第214話 大丈夫なのか...


「セレス様…凄い事になりましたね」


俺がバウワー様の世界に引き込まれている間に…話は進んでいた。


「セシリア…もしかして聞いたのか?」


「はい、まさかセレス様が女神イシュタス様の伴侶になるなんて…凄いですね…」


「凄いですわ…女神迄伴侶にしてしまうなんて」


「流石はセレス…だけどこれどうするんだ?」


俺がどうするんだ…そう聞きたい。


『神様助けて』


思わず、そう思ったが…その神様が問題なんだよな。


ただ、それを受け入れる代償が、皆の『ほぼ不老不死』なら文句の言いようが無い。


静子、ハルカ、ミサキ、サヨ…マリアーヌにフレイ、そしてセシリア。


この7人と未来永劫一緒に過ごせる。


それと引き換えなら、どんな代償も厭わない。


だけど、これどうすれば良いんだ?


女神であるイシュタス様が俺のお嫁さん…


どう考えても可笑しい。


これから聞くことは、本来は考えてはいけない事だ。


多分、俺みたいな立場じゃない人間だったら、考えただけで『女神を侮辱した』と重罰が与えられる筈だ。


幸い此処にいるのは王女に元聖女…特にセシリアは元聖女…詳しい筈だ。


「セシリア…教えて貰いたい事があるんだけど」


「どうかしましたか? セレス様」


「俺は女神イシュタスを娶って良いのかな?」


「何故、そんな事を私に聞くのですか? 女神様から望まれたのですから…娶るべきです」


「女神様ですから仕方ありませんわ」


「そうだよ!それにセレスだって神竜って呼ばれているじゃないか?」


いや、皆は大きな見落としをしている。


「セシリア…女性が4職(勇者、聖女、剣聖、賢者)に生まれたら魔王討伐が終わるまで『最後の一線は越えられない』そこまで課されるわけだよな」


「当然です…この世界なら皆知っている常識です」


それは解っている。


あのゼクトですら、最後の一線は越えていない。


だが、何故そうなのか考えなくちゃならない。


「セシリア…そんな決まりなんで出来たと思う…よく考えて思い出してみて…凄く矛盾しているから」


「矛盾ですか?…ああっそうですね、あああっそうですね、大丈夫じゃありませんね」


「どうかしたのですか?」


「どうしたんだ…」


「今、皆が聞いた通り、俺の婚姻相手の1人に女神イシュタス様が加わったんだけど…不味くないかな」


「絶対に不味いわ…だけど、どうしたら良いのかは教会を含み誰も知らないと思います」


「それがどうかしたのですか? 神が決めたのなら仕方ないですわ」


「そうだね、女神様だもん…逆らえないよ」



「良く考えて欲しい…女神イシュタス様はこの世界の一神教の神で処女神だ…そんな相手を俺は抱いて良いのか? 婚姻の先は夫婦ならヤル事になる筈だ…つまり…俺は女神イシュタス様と夫婦である以上抱く事になる可能性が高い…俺が女神を抱くのは不味いよな」


「確かにそう思いますが…それは流石に教皇でも答えられないと思います」


「確かにそうですわ…処女神ですから問題がありますわね」


「そうだ、何で忘れていたか解らないけど、イシュタス様は処女神…どうするんだこれ…本当に大丈夫なのか?」


イシュタス様はもう神託を降ろしたと言っていたけど、自分が処女神だと言う事を忘れて無いか?


神託で『将来結婚します、相手はセレスです』なんて問題だらけの気がする…


大丈夫か? 女神イシュタス....


幾ら考えてもどうして良いか解らない。


今度、バウワー様にでも聞くしかないな。






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