第186話 リゾート② 3人への思い
しかし落ち着かない。
静子達とは長い付き合いがある。
だが、マリアーヌ達とはそこまで付き合いがあるわけじゃ無い。
俺の妻ではあるが、どう見ても『お姫様』にしか見えない。
「どうかなさいましたか?」
「いやこうしてみるとマリアーヌって、お姫様なんだなと思って」
「いきなりどうしたというのですか?」
綺麗なウエーブの掛かった金色の髪。
光に当たってキラキラしている。
そして透き通るような綺麗な白い肌。
そして20代後半…美少女でなく『美人』と言える女性が一番綺麗な時だ。
前世で見た美しいフランス人形…少女漫画のお姫様が近いかも知れない。
「いや、凄く綺麗だ…そう思って、つい見惚れていたよ」
「嫌ですわ…昔なら兎も角、今はもう結構な齢なのですわ…所謂おばさんですわよ」
この世界では20代後半はおばさん。
実に勿体ない。
「いや、本当にそう思うよ…綺麗な髪、サラサラしていてまるで人形みたい。肌なんか凄く白くて、日焼けすらしなくて強い日差しを浴びてもほんのりと赤くなるだけ…本当に綺麗だ」
こういう話をすると顔が赤くなるんだよな。
綺麗な女性が美人から可愛くなる瞬間。
それが…凄く可愛らしく見える。
「そんな…私なんて…その若いセレス様に言われてしまったら…もうどうして良いか解りませんわ」
腰をクネクネしている姿も…うん綺麗で可愛い。
「あらっセレス様は、随分とマリアーヌがお好きなのですね」
セシリアもまた凄い美人なんだよな。
マリアーヌに比べて少し薄い金の長い髪。
女神の生まれ変わりと言われる位、若い頃は女神に似ていたそうだ。
女神像と見比べると確かに本当に似ている。
女神が歳を少しとったらセシリアになる…そんな感じだ。
前世で言うならギリシャ神話の美の女神が近いかも知れない。
勿論、今の年齢でだ。
20代後半…それだけで女扱いされない…本当に綺麗になるのはこれからだと言うのに…
「マリアーヌだけじゃないよ…セシリアも凄く綺麗だ」
「確かに、昔は女神に似ていると評判でしたが、今はマリアーヌと同じで良い歳ですよ」
「世間ではそうかも知れないけど、俺は今の皆位の歳の年齢の方が好きなんだ…だから余りおばさんって言わないで欲しい、今でも俺には世界三大美女だよ」
「それは解りますが…」
「まぁ良いんじゃ無いの? セレス様の理想が私達位の年齢なんだから…まぁ師匠が妻になっている時点で年上が好きなのは解っているんだから」
「まぁね…あははっ」
何だかババコン。
そう言われているみたいで嫌だな。
「それでセレス様から見て、私はどう見えるんだ?」
しなやかな獣。
それが一番近いかもかも知れない。
女性の騎士…戦女神とかバルキリーとかが近いかも知れない。
中世的な美女。
筋肉はしっかりついているが腹筋が割れているわけじゃ無く女らしい。
『女豹』そんな感じだ。
「美しい獣…もしくは戦女神って言うのかな…うん凄い美人にしか見えないよ」
「あーあー…そのありがとうね、他の男に言われてもなんとも思わないけど、セレス様にいわれるとグッとくるね」
「そうかな」
「そうだよ」
確かに俺から見て凄く美人だけど…綺麗すぎて少し困る。
「ですが、セレス様…美人だと思ってくれているならなんで寝所には余りきて下さらないのですか?」
「そうですね、静子師匠の所には随分と通っているようですが、寂しいですよ」
「うんうん、もう少し来てくれると嬉しいな」
こういう言い方は良くないが、静子達が憧れのお姉さんだとすれば、彼女達は、憧れの芸能人みたいな感じだ。
同じ綺麗でも何となく付き合いにくい。
「いや、マリアーヌ達はその『子供の頃憧れたお姫様』みたいな感じだからついね」
「まぁそうでしたの? ですが今はセレス様の妻なのですわ…ですから、その夜の方も…相手して下さらないと寂しいですわ」
「そうですよ…年上で良いならもう少し通って欲しいですね」
「そうだよ…セレス様は若いんだから…まぁ今回の旅行は『私達』とだから、毎晩相手してくれるよな?」
この世界を代表する様な美女三人に言われるとなんだか照れてしまう。
「頑張ります」
顔が赤くなり、それしか…言えなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます