第199話 ゼクトSIDE 俺には無理だ
気の長くなる位待った気がする…
だが実際は2時間経っていない。
3人が来た。
「あれれ、ゼクト本当に来ていたんだ?」
「なにかよう? 自由は満喫したの?」
「ゼクト、最近色々頑張っているみたいじゃない?」
「まぁ、ボチボチ頑張っているよ…それより…」
俺は何を謝れば良いんだ?
ハーレムを作りながらも維持できず、セレスを勧めた事か?
命を危険に晒した事か?
色々とやらかしているが…どれから謝れば良いんだ?
「まぁ、色々と悪かったよ…」
「ゼクト今更何を言っているんだい? セレスを追い出したのは全員の総意だし、その後の事も話し合って決めた。僕たちが謝る相手はセレスだけだよ」
「そうね…まぁゼクトは『残念勇者』なだけだった、だけじゃない? 私も言えた義理じゃないわ。実際にドジを踏んで死に掛けたけど、まぁ頑張ってはくれたんじゃないかな? 好きだと言って、あの態度はなんだけど、頑張ろうとはしてくれていたのは解るわ。まぁ全てセレスが手をまわしてくれた結果でも『やろうとした事』は立派よ…結果が全て残念だっただけ…聖女を解任させてくれたし、安全な所迄送ってくれたし問題は無いわ、謝るならセレスに、私に謝る必要はないわね」
「マリア、それは言い過ぎだよ!ゼクトはゼクトなりに頑張った結果だよ! 最低限の事はしてくれたんだから良いんじゃない? だってゼクトなんだよ…元からセレスみたいに何でもできる訳じゃないんだから」
昔の俺より辛辣な言葉に聞こえるのは何故だろうか。
まるで俺が『駄目な男』みたいじゃ無いか?
まぁ良いか…
「それじゃ、俺は謝らないで良いんだな」
「「「ゼクトだから仕方が無い(わ)(よ)」」」
「はぁ…そうか…」
この状態なら俺が3人にする事は無いんじゃないかな?
「まぁゼクトは馬鹿だっただけで悪くないからね」
「そうそうゼクトだからね」
「ゼクトだから」
なんだ…謝る必要なんて全く無いじゃ無いか?
それとも、此奴らなりに気を使ってくれているのか?
「それなら、俺はセレスが戻るのをゆっくりと待つ事としようか」
「ちょっと待ちなさい! ゼクト…」
話が終わる頃に母さんが入ってきた。
「母さん、今話がすんだよ、皆許してくれるって、ぶはっ、痛いな、なんでビンタなんだよ…」
「ハァ~やっぱり、ゼクトは駄目だわね。貴方はリダちゃん達と付き合っていたし…勇者の一夫多妻の制度を利用して三人と結婚しようとした訳よね、その状態でなんでちゃんと『教育』をしてないの?」
「どう言う事だ?」
「あのね、セレスくんと母さん達の生活を見てみれば解るけどハーレムみたいな生活を送るという事は、それぞれが『責任と義務、役割』を持つのよ? 私達の場合は、そういう役割は決めなくても息があうから必要が無い…だけど一般的なハーレムには必要なのよ!」
「どう言う事だ?」
「ハァ~ そこからなのね…料理が得意な子は料理。掃除が得意な子は掃除。とか普通は役割を担うわ…だけどリダちゃんもマリアちゃんもメルも何も出来ないのよ…これは貴方が『ハーレムみたいな生活に憧れながら何もしなかった』その証拠だわ」
「そんな話、聞いた事無い」
「複数婚をすればハーレムみたいな生活で楽しいわ…だけどその代り、相手が3人なら3倍大変なのよ?役割は勿論、『相手に嫌われないように愛され続ける様な努力をしなくちゃいけない』それに『生涯愛し続ける』その覚悟も必要なのよ…その努力や覚悟はあった? 多分無かったんじゃないかな? そう母さんは思うけど実際どうなの?」
「…」
「ほら、答えられない! リダちゃんやマリアちゃんやメルちゃんは実質家事も出来ないわ…それに上手くいかなくなったら『セレスの所へ』そんな考えがあったそうね…それに三人はすぐに同意し、心が離れていった…これは複数婚を舐めてお互いに努力しなかった結果よ…だからゼクト、貴方は複数婚…ハーレムのリーダーとして『愛され続ける努力をしなかった事』『愛し続ける努力をしなかった事』
この二つを謝るべきだわ…どうかな?」
言われてみて、自分が本当に努力も覚悟も無かった事が良く解った…それが理解出来たから真摯に謝った。
するとリダ達も俺に謝りだした。
結局俺はガキで…一夫多妻に憧れた癖に努力しなかった。
そういう事だ。
セレスはある意味化け物だ。
面倒見が良くて家事が得意。
あんな努力…俺には無理だ。
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