第84話 ハーレム?
「朝だ、朝だよ!素敵な朝だ~ さぁ起きろ~」
ハルカの声が聞こえてきた。
これは俺を起こしているのではなく、三人を起こしている。
「お母さん…まだ朝の4時だよふぁ~早すぎるよ!」
「ハルカさん、まだ暗いよ」
「もう少しは寝かせて…」
「早すぎないわ! 村に居た時には母さん達は5時には起きていたわ、貴方達は不器用なんだから、毎日この時間から始めないとね、リダ、貴方は今日はこれから掃除、マリアは洗濯、メルは私と朝食作りよ…解らないことがあったら、何でも聞いてね」
ハルカは三人に家事をやらせるようだ。
静子とミサキとサヨにマリアーヌは既に起きていてソファーに座って紅茶を飲んでいた。
「あっセレスおはよう、私セレスのモーニングが食べたい」
「あれは絶品だわ、お願い…」
「オムレツ食べたいな」
そう言えば久しぶりだな今日くらいは…
「仕方が無い今日くらいは、俺が」
「「「「「駄目――っ」」」」」
静子達4人は兎も角、何故マリアーヌからも駄目だしが入るのか解らない…
だが、悪いがこの状況では無理だ。
「また今度な!」
「「「そんな」」」
「大丈夫だよ4人とも凄く料理が美味いし、掃除に関していうなら俺より上だからこの機会に教えて貰うと良いよ…もう冒険者を辞めるなら、マリアは治療院でヒーラーはどうだ?メルはアカデミーに行くか図書館で働くか、事務官にでもなるか…兎も角ゆっくりで良いからしっかり探せよ」
「あの、セレス、その」
「セレス…そんな」
何となく働きたくない…そんな感じのオーラ―が出ている。
「3か月、半年、1年やりたい事を探せば良い…静子さん達と相談しながら頑張れよ…それじゃ姉さん…宜しく!」
「任せて!」
ハルカはにこやかに三人に指示し始めた。
ただ、問題なのはリダだ…
聖女のマリアはヒーラーの上級ジョブ…戦いたくないなら街の治療院で働けば良い…メルは賢者だから、昔で言う文科系だから潰しが効く。
問題はリダだ。
剣聖程戦いに特化しすぎたジョブは無い。
戦う選択をするならこれ程頼りになるジョブは無いが…もし戦いを辞めたなら…これ程役立たたずなジョブは無い。
簡単に言うなら戦わないなら…無能という事だ。
ハルカにも『出来たらメイドで良いから傍に置いてやってくれないかな』そう言われた。
最悪、やりたい仕事や出来る仕事が見つからなかったら…娘として手元に置く…そうしなくちゃならないかもな…
まぁ俺は恨んでも無いし嫌いでも無い…一緒に馬鹿やった幼馴染の面倒を見るのはやぶさかじゃない。
◆◆◆
とうとう、来た。
こんな狭い所に…
聖教国ガンダルからはロスマン名誉教皇、ロマリス教皇、ローアンヌ大司教、前の聖女のセシリア。
ガルバン帝国からはサイザー帝王、元剣聖で第一王女フレイ
勿論、外には沢山の馬車があり護衛の騎士や家臣も沢山いる。
もう此処迄来たら仕方が無い…
「ハルカ師匠にミサキ師匠、お久しぶりですね」
「静子師匠お久しぶりです」
元の剣聖フレイ王女はハルカとミサキの弟子だった。
セシリアも本当に静子の弟子だったらしい。
更に言うなら亡くなった賢者はサヨの弟子だった。
それにマリアーヌも三人と仲が良い。
今現在、俺には…もう5人の嫁がいる。
4人じゃ無いのかって…違う5人だ。
国王がマリアーヌを置いていった時点で、既に婚姻状態になっていたらしい。
王族の女性が一晩共にした=結婚なんだそうだ。
いや、マリアーヌと一緒に寝たのは静子達だが…他の家に王女が泊まる事で成立してしまったそうだ…げせぬ。
ただ、この事は…静子達も知っていたようだ。
と言う訳で…既に俺の嫁は5人なのだ。
英雄である俺はこの世で一番偉いので挨拶だけされて皆が俺の言葉を待っている。
「セシリアとフレイを娶るのは良いよ…ただ俺には既に5人の嫁がいる…5人と2人合わせて7人全て同列としそこに上下は無い、その条件を飲んでくれたらだが…」
「当国はそれで構いません」
「当国もそれで構いません」
それぞれの後ろ盾により差が無いように普通なら正室1人で残りは側室…という事に普通はなるが、静子達と話して7人全員が正室になるという特殊な状態の一夫多妻にした。
勿論正室は此処迄、もしこの先誰かを妻にする事があれば、それらは全員側室になる。
後は…俺は防戦にのみ参加して、こちらから攻める事はしない。
その約束をして大まかな話し合いは終わった。
そして…
「英雄殿…実は勇者保護法を書き換えようと思っていたのですが…条文に書き換えは出来ないとありまして…この度『英雄保護法【セレス様一代版】』と言うのを作りました…内容は勇者保護法より上となりますので、暇な時にお読みください」
その後、会食するとセシリアとフレイを残し…他の皆は帰っていった。
確かに、マリアーヌやセシリア、フレイは美人だとは思う。
だが、三人は殆ど他人だ…
普通ならハーレムだと喜ぶのだろうが…
何となく素直に喜べないのは何故だろうか?
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