第97話 第三章スタート ジムナ村?




「こ、これがジムナ村――っ」


可笑しい、久々に見た俺の故郷は一周高いレンガで囲まれていて…しっかりとした街…いや城塞都市みたいに見えた。


入り口には、兵士が8人もたち、大きな門が出来ていた。


「セレスくん…間違えたんじゃないかな?」


「いや、間違いない、此処に来るまで空から見ていたけど、周りの森は同じだったよ、それに降りた場所から此処迄は知っている道だったよね?そうだよねセレス」


「ああっ間違いない」


そう静子とハルカに伝えた。


場所的に此処はジムナ村だ。


皆で歩いて門に向かった。


「ようこそ!英雄セレスの街!ジムナの街へようこそ…って、貴方は英雄セレス様じゃありませんか?」


「セレス…セレスじゃないかー-っ」


「間違いなくセレスじゃ…いやぁ立派になって、流石じゃな」


「この方が英雄セレス様…私、ずっと憧れていました~」


「あの…お母さんがセレス様の知り合いなんですよ」


わらわらと沢山の人が集まってきた。


凄いな、多分此処に集まっているだけでも200人近く居るんじゃないかな。


「皆の衆…そんなにせっついたら英雄様が困るじゃろう…そこの門番、こういう時はしっかりして貰わないと困るぞ」


「すみません」


懐かしい顔だ、まだそんなに時間が経っていないのに…


「ナジム村長、お久しぶりです」


「セレスに言われると照れるわ…今はもう村長じゃ無くもう町長じゃ…それでどうする? セレスが来た時の為に新しい家を建てて置いたんじゃが、そこに行くか? それとも儂の家に行くか?」


凄く有難いな、俺達が帰って来て良い様に家まで用意してくれたのか…


「そうですね、懐かしいですから、まずは村長の家にお邪魔しても宜しいですか?」


「セレスは孫みたいな者じゃ、嫁も居るからな…歓迎するぞ」


「「「「「「「「「「「宜しくお願いします(わ)」」」」」」」」」」」


「流石は英雄じゃな…嫁が11人もおる」


「村長、流石に母娘を一緒に娶とりませんよ、リダ、マリア、メルは家臣ですよ、あと一人シャロンさんは使用人です」


「そうか、そうかでも7人は嫁なわけ…はぁぁぁぁ?」


なんで、そんなに驚くんだ?



「なんで、そんな驚くのですか?」


「すっかり、忘れておったが…セレスの嫁、姫様じゃないか? マリアーヌ王女にフレイ王女…そして先の聖女セシリア様じゃ」


ナジム村長はいきなり跪まずこうとした。


「ナジム村長、そんな事しないでくれ…」


ナジム村長が跪くと、この場の全員が同じ事をする事になる。


「じゃが、セレス、いやセレス様、王族2人に次期教皇候補様じゃ…腰が抜けそうじゃ」


「お初にお目に掛かります、ナジム様、確かに私は王女ですが、ナジム様はセレス様のおじい様みたいな方! 公式の場以外では気楽にお話し下さいですわ」


「そうそう、私はマリアーヌと違い、更にこんなガサツだから、フレイ…もしくはフレイちゃんで良いよ」


「そうですね…おじい様みたいな方ならセシリアで良いですよ!」


「せせせセレス…」


「あの…ナジム村長…忘れていませんか? セレスちゃんは『英雄』その三人の花嫁よりも偉いのよ」


「あれナジム様、忘れちゃった?」


「そうですよ、いやですわ、ナジム様」


「そうよ」


「わはははっ、儂はすっかり忘れておったわ、セレス様」


「ナジム村長やめて欲しいな…俺はお爺ちゃんだと密かに思っていたのに…俺からお爺ちゃんを取り上げないで欲しいな…」


「せせせセレス様」


「セ.レ.ス」


「セレス…」


「良く出来ました…本当にやめてよ、ナジム様」


「そうじゃな…確かにセレスに様をつけたら余所者みたいで嫌じゃよな…この村の昔からの人間には気がねなく話すように儂から伝えておこう」


「ありがとうございます、ナジム様」



「此処がセレス橋じゃ…ちなみにあそこで販売しているのがセレス饅頭でな」


「あはははっ、何だか恥ずかしいですね」


自分の名前がついたものを見るのは恥ずかしいな。


「そうか…これは感謝の印じゃ…ちなみに『英雄の噴水』が1番人気があってな、横には大きなセレスの像があるのじゃ」


そう言ってみた像の大きさは…前世でいう10メートル位あった。


こんな大きな物…作るのは凄く大変だったろう。


しかし、恥ずかしいな…


「凄いですね…」


「「「「「「「「「「本当に凄いです(わ)(ね)」」」」」」」」」」」


「最初は等身大だったのじゃが、シュートがな大きくしようと言ってな4回ほど作り変えたのじゃ…今ではあの大きさじゃよ」


横の泉に後ろ向きでコインを投げている人まで居る。


此処はもう…俺が知っているジムナ村じゃない。


「シュート叔父さんが」


「ああっ、シュートにとっては、お前は歳の離れた友人みたいな者じゃないか...それに、これは彼奴なりの感謝の印じゃ」


ちなみにカイトは俺の為に冒険者ギルドの誘致をしたそうだ。


なんだか、少しこそばよい…


「さぁ、着いたぞ、これが今の儂の家じゃ」


凄いな…これちょっとした貴族の家位ある。


「凄いですね…」


「いや…凄いのはお主じゃから…」


俺の居ない間に何があったのか…全然解らないな。



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