第99話 メルの里帰り
ナジム町長から、聞いた話だと、私のお父さんは冒険者ギルドのマスターになったらしい…
あのお父さんが?
そう思いながら、冒険者ギルドに向かった。
「冒険者ギルドへようこそ!」
「お父さん…何やっているの?」
「おおっ、メルじゃねーか久しぶりだな! どうだ元気にしていたか?」
なんなのかな?
確かにお父さんは少し荒くれ者だったけど…こんな筋肉だるまじゃなかった。
冒険者や傭兵でなく、元農夫だった筈なのに…冒険者にしか見えない。
「随分、変わった気がする…お父さん、どうしたのよ」
「セレスが帰ってきたら、過ごしやすい様にと冒険者ギルドを始めたんだ…その際に嫁に体鍛えるように言われてな…今じゃこの通りだ、しかも冒険者としてもDだぜ…まぁSのお前にゃ負けるが」
「嫁さん?」
まさか、この横に居る、私位の女の子が…?
「初めまして、あたいの名はエレノール、まぁなんだ、アンタの義母になるのかな?」
「貴方が…私の義母?」
「まぁ、やる事やっているし…ギルド婚しているから、そうなるんじゃないかな」
いや…これなにかな? セレスとお母さんも大概だけど…娘より若い子は…無いよ、真面目に気持ち悪い。
ロリコンは許せるけど…エレノールさん、顔立ちがかなり私に似ているし…姉妹と言っても通るよ。
なんだか、寒イボが出来てきた気がする。
「はじめまして、私はメルと言います…宜しくお願い致します」
「宜しくな」
だけど、このギルド、結構な規模だな。
酒場が併設されて…かなり大きいじゃない。
「だけど、随分大きなギルドだね」
「儂は小規模で良かったんだが、町長と話をして町おこしをしたら、急に人口が増えてきてな…30人も居ない小さなギルドが今じゃこれだ」
それにしても随分な規模だよ…これ。
「どんな事したわけ」
「あたいが説明するよ…なんだかあたい達の事例から考えた町長がな、新しい制度で『エキスパート(熟練者)に限り、村(町)で10年生活する約束をするなら、嫁として結婚するのを前提で奴隷購入資金金貨3枚支援する』って言うのを導入したんだよ」
「それって、ベテラン冒険者なら、嫁になる奴隷がこの村専属になるなら貰える…そう言う事」
「そうさ、勿論、冒険者だけじゃなく、職人だってなんだって、ベテランというレベルなら全部適用だ…しかも、この村(町)に永住するなら新築の家までプレゼントだ…凄いだろう」
凄いけど…なんで。
「凄いけど、そんな馬鹿な事して赤字にならないの」
「それがな…この話も町長がセレスに相談して『最初は赤字だけど…絶対に村が栄えるから』と随分前から聞いていたらしいんだ…彼奴は凄いよな…実際にこんなになるんだから」
知らない…賢者の私が、そんな方法を聞いたことも無い。
「凄いわ…うん」
だけど…そのせいなのね。
男女関係なく、ベテランなら奴隷がタダで買える…だからか。
この街のカップルがやたらロリコンやショタコンが多いのは。
「だろう? 今じゃ若い人も増えて、此処迄大きくなったんだ」
「そうね、本当に凄いわよ」
あの粗暴だった、お父さんが真人間になっている。
私やお母さんが幾ら言っても怒鳴ったり、頑固で人を受け入れなかったお父さんが…ギルマスで明るく話している。
だけど…悔しいな…
身内でも変えられなかったお父さんが…こんな優しく笑う。
「今日は儂は休みにするから、ゆっくりして行けばよい」
「私、セレスの家臣になったから、そろそろ戻らないと…幸せそうで良かったよ…エレノールさん、お父さんを宜しくね」
「おう、任せて下さい」
私はギルドを後にした。
流石に新婚同然の家に長居は出来ないよ…此処はもう実家と言うより『新婚の家』だもん。
それに、随分、良い人になったけど…自分に似た嫁を貰って、イチャついている姿は…見ていて気持ち悪い。
考えちゃいけないが…『私もそう言う目で見らえていたのか』
絶対に違うはずだがつい頭をよぎるよ。
もう、あそこには行きたくないな。
しかも…街中がロリコンやショタコンばかり…
少し…キモイよ。
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