第158話 三人との時間
しかし、あれは凄かった。
前世の記憶で、濡れTシャツと言うのがあったけど、あれは上だけだ。
下はジーンズや短パンだった。
それでも水場で遊んでいる姿は可愛いく綺麗だった。
だが、今回は違う。
まず、透けているのは『上だけじゃない』下もなんだ。
恥ずかしそうに胸は隠し気味だけど、後ろを振り向くと、形の綺麗なお尻が見える。
つまり…どっちから見ても『男のロマン』が見えっぱなしになる。
それと前世の濡れTシャツと大きく違うことがある。
それはこれが『水着』だという事だ。
つまり…下着はつけていない。
一番近い姿は前世で言う海女さんの服が水着みたいな形をしていている状態…う~ん少し違うな。
大人の本のセクシーランジェリーの方が近いかも知れないな。
鼻血が出そうになり、皆の視線が気になり、余り見られなかったが…それでも思い出すと、ヤバい鼻の下が伸びる。
「これがあのマモンすら倒した英雄の姿だなんて僕信じられないよ」
「リダ、確かにそうだよね、これ本当にセレスなのかな?」
「マリア、それにセレスって可笑しいよね? なんか普通じゃない気がする」
今現在、静子達はのぼせたからと先にあがってしまった。
一緒にあがろうと思ったら…
『うふふっ、ちょっと支度するからセレスくんはもう少ししてからあがって来てね』
そう、言われて露天風呂に取り残された。
暫くは浸かっていたが、流石にのぼせてきたので露天風呂の近くの長椅子に座って幼馴染3人と久々に話していた。
幼馴染のリダやマリア、メルもさっき迄同じような水着を着ていたが、残念な事に『そう言う目』で俺は見れないようだ。
一番近い感情は『娘』と一緒にお風呂に入っている。
そういう感じだな。
それにパーティなんて組んでいれば、否応なしに裸なんて見慣れてくる。
それはさて置いて…
俺は本当に普通じゃないのか?
「俺はそんなに可笑しいのかな? 自覚は無いんだけど?」
「はぁ~僕は自覚位はあると思ったんだけど、全くないんだ…いい? まず凄い年上が好きだよね!セレス位年上が好きな男性は他には居ないよ」
「リダの言う通りですよ、私のパパだって年下が好きだし、基本的に少し位なら兎も角、こんな極端に年上が好きな男性はセレスしか私も知らない」
「うんうん、リダとマリアの言う通りだよ」
ああっそれは認める。
「確かに俺は年上が好きだよ! 母性と言うのかな…女性らしさが好きなんだ」
「あのさぁ、それも僕は可笑しいと思うんだよね! セレスは家事が凄く得意だよね! 母さん達と比べても下手したらセレスの方が料理や洗濯上手いんじゃないのかな?」
「料理人をしている父さんが厨房に立たせる位に料理うまいよね?」
「洗濯だって完璧だよね、そういう人が女性に母性を求めたりしないと思うんだけどなぁ~ 寧ろリダみたいに男っぽい女の子を好きになるのが普通じゃ無いのかな」
うっ、確かに『自分に無い物を補う』のが恋人や夫婦だって言う人も居るけど、俺はあの笑顔を見るだけで、もう充分なんだけどな。
「俺は、俺が何かした事で感謝してくれて、笑顔になってくれる、それだけで充分だな。俺ってう~ん器用貧乏?ほら、大抵の事は何でもできるから」
「うっ、そう言われると…なんだかゴメン」
「確かに私達は感謝なんて余りしなかったわね」
「確かに、今思えばうん、そうだね」
「もう過ぎ去った事だから別に良いよ」
「そう、だけどさぁ、それはそうとセレスはやっぱり可笑しいと僕は思うな? セレスさぁ皆の水着を見て、見たいのに我慢して目を背けていたよね? なんで!」
「さぁ、なんでだろう?」
普通にじっくりなんて恥ずかしくて見れないよな。
「私達、一緒に過ごしていたから結構裸を見られていたと思うし、それにもう結婚しているんだからママとも経験はあるんでしょう?」
「うっそれは…」
「隠さないでも良いよ!お母さんが妙にご機嫌だし艶々しているんだから、解るってこれでも母子なんだから」
「解るなら態々聞かないで欲しいな」
「いや、僕たちが可笑しいって思うのは、そこ迄の関係なのに何であれで顔を赤くしているのかなって事だよ」
「裸を見た関係なら水着なんて何で見たがるのかが、良く解らないわ」
「それに何か意味があるのかな?」
これは気のせいかも知れないが、案外この世界の人間は性的な事に淡泊なのかもな。
しかし、こんな事を幼馴染に説明しなくちゃいけないのか…
どう説明して良いか解らないな。
「なんて言えば良いのかな、少し隠れているからセクシーと言うか、チラリズムがまたそそると言うか」
「セレス、僕セレスが何を言っているのか解らない」
この世界の人間と前の世界では色々と常識が違う。
多分説明するのは難しい。
「俺も上手く伝えられないから、まぁそういう物だよ」
「「「まぁセレスだから」」」
しかし、家臣って気が全くしない。
とうとうマリアまで『様』をつけなくなって呼び捨てになった。
この方が、幼馴染に戻ったみたいで良いけどね。
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