅ~」


子供は落ち着きが無いな…


「イシュタスママ~」


「セレナ…どうしたの?」


「ううん、イシュタスママが居たから来たの―」


クルクル回って下からイシュタスを覗き込んでいる。


「うっ…セレナ…」


「イシュタスママ大好き~ママはセレナ嫌い~?」


「き嫌いじゃありませんよ…ママもセレナの事が好きですよ…」


「わ~い、ママ、それじゃ後でね」


「うん、あとでね…」


セレナの笑顔の前には、イシュタスでも勝てないみたいだ。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る