第188話 リゾート④ スパ
さっきの下着の競争はまだ後を引いている。
「それじゃセレス様、少し休んだらお風呂に行きましょう?」
今日はもう遅いから、食事の前と後にお風呂に入る位しか考えられない。
折角のスパリゾートなのだから、タップリと温泉を楽しみたい。
「そうだね、行こうか?」
「それでは先程の第二ラウンドの開始ですわ」
「望む所です!私プロポーションには自信がありますよ」
「そうか? 常日頃から鍛えているから、その差を見せてやる」
なにを争っているのか解らない。
やはり彼女達は三国の王族や権力者、俺なんかじゃ想像もつかない何か競争心があるのかも知れない。
まぁ、良いや温泉って事はまた、あの水着が見られる。
あれは凄かった。
前世の水着みたいな良いデザインじゃないけど、昔の湯浴み、みたいで、本当にスケスケでお湯を浴びると肌に貼りついて…色々と凄い物が見られて…本当に凄かったな。
しかし、毎度ながらこの設備の作り…本当に頭が下がるな。
日本語で『湯』と書いてある暖簾のその奥には『男女』と書いてある暖簾がある。
こんな所迄忠実なんだな、いつ見ても、異世界人は凄いな。
こんな無茶な施設まで作ってしまう。
どれだけ、影響力があるんだよ…絶対に王族以上だよな。
更衣室の前で3人と別れて男の暖簾をくぐった。
多分、更衣室だけが別で中は一緒…あれ、そんな保証無いよな?
前回がそうだっただけで、今回も同じとは限らない。
もし、そうなら…俺一人か?
更衣室に入ったが…男女別が濃厚な気がする。
よくあるロッカーにバスタオルとタオルが1枚ずつ。
前の所みたいに…下半身に身に着ける物が無い。
前の常識じゃ何もしないで入るのが正しいが、三人が居た場合恥ずかしいからタオルを腰に巻いて行こう…だが、水着を身に着けないスパは、男女別が多かった気がする。
それなら、それで良い。
もし、そうだったら、1人ゆったりと温泉を楽しめば良いだけだ。
俺は服を脱いでタオルを腰に巻いてから温泉に入っていった。
◆◆◆
扉を開けて中に入ると…
「セレス様遅いですわ…ほら早くですわ」
「随分時間がかかりましたね?」
「セレス様、どう?なかなかのスタイルだろう?」
「なっなっ」
俺が驚くのも無理は無いと思う。
前回と違って、今回は『何も身に着けて無い』
手にタオルは持っているが…前回の湯浴み、みたいな水着すら身に着けていない、スッポンポン…裸だ。
「なっなっ、なんで裸なんだ…」
いや目の保養には最高だけどさぁ…思わず鼻血が出そうだ。
静子達との行為と違ってマリアーヌ達との行為は前世で言うネグリジェ、キャミソールみたいな服を着て行う。
王族特有の作法みたいだ。
だから、厳密には『本当に一糸纏わぬ姿』を見るのは今日が初めてだ。
しかし…凄く綺麗だ。
「温泉に入る時は、水着を着ないのが本当の作法だって聞きましたわ」
「少し…恥ずかしいですが、貸し切りで他には誰も居ないので思い切ってみました」
「どうですか?セレス様」
しかし、大胆だな。
「しかし、なんで…その急に、男としては凄く嬉しいけど、皆は本当は肌を晒しちゃ不味いんじゃ無いの」
「それなら構いませんわ、セレス様は神ですから、王族の範疇すら越えますから…お父様でも文句は言いませんわ…それに私の年齢の肌なんて…これは言わない約束ですわね」
「神様扱いですから問題ありませんよ。元聖女として何でもして差し上げて問題ないですから」
「まぁ、帝国は元からその辺りは緩いし、相手がセレス様じゃ誰も文句を言わないよ」
「それなら良いけど」
しかしこれはこれで照れる。
前世でいうなら水着を着て使うスパリゾートを全裸で利用する。
何とも言えない背徳的な気持ちになる。
まるでヌーディストビーチに来た気分だ。
「それにズルいですわよ!静子様達とは、偶に裸でお風呂に入ったり、裸で…その夜伽もしていると聞きましたわ」
「師匠から私も聞きましたよ」
「私も聞いたな」
「それは、王族との行為のマナーだと前に聞いたから、そうしたんだけど?」
「確かにマナーではそうですが…何となくそれでは寂しいのですわ」
「服1枚分、なんだか差がついている気分です」
「私もそう思うんだ」
「それなら、静子達と同じに扱う。それで良いの?」
「「「はい(ですわ)」」」
確かに自分が同じ立場なら…寂しく感じるかも知れない。
マリアーヌ達が王族だからと特別扱いする事が寂しいなら、静子達と同じで良いのかも知れない。
「それなら、これからは、そうするよ」
「嬉しいのですわ」
「ありがとうございます」
「ありがとう」
こんな嬉しそうな顔になるなら、もっと早くにそうしてあげるべきだったのかも知れない。
◆◆◆
俺達は今、ジャグジーモドキに4人で浸かっている。
「それでセレス様3人の体の中で誰の体が1番お好みですの?」
「そうですね…私ですよね」
「なに言っているのかな? 常日頃鍛えている私だよね?」
ボリュームのあるセクシーなマリアーヌに、スレンダーなセシリア、それに鍛えられていてしなやかな感じのフレイ。
皆がタイプは違うが凄いプロポーションだ。
「皆、凄く綺麗だし、全員好みだよ」
「セレス様が、私達を綺麗だと思って下さっているのは解っていますわ、ですが1番は1人だけなのですわ」
「此処にはシャロンはいませんから、誤魔化せませんよ」
「さて誰が1番なのかな、セレス様、スパって決めよう! もし私じゃ無くても怒らないから…ね」
絶対フレイは怒るよな…
どう答えれば良いのだろう…
笑顔でこちらを見つめてくる3人が今はバウワー様より怖い。
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