第208話 ゼクトSIDE 責任 ※あと少しでセレスと交差します


「灯台下暗しだったな」


「そうね…だけどこれならリダも問題ないわ…まさに天職だわ」


「ああっ、彼奴に凄く向いているし、楽しそうだ」


あれから幾つかの職を俺はリダと共に経験した。


そして行き着いた先が『保母』の仕事だった。


良く考えれば、彼奴は遊びが凄く好きだし、子供にも人気があった。


これこそが天職だ。


『子供と一緒に遊びまわり、危険からは守る』


剣聖であるリダが気配察知を使えば、子供を簡単に守れ…そして自分がガキみたいな遊びが好きだから精一杯一緒に遊ぶ。


うんうん…これで間違いない。


「ゼクト…」


「なんだ、ルナも遊びたいのか? 行ってきて良いぞ」


「うん…行ってくる」


今日はマリンは母さん達と行動している。


マリアとリダとメル、そしてルナだ。


「あはははっ可笑しいの、昔、私はセレスの事を『お母さんみたい』そう思っていたけど、ゼクト貴方もお母さんみたいだわ」


「本当に私もそう思うな? どうして私の周りはこう女子力が強い男ばかりなんだろう」


「マリア、メル…それはお前達が女子力が弱すぎるからだろう? 俺だってセレスだって充分男らしいが…お前らが余りに何も出来ないから、いつの間にか『やるようになり』出来るようになっただけだ。俺は良いがセレスに謝れ」


「しかし、随分変わったね、昔のゼクトならセレスの事じゃ無くて自分の事で怒ったのに…」


「うんうん、セレスに謝れなんて言わないよね! それにリダの事随分面倒みた見たいじゃない?」


「まさか、あそこ迄何も出来ないとは思っていなかったよ…ようやく仕事が決まって良かった、それに教会が経営している託児施設ならマリアも気に掛けて貰えるから安心だ」


「そうね…だけどゼクト本当に変わったのね」


「驚いたよ」


「自分では解らないが、変わったと思ってくれるなら嬉しいぞ…あの時は見捨てる様に逃げて済まなかった…悪かったな、この通りだ」


「気にしなくて良いわよ! 今思えばゼクトなりには一生懸命だったのよね…結果が伴わなくても最後を除けば努力していたのは良く解るわ」


「うんうん、出来なかっただけでゼクトは何も悪くないよ…それにセレスにゼクトに心をフラフラさせていた私達も悪かったよ」


「それなら…」


「「お互い様で良いんじゃない(かな)」」


ようやくわだかまりも解けたし、許して貰えたようだ。


リダの仕事も決まったし、これで全部無事解決…後はセレスを待って酒を飲めば…うん…


「それでねゼクト、今の貴方は見違える程、良い男に変わったわ」


「うんうん、私もそう思うよ!」


どうしたと言うんだ…急に真面目な顔になって。


こういう顔を俺は何処かで見た気がする。


何時だ。


「どうしたんだ?!急に真剣な顔になって…怖いぞ」


「あのね…ゼクト、前の性格のままなら私言う気がなかったわ…一緒に居たいと思わなかったからね…だけど今は別よ…責任とって貰えるかな?」


「そうそう、散々最後の一線は越えていないとはいえ、私達の体を弄んだんだから…責任取って貰えるよね?」


「責任」


「どうしたのかな? 責任が解らない事無いよね? ちゃんと好きだって告白して、恋人として私純潔以外全て貴方に捧げたよね?」


「散々、胸やらお尻を触りまくって、外でキスまでしていたのに…責任取らないわけ無いよね『勇者様』 それとも王女に可愛い奴隷まで持ったから…要らないとか言わないよね?」


「俺はあの時の事を後悔してだから、マリンやルナには指一本…」


「それ今関係無いよね?私達に対しての責任の話だわ」


「そうよ、そうよ」


確かに俺は…そういう奴だったな。


今思えば、勇者だから最後の一線は越えなかっただけだ。


確かに俺は…していたな。


それに俺がそう言う事をしていたのは、前にセレスから聞いた話だと…かなり知られているらしい。


他の男にベタベタ触られた女。


確かに縁談は遠のくな…


責任は取らなくちゃいけないな。


親友のセレスは、ちゃんと責任を取っている。


「解った、2人が俺で良いって言うなら責任を取るよ! だけど、2人は本当に俺で良いんだ…おい」


「リダぁぁぁーーっゼクトが責任取ってくれるって」


「お嫁さんだよ! お嫁さん!」


リダが走ってきた。


「嘘…お嫁さんにしてくれるの? なら僕もう働かなくて…」


「責任はとる…だがこの事はマリンも交えて話さないといけないから暫く待ってくれ…あとリダ、お前は結婚しても働いて貰うからな」


「「ゼクト…良いの」」


「そんな…」


「勿論だ(汗)」


良く考えて見たら…あそこ迄の事をしておいて逃げて良い訳無いよな。


『俺は悪くない』そう思っていたが…


男女という意味ならしていたわ…俺。


母さんが『貴方はきっとセレスくんみたいになりたいと努力しているんじゃないのかな?』そう言いながら笑っていたけど…


まさか…これも…いや流石の母さんもそこ迄は読んでいないよな。


※SIDE ゼクトの話は終盤になってきました。

ようやく数話先でセレスと交差します。

ながながとSIDEも読んで頂き有難うございました。


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