第124話 飾り窓? 奴隷商




コハネの街はジムナの街と何も変わらなかった。


規模も同じ位だ。


ただ一つ大きく違うのは食べ物がとても美味しく新鮮だという事だ。


刺身なんてこの世界で初めて食べたし、貝焼きまであった。


ただ、流石に醤油や味噌の再現は完璧では無いからそこが凄く残念だ。


異世界に転生する事が解っていたら作り方位勉強して置いたのに。


流石に、洋食のケチャップと違い作り方は想像もつかない。


「それじゃリダは私と一緒に武器屋を見に行こうな」


「僕は良いや、アンサラーがあるからもう武器は要らないし、それより僕は海は初めてだから釣りを」


「それはまた今度にしな、何時でも出来るよね? 今はそれより武器だ、同じ剣聖だろう?」


「だけど、僕は」


「リダ、今日は諦めなさい、母さんも行くから」


「ハルカが行くなら私も行こうか、ジムナ村じゃ期待できないから行かなかったけど、此処なら何かあるかも知れないし」


「そんな、お母さんにミサキさん迄僕は…」


「それじゃ決まりだね、それじゃセレス様私達は武器屋巡りに行ってきます」


フレイにハルカにミサキ、そしてリダは武器屋巡りか。


「それじゃ、マリア私達は今回も教会に行くわよ」


「その…」


「そうね、私も回復師として偶には教会に行こうかしら、一緒に行っても良いわよね」


「それじゃ一緒に行きましょう」


静子にセシリアにマリアは教会か。


「それじゃ私達はまた買い物に行ってこようかしら、それじゃシャロン行くわよ」


「はい姫様」


マリアーヌとシャロンは買い物と。


「メル、貴方は賢者なのだから、もう少し勉強するべきだわ」


「母さん、そんな」


「と言う訳で、今日は本屋巡りに行くわよ」


「はい…」


サヨとメルは本屋と…


あれ?


気がついたら今回は俺は1人だ。


まぁ良いか?


適当にあちこち見て回るか。


◆◆◆


久々に一人だから、串焼きを買い食いしてみた。


凄いな、コハネは。


海が近くにあるし、川もあるせいか、他の町のようにオークの串焼きだけじゃなく、貝を刺した物や川魚を刺した物にイカみたいな物を刺した物など20種類近くある。


「おじさん、その貝の串と魚の串をお願い」


「あいよ」


どちらも塩焼きだが、結構美味い。


流石にお好み焼きやたこ焼きは無いが、ジャガバタモドキはあった。


小さな夜店モドキの小さな店が沢山あって結構楽しい。


こういう所にジムナ村には無い歴史を感じる。


暫くブラブラして居るとない筈の物を見かけた。


嘘だろう、コハネにはない筈だ。


『奴隷商』の看板がかかっている新しい建物の店があった。


しかも看板の下には『オークマンプロデュース』と書いてある。


可笑しいな?


オークマンは確かに奴隷には詳しいが店を経営したかった訳じゃないよな。


どうなっているんだ。


俺は奴隷商の中に入ると…


「いらっしゃいませ、えっセレス…悪いセレス様?!」


「オークマン、何やっているんだ」


「それがよーっ!代官のコルダ様に何か仕事をしてみないかと言われてな、俺にはこれしか思いつかなかったんだ」


まぁ奴隷と言えばオークマン、オークマンと言えば奴隷だからな。


魔族との争いが停戦してギルドの仕事が減ったいま、オークマンの特技はこれになるよな。


「確かにそうだな、だが随分と変った店だな」


普通の奴隷商と違い凄く清潔だ。


しかも檻ではなく大きなガラス部屋があり、そこで奴隷は寛いでいる。


奴隷では無いが、何処かでこんな話を聴いた事がある。


そうだ『飾り窓』だ。


「だろう? この奴隷商ではどんな奴隷でも個室を与えて寛いで貰っているんだ、見ての通りソファもあるから下手な平民の家より豪華だ。ガラス張りの下にはその奴隷の名前やプロフが書いてあるんだ、奴隷を見て気に入ったら、お互いに話し合って『奴隷』も相手を気に入ったら引き取れ、そんな感じだ、見られるのは嫌かも知れないが、奴隷も選ぶ権利があるのがミソだな」


「凄いな!オークマン、良くこんな事思いついたな」


「セレス様が故郷の連中に奴隷でなく『嫁』を世話しているのを思い出してよ!そこから考えたんだぜ」


「そうか、それで調子はどうだ」


「まずまずだな」


需要はあるんだな。


だが、家臣にした筈のオークマンが何故此処で奴隷商人をしているのか…


あとで代官に聞いてみるか?


「それじゃオークマンまたな!」


俺はオークマンに挨拶をして奴隷商を立ち去った。










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