第216話 再会


次はゼクトと話し合いだな。


静子たちに直ぐに会いたいが…今後どうするかを先にゼクトに話してからの方が良いだろう。


それによって、ぬか喜びをさせる事になるかも知れない。


しかし…本当に面倒くさいな…


立場があると言う事は、身動きがとりにくいという事だ。


もし、次があるなら…絶対に農民に生まれ変わって、普通に生活したい。


親友に会いに行くのに、態々変装しないとならないなんて…


本当に難儀だな。


「久しぶりだなゼクト」


「そうだなセレス」


周りに話を聞いただけでも、ゼクトはかなり立派になった気がする。


成長すると顔つきも変わるんだな…なかなか精悍な顔立ちになった気がする。


「随分と立派になって父さん凄く嬉しいよ」


「なぁにが父さんだ…あっ義父だから、そうだな父さんだ」


「いや揶揄っただけだから…今迄通りセレスで良いよ」


「それなら良かった…パパと呼んでやろうかと一瞬思ったぞ」


「それは嫌だな」


「冗談だから気にするなよ…それでな、手紙に書いた通りだ…責任を取って、今回ちゃんと結婚をしようと思ったんだ…それで相談なんだ…」


「そうだな、責任は取らないと…大体ゼクトは俺に見せつける様に、あんな事していたんだから…当たり前だよ…この露出狂」


「セレス…それは言い過ぎだ…幾ら親友でも…」


「あのさぁ…ゼクトは忘れっぽいのかも知れんが…俺が通りかかるとさぁ窓が開いていたから覗き込んだら、裸のリダとマリアを膝に乗せて遊んでいて俺と目があったらVサインしてきたよな?」


「なんの事だ」


「それと、俺が羽目を外しても良いが一線だけは越えるな…そう注意したら…その日の夜メルに覆いかぶさっていて、俺が焦っていたら…腰を離して見せやがって口パクで『すまた』と言っていたよな…」


「もう良いやめてくれないか、若気の至りだ…あれは黒歴史だ…やめてくれ」


「まぁもう言わないよ…男として責任とるなら問題はないよ…それでどうするかだ」


「俺としてはある程度盛大に式をしてやりたいんだ…マリンは王女だからな」


「そうなると俺の妻にマリアーヌが居るから、俺が先に式を挙げないと不味いのか」


「多分、そうなると思う」


「それなら、一層の事、午前中が俺で午後がゼクトで良いんじゃないかな? どうせ俺達の式じゃ、こじんまりじゃ出来ないから、合わせた方が出席者が楽だよ」


「そうだな、それで式なんだが…セレスお前に任せた」


「おい…冗談だろう」


「だって考えて見ろよ…お前の結婚相手の中に女神イシュタス様がいるじゃないか? 本来は教会でイシュタス様に誓うのに…それが花嫁じゃ何に誓えば良いんだよ…こんな前例はない筈だぞ」


「確かに…」


「それなら神竜様、セレスにどうにか考えて貰わないと収拾がつかないぞ」


「解ったよ…結婚や式は俺がどうにかするよ…だけど後で文句はなしだよ」


「悪いな…」


「まぁ良いよ…結局は本来の結婚相手と元鞘に戻った…そんな形だよな…そう言えばルナちゃんだっけ、彼女だけ知らないな」


「可愛いぞ…うちの側室筆頭だ」


「そうか…だけど、大丈夫なのか?」


「なにがだよ」


「随分幼いって聞いていたけど…」


「年齢は気にしなくて良いだろう、貴族なら子供の結婚もある」


「いや、そうじゃなくて…マリン王女は正室だから良いとしてルナって少女が成人してから契るとすると…数年しないよな…側室筆頭がしないのに…他の側室は契れないから…リダ達と契るのはその後だよな…数年待たせて大丈夫か? まさか、お前 実はロリコンで…する気なのか」


「違うぞ、このババコン、俺はちゃんと待つし…他の皆にも説明してある」


「ババコン…良いよ静子達に言いつけてやるからな」


「それはやめてくれ…母さんは凄く怖いんだよ」


「静子さんは凄く優しいし綺麗だよ」


「まぁ良いや…下手に突っ込んで母さんとの生々しい話を聞きたくないから…この辺にしよう…それじゃ久しぶりの再会に乾杯」


「乾杯」


久しぶりに酌み交わす親友との酒は…とても美味しく感じられた。

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