第184話 平凡じゃない
「それでこれから何処に行くの?」
空竜艇に乗っているという事は『遠くに行く事も可能』だ。
「そうですわね、セレス様さえ宜しければ、リゾート施設に行こうと思っていますわ」
「リゾート施設?」
「前にバカンスで行ったのは海、今回静子師匠達とお出かけになったのが、湖と山方面…そう考えたら、リゾート施設が良いとかなと思ったのですが如何ですか?」
「海に近い場所だけど、高級ホテルがあってそのホテルにスパを始め沢山の施設が入って居るんだよ!何をしようとか決めずに色々楽しんでみない?」
確かに…まだリゾート施設には行ってなかったな。
マリアーヌ達はきっと俺を楽しませる為に、まだ行った事が無い場所を探してくれたのだろう。
海につぎ温泉、山、湖。
今の俺は、少しだけ平凡な時間が過ごせている気がする。
「へぇ~凄いね…それでどんな所なの?」
「これですわ!」
パンフレット…白黒印刷だがこんな物まであるのか。
しかし、随分と分厚いな。
なになに…ロイヤル コハネ フォーシーズン ハワイアン プラチナホテル…?
なんだこれ?
『フォーシーズン』は四季の事だよな。
『ハワイアン』って前世のハワイしか思いつかない。
どう考えても、これ異世界(日本人)が関わってそうな気がする。
大体このパンフレットに書いてある木はどう見てもヤシの木だし。
イラストの女性はフラダンスしている様に見える。
『コハネでも有数の歴史を誇るホテル。 初代オーナー異世界人、ジロウーニモ、スズーキが憧れていたハワ二のワイキキ、マウイに近い環境を生涯を掛けて再現。 人工プライベートビーチやプールに…スパが楽しめます。名物マーライオンやダイブツに異世界の大きな女神像…ジンジャにテラまであり『初代オーナー曰くこれがハワイだ』という事。過去にはこの場所を訪れた異世界人の勇者様が涙を流したという伝説もあります。』
うん…絶対に異世界人が関わっている。
旅行好きな日本人か、ただハワイに憧れた日本人かは解らないが『そういう人物が作った施設』だろうな。
大体『ジロウーニモ、スズーキ』ってもしかしたら鈴木次郎とか二郎じゃ無いのか?
まぁ楽しめそうなのは確かだな。
ホテルの規模は…
客室数 788 フィットネスジム、スパ有り。
事前予約で『異世界食のフルコース』も可能。
イラスト通りなら凄い部屋だ。
オーシャンビューらしいが…人工のビーチが見られるのか?
ショッピングモールが1階にあり、バーやラウンジ有り。
ハワイアンダンスやファイヤーダンスの見学も楽しめるそうだ。
「凄い、設備だな。だけどこんな大型設備、人混みで大変じゃ無いのかな」
「なにを言っていますの?貸し切りに決まってますよ」
「セシリア…これを?」
「セレス様、なに言っているんだ? 私達これでも王族だし、それにも増して、セレス様は『神竜』じゃないか…一般人が居たら大変じゃないか?」
「そうですよ…元聖女の私が断言します。真面に歩く事も出来ません…こうでもしなければ空いている部屋は教会関係者で埋め尽くされてしまいますよ」
「だけど、良く予約がとれたな」
こんな施設連泊なんてまず取れないだろう。
「お父様達に頼んだら簡単でしたわ」
お父様達…国王に教皇に帝王…そりゃ誰も逆らわないよな。
「勘違いしないで下さい…権力はとかは一切、使っていませんから。ただ、ロマリス教皇様が『神と一緒の寝所等…恐れ多くて私ですら
使いません』そう、ぼそっと言って回っただけですから、安心して下さい」
教皇が恐れ多くて使わない。
そんな場所誰も使えないよな。
「なんだか、随分迷惑を掛けた気がする」
「それなら、大丈夫ですわ。途中1泊だけお父様を始め、今回の旅行に手を貸して下さった方をお招きしましたのですわ」
「それで凄く喜んでいましたよ」
「うちは余りセレス様と接点が無いから、凄く喜んでいたから大丈夫だって!なにかサプライズを考えているみたいだから、楽しみにしていて」
うん…全然平凡じゃ無いな。
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