第92話 オークマンの旅立ち
「なぁ、セレス何か稼げる方法ねぇかな!」
オークマンが俺に相談しに来た。
10人からの妻と家族を持つオークマンが俺に泣きついてきた。
俺はオークマンに故郷の事で借りがある。
お金位幾らでもやっても良いが…それは友人として違う。
オークマンは戦闘系の冒険者。
本当はオークよりオーガの方が強いが『オークが狩れる』その実力があるからこそ、奴隷の妻を10人も貰うことが出来、生活も成り立っていた。
この度、魔族と停戦が決まり『オーガが狩れない』事になった。
そう言う事だった。
「それは困ったな」
だが、話を聞くとそれだけじゃ無かった。
「オーガを狩れないだけならまだしも、オークも、もう狩れないんだぜ、今現在オークと揉めるとその上位種が仲裁に入ってくるんだ…この間もオークを狩っていたらオークナイトがきやがってよ『双方武器をしまえ』と止められたんだ…そこからの狩りなんて出来ねーし、しかもオークナイトが言うにはこれからは魔国に撤退するんだそうだ…オークジェネラルも顔を出してきやがって『今迄、迷惑を掛けてすまぬ、我々は魔国に撤退する、そして人間の国には来ぬ、安心するが良い』だとよ…もうこれから先はゴブリン位しか狩れねーよ…終わりだよ…終わり」
竜公である俺が、だったらワイバーンを狩れる様に鍛えてやる。
なんて出来ない。
今じゃワイバーンは俺の僕みたいなもんだ。
今の俺はきっとワギャンの事を思い出して、ワイバーンを狩る事なんて出来ない。
すぐにはどうして良いか思いつかなかった。
「オークマン、どうしてやれば良いか思いつかない、何か方法を考えるから暫く時間をくれないか?」
「ああっ、無理言って済まないな…だがどうする事も出来なくてよ、まだ半年位なら細々暮らせるお金はあるんだ、ゆっくりで良いから考えてくれ」
「ああっ解った」
とはいえ、少しでも蓄えが減る前に何か考えた方が良いだろう。
◆◆◆
「うふふふっ、セレスくん、あー可笑しいわ」
「あははははっセレス、何考えているの?」
「うぷぷっ、セレスさん、皆、笑っちゃ駄目よ」
「セレスちゃん、無自覚すぎます」
「「「「…」」」」
静子、ハルカ、サヨ、ミサキはオークマンの事を相談すると笑いだした。
特にハルカは腹を抱えて笑っている。
リダにマリアーヌ王女にセシリアにフレイ王女は不思議そうにこちらを見ている。
「あの、笑いごとじゃ無くて、本当にどうして良いか困って聞いたんだ」
「セレスくん、自分の立場忘れすぎよ」
自分の立場?
「やはり気がついて無かったのですわね、私がご説明しますわね」
マリアーヌが笑顔で説明をし始めた。
「セレス様は忘れがちですが、私とセシリアとフレイの夫であり『英雄』の地位をお持ちなのですわ『ご自身で雇う』『推薦する』幾らでも方法はありますわ」
言われてみれば…だがどうすれば良いんだ?
「実際にどうすれば良いんだ?」
「帝国は実力主義だがセレス様が推薦すれば騎士位にして貰える…まぁその先は実力次第だけどね」
「王国なら、爵位も可能ですわ、私が王位継承権がまだ一位ですから、望むなら幾らでも、ですがちゃんとした貴族となるとかなりお付き合いや義務が大変なので、貴族ではありますが、あまり責任が生じない騎士位が良いかと思いますわ」
「教会も、聖騎士位なら私が押し込みます…その後は教義の勉強とか大変だと思いますが」
よく考えたら俺の妻3人は各国の権力者、しかも2人は王女だった。
すっかり忘れていたな。
「それだけじゃないよセレス、あんたコハネの領主じゃない?」
「そうよセレスくん、代官を置いているとはいえ領主なんだから好きな役職で任命すれば良いじゃない?」
「セレスさんの家臣に取り立ててコハネの騎士に任命しても良いんじゃない?」
「そうね、それが良いわ、セレスちゃんが推薦すれば奥様達の仕事もコハネなら簡単に見つかるわ」
「そうだな…オークマンと話してみるよ」
王国、帝国、聖教国で騎士になるか、俺の家臣に取り立てるか、大まかならこんな感じか…
◆◆◆
「まぁ、こんな感じなんだが、どう? 」
俺はオークマンに提案してみた。
「ありがてぇ、本当に助かるよ…俺は見ての通り学が無いから、そのお前の家臣、じゃ無かったセレス様の家臣で頼みたい、嫁達も家で退屈そうだから、凄く有難い」
「そうか、それじゃそれで話を進めておくわ…それで何時から行く」
オークマンは何か考えているようだ。
「三か月後の出発で良いか?」
何で三か月後なんだ…
「別に構わないけど?」
「いやぁ…今俺の妻は10人だろう? 地方に行ったら奴隷商なんてないだろうから…最後にもう1人な…」
「すげーな!」
つい声に出してしまった。
10人の妻でも凄いのに、11人目だ、これが凄いと言わずに何が凄いと言うんだ。
「俺はオークマンだぜ! 最後までな!」
◆◆◆
3か月後、11人目の奴隷を買い、2台の馬車でオークマンはコハネに旅立っていった。
2台の馬車から手を振るオークマンやその妻、子供たちは凄く幸せそうだった。
『奴隷ハーレムで生活する男 オークマン』か…
俺もいつか家族を守れるような…ああいう男になりたい。
オークマンの馬車を俺は笑顔で見送った。
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