第63話 疲れない
体が痛くて熱い…
どうにか王都にたどり着いた。
「セレス殿、何があったのですか?」
「ああっ大丈夫だ…ちょっと竜種を狩るのに失敗して…見た目ほど酷い怪我じゃない」
「それなら、良いですが、セレスさんをそこ迄追い込む存在、警戒を」
「それなら大丈夫だ…もう退治した」
「それなら、安心ですね…疲れている所、申し訳ございませんでした」
「お仕事ご苦労様」
門番に声を掛け…王都に入った。
周りの目が痛い…体中土だらけで、服は千切れている。
俺はそこそこ有名だから何も言われないが…さぞや気持ち悪く見えるだろう。
すぐそこの古着屋で声を掛けた。
触ったら汚してしまいそうなので…大きな声で…
「すいません…適当な服と下着を下さいー――っ」
「あいよ…セレス、大丈夫かい?」
「怪我は大丈夫だから、ただこれじゃ服を汚しちゃうから、お任せで良いんで、服~下着に靴まで一式下さい」
「ああっそれじゃ触れないね、一式用意するから待ってな」
「すみません」
袋に入れた服を持って公衆浴場に行った。
前世で言うところの銭湯みたいな物だ…受付の人が白い目で見ていたから、チップを兼ねて金貨1枚払った。
歩くたびに血の足跡がつくからな…手間が掛かるから、普通に嫌がられて当たり前だ。
金貨を渡したからか「大変でしたね」と笑顔で通してくれた。
シャボンを使い、体を綺麗に流した。
可笑しな事に体からこびりついた血が無くなっていて土だらけなだけだった。
口の中の生臭い味も無くなっていた。
ただ、体が火照る様に熱い…熱があるのかも知れない。
体を洗い流すと…やはりあれは幻覚だったのだろう…傷が何処にも無い。
だが、体は妙に熱い…だがその熱は風邪の時の熱等、病気の時の熱とは全く違う。
一番近いのは『闘志が漲る』それが近いかも知れない。
体からは少し湯気があがっていた。
さっき迄と違い体の疲れや疲労がまったく無くなり。
何でも出来そうな高揚感を感じる。
普通の湯の横にある、水風呂に浸かる。
冷水が凄く気持ち良い…
だが、問題なのは下半身だ…
恥ずかしい事に勃ちっぱなしだ…
別に何か変な事をしている訳でないのに…冷水に浸かっているのに鎮まらない。
取り敢えずは体は綺麗になった。
これなら、家に帰っても問題は無いだろう。
◆◆◆
「セレスくん、シャボンの匂いがするのは何故かしら?」
「セレス…浮気じゃ無いよね?」
「セレスさんはそんな事しないよね」
「セレスちゃん…信じているから…ね」
怖い…竜に睨まれたゴブリンみたいだ…
だが、俺はやましいことは無い。
「ちょっと手ごわい竜と戦って土だらけになったから、銭湯に行ってきたんだ」
そう言ってボロキレの様になった服を見せた。
「随分と苦戦したのね」
「お腹が真っ二つに斬れているけど…大丈夫? 引っ掻けたの?」
「そうみたいだ」
「この服は処分しなくちゃね」
「しかし、良く此処迄…焼けているじゃない…火竜か炎竜の吐いた火炎をもろ浴びたの?良く無事だったわね」
「そんな所だよ…」
何とか誤魔化せたな…あんな恐ろしい者には関わらない方が良い。
きっと、もう二度と関わる事は無いだろう。
◆◆◆
下半身がとんでも無い事になっていた。
何時迄たっても、そそり立つそれはおさまらない。
「セレスくん…それ」
「セレス…それ凄い事になっている…」
「セレスさん、辛そうですね」
「セレスちゃんのそれ…私達のせいよね…それじゃ今晩は頑張りましょうか?」
確かに今の俺は若い…
だけど、夫婦関係は円満で、ほぼ毎日交代で体を重ねている。
その状態で…こんなになる物なのだろうか?
「セレスくん、ハァハァ~なにこれああー-っああー-っ」
「セレス…凄い、何時ものも良いけど…今日は凄く荒々しい、ああー-っそこあああー――っあん」
「セレスさん、そんな、そんなに責められると、ああっあああああー――っ駄目、もう駄目―――っ」
「セレスちゃん、何で元気なのー-っ可笑しい、ハァハァ可笑しいよー-っ、こんなのって、こんなのって…嘘あぁぁぁぁぁー-駄目―――っ」
幾ら体を重ねても…重ねても体が鎮まらない…
気がつくともう朝になっていた。
「ハァハァ…もう駄目セレスくん…凄すぎ、荒々しいのも素敵だわ、だけどもう駄目…」
「セレス…もう駄目動けないわ」
「セレスさん…女として嬉しいけど…ゴメン…もう無理」
「セレスちゃん…凄く元気すぎる」
四人があられも無い姿でベッド横たわっている。
この体は一体なんなんだ、ようやく落ち着いたがやる気になれば幾らでも出来る。
しかも眠くならないし…疲れもない。
前世で36時間戦えますか…そんなドリンク剤があったが、それ処じゃない…
恐らく月単位で眠らなくても大丈夫かも知れない。
◆◆◆
一人、外に出て剣を振るったが特に変わったことは無かった。
腕力が増すとかそう言った事は一切ない。
体が疲れない…精力が増した…その位か…
今後どうなるかは流石に解らないけどな。
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