第4話 プロローグ④ ようやく500年
毎日が詰まらない。
時間が沢山あるけど…もうしたい事は殆ど無い。
本当に退屈だわ…
「ふわぁ~あ…これで完全読破だわ」
元々本を読むのが好きだったから、あちこちの図書館に行って、沢山の本を読んだわ。
『コハネの女王』だから禁書だろうが何でもお構いなく読んだのよ。
そうしていたら『スピードリーディング』なんてスキルが手に入って本を触るだけで内容が全部頭に入ってくるレアスキルを覚えたのよ…やめて欲しいわよ。
私、暇だから、本を読むのが暇つぶしを兼ねているんだから…
流石に200年も図書館から図書館へ旅して籠って読む生活をしていれば…読む本も無くなるわ…
何もすることが無いからブラブラ散歩していたら…
ドラゴンの群れにあったのよね…竜に比べたら下等な存在…
「なんだ、このチビ…どけ…」
「あんっ! お前なんていった…」
つい寝不足でヤサグレていたから睨んでしまったの…
見た瞬間固まって…
『ひぃ~気が付かなかったんです…殺さないで』
って泣きながら土下座するのよ…
ちなみに『』は竜語だから、普通の人は解らないわ…
そりゃそうよね…私は神竜セレスの義理の娘なんだもん…ドラゴンも怖がるわ…
『泣かなくて良いから…ほら行きなさいよ』
ただ、それだけの事なのに…
暫くしたら…
『ドラ泣きのメル』なんてとんでもない字がついていたのよ…ふざけているわ!
◆◆◆
「なんで私が学園の校長にならないといけないの? それにアカデミーの総支配ってなに…」
「いえ、大賢者様でコハネの女王のメル様にこそ…」
「いや、面倒くさい」
昔はちょっと憧れていたけどさぁ…役職なんて要らないわ…馬鹿らしいから…
「あの、名前だけで良いのでお願いできませんか」
「仕方ないから良いけど…一切私に構わないでね…」
「しがらみって本当に面臭いわ…」
◆◆◆
きょうはシャロンさんのお見舞いに来た。
セレスに仕えていたからかしら…随分生きたわね。
「凄いわね…メルさんは昔見たまんまだわ…」
「そうね…そうだシャロンさん、長生きしたい…私禁呪を覚えたの…150年位なら長生きさせてあげられるわ」
ふるふると首を振った…
「そう…」
また1人知り合いが私の元からいなくなる。
「ええっ、充分です」
「葬儀には来ないわ…残念ながらセレスにはきっとシャロンさんは会えない…だけど、死後の世界はあるわ、冥界で楽しく暮せるわよ…だからね、死は怖くないから…だから葬儀には顔出さない」
「解った…貴重な情報ありがとう…これで死ぬのは怖くないわ」
これで昔からの友達はもうじき居なくなる。
死ぬのは怖くない。
怖いのは『死なない事』だ。
◆◆◆
「それ断っておいて」
「なかなかの美男子じゃないですか?」
「顔なんて関係ない…中身が好みじゃない」
「これで20件目ですよ…一体メル様はどんな方が好みなのですか…」
また見合い写真だ…正直うざい…
「あのね…そうね、ゼクトやセレスと肩を並べる様な良い男じゃないと写真も見る気にならない(笑)」
「無理ですね…諦めました」
◆◆◆
「我が名はメル、この世界唯一の賢者にして…破壊魔法の使い手」
がガガガがガガガッガ――――――ン
これで山が一つ無くなったわね…
禁呪にあった破壊呪文を覚えたけど…虚しいわ。
この世界には争いごとは殆ど無いし…
強い人はほぼ全員、セレスの関係者だから戦えない…
今なら私、マモンでも歓迎するわ…
◆◆◆
本当につまらない毎日…
ゼクトが死んでからようやく500年か…
もう知り合いで生きているのは魔族位しかいないわ…あははっ、しかも、スカルキング以外の四天王はもう引退しているし…魔王ルシファードとスカルキングが友達ってどう言う事なのよ…
はぁ~ 早く300年経たないかな…つまらないわ…
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