第210話 ゼクトSIDE セレスの力


本当に胃が痛い。


セレスはきっと鋼鉄の胃袋でも持っているんじゃないか…


あの後、俺はマリンとルナに今回の事を話した。


ルナは多分良く解らないのだろう…『ゼクト』に任せる、で終わった。


だが、問題はマリンだった。


「そういう事はまず、正室の私に相談して下さいね」


まだ、結婚はしていないよな?


まぁ、貰う気でいるから問題は無いけど…


「ゴメン、勝手に決めて悪かったよ」


「そんな謝らなくても良いですよ…元の状態に戻っただけですから!ただ、今度からはしっかりと手順を踏んで下さいね…色々とありますから」


「色々?」


「はい」


マリンから話を聞くと、あのまま俺が魔王を倒す様な事があればマリンが王女だから正室、マリア、リダ、メルが側室。


そういう未来があったそうだ。


だが、セレスの活躍で世界が平和になり『俺が魔族と戦う』事もなくなった。


その他色々な話があり…うやむやになっていた。


結局、この話はそのまま保留になっていた。


そういう事らしい。


「確かに、あのままであれば、そうなる可能性は確かにあった気がする」


「その通りですよ…だからこんな日が何時か来るんじゃないか…そう思っていましたが…心の準備位させて下さい」


「ごめん」


「それじゃ、話は早い方が良いでしょうから…今からマリアさん達と今後について話し合いしましょうか?」


「確かにそうだ」


俺はマリア達3人を呼びに向かった。


◆◆◆


「これからマリン王女と会うのですか?」


「え~僕嫌だよ」


「なんだか面倒くさいな」


マリアは兎も角、リダ、メル…お前等相手は王女だぞ『勇者パーティ』として需要人物と話は何度もした筈だ。


リダ、メル…お前等。


これもセレスが甘やかしたからか…


「お前等、俺に責任取れ…そう言ったよな? 俺は責任を取る…そう約束したよな! 俺が責任を取ると言う事は三人を妻として受け入れる事だ…それは解っているのか?」


「うん、解っているわよ…その私をお嫁さんにしてくれるのよね?」


「僕がお嫁さんになる…そう言う事だよね」


「お嫁さんにしてくれる?そう言う事だよね」


「ああっ、あそこ迄しておいて責任を取らないなんて事は言わない…裸にしてあんな事やそんな事沢山したからな」


「ふふふっ恥ずかしいけど、そうね」


「確かに裸にして随分な事されたよね」


「多分、私が一番凄い事されていたかな」


「その通りだ、最後の一線こそ越えていないが、あれは責任取らなくちゃならない事だ…だが、大事な事を忘れているぞ、俺達は元勇者パーティで重要人物だ、幾ら引退したとはいえ、しっかりとした位置づけで婚姻をする必要がある」


「そんな面倒くさい事必要ないんじゃないかな?」


「僕もそう思うよ」


「私も思うな」


「いや、ちゃんとした手順を踏んでだな」


此奴ら、なにを言っているんだ。


リダやメルは兎も角マリアまで可笑しいだろう。


「うん、確かに正室はマリン王女で他の皆はルナちゃんを含めて側室…それだけじゃない?」


「うんうん、そんで持って、ゼクトが最初に純潔を奪う相手はマリン王女で僕たちはその次…その位じゃないのかな」


「そうだね、そこだけ気を付ければ大丈夫な筈だよ」


「いや、そんな簡単には行かないだろう? 皆の立場があるし」


「そうね…セレス様はまだ教会で式を挙げていないから、マリアーヌ様達が居るから、式はセレス様に先にあげて貰った方が良いかな」


「うんうん、セレスの後ですれば良いんだよ」


「リダ…私達家臣扱いなんだから、セレス様ね!だけどゼクト他に気を付ける必要あるかな?」


「一応俺達は重要人物だし、各所に届けが必要だろう?」


「ゼクト…忘れていない? この世界で一番偉いのはセレス様よ…教会の立ち位置としてはリアル神様なのよ?」


「うんうん、一番偉いのはセレス、コハネじゃ常識だよ!」


「リダ…セレス様ね!だけど幼馴染がリアル神様なんだから!帰ってきたら『結婚したい』って言えば良いだけだよ」


え~と…あれ…


そうだよな、教会にはセレスの像が女神像の横にあって『神竜セレス』って呼ばれている。


それなら、当事者で話し合って…セレスに報告で終わりで良いのか?


マリアーヌ王女にフレイ王女に先の聖女のセシリア様…


それが全部妻で、魔族からは支配者として『大魔王』と呼ばれている。


ハァ~またセレスに頼るのか。


この世界の全てを押し付けた俺が今度は『女性関係』


もういいや、よく考えたらセレスは義父だし…これが最後って事で甘えるか。


「そうだね」


もう、それしか言えなかった。


◆◆◆


「そうですね…ゼクト様の幼馴染がセレス様だって事を忘れていました…序列関係を当事者で決めるだけ…ですね…私が正室であとは側室筆頭を決めて、あとはセレス様に丸投げ…確かにそれで良いですね…後は私とマリアーヌお姉さまと話し合ってセレス様の式をどうするか…それだけ決めれば良いと思います」


「セレスの式か」


「ゼクト様、セレス様はギルド婚なので、教会で式を挙げていないと聞いています…その辺りを加味して考えなくちゃいけません。もしセレス様達が結婚式を教会で挙げないなら、セレス様の立ち合いでギルド婚、そういう選択も必要かと思います」


確かに第一王女のマリアーヌ様が結婚式を挙げていないのに第二王女のマリンが挙げるのも…そうかもな。


「それじゃ、その方針でどうだ」


「そうね、確かにマリン王女の言う通りですね」



「うんうん、その通りだよ!了解、僕はそれで良いよ」


「そうだね、それが妥当かな」


「「「それでゼクト側室筆頭は誰(にするの)(!)(を選ぶの)」」」


「そりゃルナだろう?」


「…ゼクト 私?」


「そうだ、ルナだな?」


「あの、ゼクト! マリン王女が正室なのは解るけど、なんでルナちゃんが側室筆頭なの?」


「僕らは…その、それなりに関係があったよね?」


「あんな事やそんな事したじゃない? まさか、こんな小さなルナちゃんと…したの」


此奴ら何を言っているんだ…


「俺はマリンにもルナにも『そう言う事はしていない』だが、俺が全てを失い落ち込んでいた時に心の支えになってくれたのはルナだ!恐らくルナと出会わなかったら…俺は今でも立ち直れなかった可能性が高い、だから此処は譲れない」


「そうだね、確かにゼクトが一番つらい時に傍に居なかったのだから仕方ないわね」


「そうだね、あの時の僕らはゼクトじゃなくセレスを」


「リダ…一言多い…そうね悪かったわ、当たり前だよ…文句ないよ」


良かった。


もし、此処で反論されたら…困った事になった。


『あの時セレスを選んだだろう』


これは流石に言いたくなかったから良かった。


「もうほぼ決まったな」


「「「「「そうね(だね)」」」」」


セレスが絡んだ為か…簡単に決まってしまった。


後は、セレスが帰ってくるのを待つだけだな。




※つぎはセレスの話に戻り...ようやく交差します。

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